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スギ花粉症に対する減感作療法 ~花粉症の根本治療です!~

No.23|2003年5月21日

花粉症は治らないのか?

スギ花粉が飛び続けるかぎり、スギ花粉症は自然にはほとんど治らない(数%に自然治癒があるとの報告もありますが…)と言われています。また、スギの寿命は非常に長く千年以上生きるものもあり、元気いっぱいに花粉を飛ばし続ける期間は短く見積もっても百年~二百年はあるであろうと言われています。第二次大戦後、50数年前に我が国で大量に植林されたスギは、ここ20~30年で成熟し大量に花粉を飛ばし続けるようになり、その勢いは今後100~200年続くであろうと予想されます。一方、ディーゼル排気ガスなどの大気汚染はスギ花粉症を増悪させるとの報告が多数あります。…とすると、このまま一生スギ花粉症に悩まされなければならないのでしょうか? 2,3,4月と3ケ月間も薬を飲み続けなければならないのでしょうか?

 

唯一の根治療法に減感作療法があります!

スギ花粉を精製し、ごく薄い濃度のものから少量づつ皮下注射を繰り返す免疫療法です。治療により、スギ花粉が鼻や目の粘膜などから体内に入ってきてもアレルギー反応を起こさなくなるか、起こしても軽くなることを目指します。

 

減感作療法がおすすめの患者さん⇒

抗アレルギー剤など通常の治療が効かず、花粉症の症状が重い。
内服薬の副作用(眠気、のどの渇き、だるさ、ふらつきなど)が強い。
今後、妊娠の可能性があり、内服薬を使いたくない。
その他; 薬を飲み続けたくない、治る可能性があればやってみたいと考える方など。

 

減感作療法はどのくらい有効なのか?

ヒロオカクリニックでは1994年より本療法を開始し、100名以上の患者さんが治療を受けています。1998年の時点で治療効果を分析し、新宿医学会で発表いたしました。減感作療法以前の症状の平均的強さを10として、療法後の症状が0~2(著効)が35%、3~5(有効)が42%、6~7(やや有効)が14%、8~10(無効)が9%、10以上(悪化)が0%との結果でした。すなわち、減感作療法が非常に効いた患者さんは全体の3分の1強で、あまり効かなかった患者さんは1割ということになります。無効とした患者さんでも、全員薬を減量できていること、また減感作療法2年以後にはさらに有効となった方もいることなどから、この療法が全く無効な例はほとんどないのではないかと思われます。

 

副作用は?

アレルゲン(アレルギーを起こす原因物質)を体に入れる治療ですから、注射によりアレルギー反応が現れる場合があります。当院では、注射前に毎回チェックしておりますが、安全に減感作療法を続けるためには、必ず医師に報告することが必要です。稀には、治療を中止する場合もあります。

局所反応
注射部位が脹れる・痛い・赤くなるなど注射部位に反応が現れる場合があります。反応が軽く、短時間で自然に消えてしまう場合は心配ありませんが、大きく脹れたり、翌日まで消えないなど反応が強い場合は、アレルゲンの量を通常より減らしたり、ゆっくり増量する方法に変えます。
誘発症状
注射後、花粉症の症状がいつも現れる方がいます。当院での検討では5人に1人に認められましたが、いずれも軽くほとんど気にならなかったと回答しています。ただし、誘発症状が長く続く方は治療効果が悪い印象があります。
全身反応
非常に稀ですが、最も重い全身反応はアナフィラキシーショックと呼ばれる反応です。注射後30分以内に起こり、すぐに適切な緊急処置が必要です。万が一、注射後に冷や汗、鼻水、吐き気、全身のかゆみ、息苦しさなどが現れた場合は直ちに医師や看護婦、受付の者に知らせてください。体中に蕁麻疹が出るなど全身にアレルギー反応が出た場合も、減感作療法は中止となります。

 

減感作療法の未来…

半世紀近く前よりアレルギーの専門家により広く行われてきた治療法で、その有効性が多くの検討により証明されており、今後はもっと多くの患者さんに行われるようになると予想されます。しかし、頻回の通院が長期に必要であること、稀とはいえ強いアレルギー反応がありうることなどが欠点となっています。より短期間で、より少ない副反応で、より有効な方法が求められており、近い将来実現可能と思われる研究成果が数多く報告されています。ひょっとすると、スギ花粉のワクチンを注射するだけでスギ花粉症が治ってしまう時代がもうすぐ来るかもしれません。

 

副院長 弘岡順子

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