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すぎ花粉症の減感作治療 ~注射法?それとも舌下法?~

No.63|2016年8月13日

 

20年以上前より当クリニックで多くの患者さんに実施し、約80%の方に有効である注射法は、初めの5~6か月は毎週通院が必要ですが、順調にいけば、1年近く経つと1か月に1回の通院となります。対して、舌下法は、毎日少なくとも2年、出来れば3~5年継続するように推奨されています。休日も出張や旅行の日もです。ただし、初めの2週間以降は順調にいけば1か月に1回短い待ち時間で舌下薬液の処方を受け取るだけとなります。有効性は70数パーセント、注射法と同等かわずかに低いとされています。注射法による減感作療法は現在100名近くの患者さんに現在施行中で、良い効果がえられています。 

 

このように説明し、どちらの方法にするかを選んでいただいています。私自身は、目の前で実施できる注射法がより確実で安心と考えていました。2006~2009年に実施されたスギ花粉症に対する舌下減感作療法の東京都の治験に、東京都花粉症対策検討委員会の委員として参加した経験からも、効果の点で、注射法の方がやや優れている印象を持っていました。以上のような説明のためか、舌下でなく注射を選ぶ方が少なからずいました。 

 

 

 

昨年7月より舌下法を開始、その結果をアンケートと問診により先日集計したところ、予想以上の結果にびっくりしました。すなわち、舌下法の効果が予想以上に高く、しかも大部分の方が毎日の操作は私が懸念していたように大変ではなかったと答えたからです。20名の患者さんに開始、3名が開始すぐに、後で述べる理由で中止、残りの17名は毎日の舌下服用は大変ではなかったと答え、内8名はとても有効、7名は有効、少し有効は2名で、あまり有効でない、全く有効でないはゼロでした。とても有効と有効で88%となり、症例が少なく断定はできませんが、私の予想を超える良い結果となりました。 

 

 

 

中断した3名 ① 16歳男性 舌下療法開始前より疑われていた疾患の診断が確定し入院となった ② 55歳男性 開始直後の舌下の液を出張中のホテルの冷蔵庫に忘れ、自分は注射法のほうが向いていると考え直した ③ 43歳男性 舌下初日10分後に鼻のムズムズと目の痒みの誘発症状があったため、自宅での舌下後の症状を報告するよう指示したところ、翌日の舌下10分後、頭がくらくらし上腹部が押されるような強い気持ち悪さが1日続いたため、その後の舌下治療を中止し来院。注射法を強く希望したため、0.02JAUを皮下注射したところ、上記をさらに強くした反応と動悸がみられ3~4時間後にやっと軽減した。この時、皮疹、血圧低下、息苦しさ、嘔吐などの症状は見られなかったが、アナフィラキシー様反応として、注射法も中止とした。

 

 

舌下減感作療法は、スギ花粉症そのものを改善する効果を期待できる良い治療法といえますが、アナフィラキシー様の反応も有りうる事を医師も患者さんも念頭におくべきと改めて思います。

 

アレルギー専門医 副院長 弘岡順子

 

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