トピックス

閉経後の諸症状や更年期症状に対するクリニックの新たな取り組み ~更年期症状にお悩みの方へ~

No.58|2015年3月7日

閉経後の諸症状

  規則正しい食生活を送り、運動にも精を出している中年の女性の健康診断で総コレステロール、悪玉LDLコレステロールが正常値を超えて高い人をしばしば見受けます。
「脂っこいものはほとんど食べないのに効果がないのはどうしてですか?」との質問を受けます。また定期的な骨密度の検査で、骨粗しょう症に良いとされるカルシウムを多く含んだ食事を摂り、散歩もやっているのに年毎にデーターが低下している閉経後の女性から「お薬をなるべく飲まずに骨を丈夫にできませんか?」といった質問を受けます。また夜間の頻尿や尿意切迫、繰り返す膀胱炎を訴える老年期の女性も多く、「清潔にしているのにどうして尿路感染症状を繰り返すのですか?」と聞かれます。
最近では閉経後に現れるこれらの脂質異常や骨密度の低下、泌尿器の症状が女性ホルモンの低下によって生じる事が知られる様になって来ました。

 

更年期症状

 また一般内科外来で40~50歳台の女性が突然に血圧が200近く上がってパニック状態になって来院されたり ホットフラッシュ、動悸、発汗、冷え、のぼせなどの自律神経失調症状や集中力の低下、不眠、イライラ、憂うつ、頭痛、めまい、しびれ等の多際な精神神経症状を相談される事があります。会社や家庭での立場がストレスの多い難しい状況の中で生じる事が多いこれらの症状は私達医師もよくお話しを聞いて、うつ病や適応障害、不安神経症などのメンタルの疾患を鑑別する必要がありますが、いわゆる
更年期症状によることも多いのです。先に述べた閉経後の様々な症状や、更年期症状は少なくなった女性ホルモンを補う「ホルモン補充療法HRT」で改善が期待されます。

 

ホルモン補充療法の現状

 心筋梗塞などの虚血性心臓病を予防し、骨塩量を増やし、骨折を予防して寝たきりにならないようにし、泌尿生殖器の症状を改善し、認知機能の衰えを遅らせる等の様々なデータを基に、閉経後女性をいつまでも若く美しく生き生きとさせQOL(生活の質)を向上させ、更年期症状を改善させるとされるホルモン補充療法は欧米では閉経女性の30~50%、韓国でも10%が受けていると言われています.
しかしながら我が国では閉経女性の1.2~1.3%弱に使用されているのみと言われています。
我が国でホルモン補充療法を受ける人が少ない理由として、

1)欧米人に比して更年期症状で苦しむ人が少ない事。

2)一定の効果が認められている漢方薬が使用できる事(66%の患者が漢方治療を希望するとの報告がある。)

3)ホルモン補充療法の副作用である子宮がん、乳がん、静脈血栓のリスクを患者のみならず、医師も気にしている。
4)副作用に対する過度の危惧からステロイドをはじめとしてホルモン治療そのものを敬遠する国民意識などの理由が挙げられますが、今後も我が国でホルモン補充療法が欧米並みに普及する可能性は少ないと思われます。

 

では、ホルモン補充療法の代わりをどうするか 

 我が国では更年期症状には漢方薬が多く用いられ、その他の治療として胎盤エキス(プラセンタ)療法が普及しています。プラセンタ療法は更年期の治療だけでなく、美肌効果やアンチエージング等の美容を目的として一部の医療機関では20~30歳台の女性にも投与されていますが健康保険で認められているのは更年期間での投与であり、70歳台や20歳台等の逸脱した年齢層は自費診療となります。
漢方治療も効果的であり 更年期障害に対する3大漢方(当帰芍薬散、加味逍遥散、桂枝茯苓丸)は上手く「証」が合致すれば劇的に不定愁訴が改善される場合もあります。

 

閉経後症状や更年期症状に悩む女性への朗報

 <女性ホルモンを代替する物質を作る乳酸菌があなたを救う>
閉経後に生じる虚血性心臓病や骨粗鬆症による大腿骨頸部骨折の頻度は日本人が欧米人より少なく、更年期症状を訴える人も少ない事が知られており、その原因の一つに我が国の大豆摂取が欧米よりも多いとする意見があります。(日本国内では西日本の方が東日本より大腿骨頸部骨折頻度が高く原因不明とされていますが納豆摂取が関係しているかも知れません。)
豆腐や大豆、豆乳にはイソフラボンが多く含まれ、摂取すると女性ホルモンのエストローゲンに似た化学構造物質を持つであるエクオールが体内で産生されます。しかしながら大豆を摂取すると全ての人でエクオールが作られるわけでなくその割合は 欧米人では20~30%、日本人では50%と言われています。
最近日本の大塚製薬の研究者がエクオールを産生できる人とできない人の違いは腸内細菌による事をつきとめ、エクオール産生菌(乳酸菌の一種ラクトコッカス20-92)によって大豆胚芽をこの菌によって発酵させ、エクオールを含有する食品の作成に成功しました。この食品をとることにより体内でエストローゲン様作用を発揮して更年期症状、閉経後の諸症状を改善する事が期待されています。
この植物由来の加工食品はホルモン補充療法と異なり各種婦人科系の癌を心配する必要がなく胎盤エキス(メルスモン等)の注射や漢方薬を服用している場合の併用も可能です。

私達のクリニックでは多くの更年期以降の女性にお勧めし加齢によって衰えた美容と健康を取り戻すお手伝いをしたいと思っています。

 

 

理事長 弘岡泰正

 

トピックス一覧に戻る