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花粉症の新しい根本治療 ~舌下減感作療法について…~

No.46|2010年5月14日

木々の緑が風にそよぐさわやかな日々となりました。今年の春の花粉症は如何でしたか?花粉の飛散量が少なかったため初めから楽だった方がいる一方、今年も強烈な症状に日夜悩まされた方もおられます。花粉症の治療には、抗アレルギー薬の服用、点鼻薬、点眼薬などありますが、いずれも症状を抑える対症療法にすぎません。

 

 これからの長い人生、ずっと毎年3ヶ月前後も薬を使い続けなければならないなんて!と憂鬱になりますし、妊娠や授乳中には薬は飲みたくありません。また、人によっては抗アレルギー薬をいろいろトライしても、効果があまり無く眠気などの副作用がめだつ方も少なくありません。そこで・・・

 

唯一の根本療法、減感作療法とは?

アレルギー症状の原因となっているスギ花粉やハウスダスト(室内塵)の入った注射液を少量ずつ皮下注射し続けることにより、アレルギーの原因(アレルゲン、抗原)に対して抵抗力を付けてゆく免疫療法です。治療後はアレルゲンが体にいってきてもアレルギー反応を起こさなくなるか、起こしても軽くなります。当院では100人以上の患者さんに施行中で、良い効果をあげています。この治療法は、有効率70~80%と高く、医療保険の適用も有り比較的安価ですが、はじめの5~6ヶ月は1週間に1回、その後維持量となっても1ヶ月1回の通院による注射を2~3年継続する必要があります。そこで・・・

 

舌下減感作療法

従来の注射による減感作療法と比べ、患者さんの負担が軽く利用しやすい治療法として考案されました。東京都では平成18年より3年間、8医療機関142名のスギ花粉症患者に対する臨床研究を行い、70%の有効率と安全性を確認いたしました。私が東京都花粉症対策検討委員会の委員である関係で、当クリニックもこの研究に参加しました。

東京都の報告はこちらをご覧ください⇒  

 

投与方法

食パンの小片(1~1.5cm角)にスギ抗原エキスを滴下し、舌下に2分間保持し、取り除きます。この操作は自宅で簡単にできます。原液の1,000分の1液1滴から始め、毎日徐々に滴数増やします。1週間ごとに抗原エキスの濃度を10倍にし、初めの4週間は毎日一回、5週目は週2回、6週目は週1回、それ以降は2週に一回のみの投与となり、投与期間は2年間です。

 

治療効果

とても有効―43%、有効―27%、無効―30%と有効率は70%。

従来の注射による方法と比べほぼ同様の有効率です。とても有効な方の比率が高く、無効である方も注射法よりやや多くなっています。すなわち、効果の白黒がはっきりしている印象です。また、初年度より2目年、3年目に効果が見られる方も少なくありません。

 

副作用

舌下部の違和感・かゆみ、鼻や目のかゆみ、発疹など軽微でいずれも短時間で消失し、アナフィラキシーなど重篤なものはありませんでした。

 

今後の実用化の見通し

国の認可がまだ下りていないため、今のところ保険診療は出来ません。また、注射法と比べ高濃度のスギ花粉エキスを多く使用するため、注射法よりやや高価な治療になる可能性がありますし、定期的な外来受診をどの程度にすべきかなど解決すべき問題点が多々あります。4~5年後の保険診療による実用化をめざし各方面が努力中です。

 

副院長 弘岡順子

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