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睡眠時無呼吸症候群とメタボリックシンドローム には深い関わりがあります ~高血圧の原因はこれかもしれません…~

No.36|2007年4月28日

睡眠時無呼吸症候群(SAS :サスといいます)について、以前このコーナー(トピックスNo.24, No25)で紹介させて頂きました。睡眠中、一時的に呼吸が止まり、眠りが浅くなったり分断されたりして、日中強い眠気や集中力の低下をきたす病気です。
一般に、中枢型SASと閉塞型SASおよび混合型に分けられます。中枢型は脳に何らかの障害があって、脳からの呼吸指令がでない状態です。閉塞型はのどの筋肉や舌の緊張が弱くなり、舌が下に落ち込んで気道をふさぎ、呼吸が止まったり弱くなったりする状態です。最近、話題になっているSASの多くは閉塞型または混合型です。肥満で首の太い人に多く、強いいびきを特徴とします。
肥満がSASの原因として重要であることはよく知られています。特に、内臓脂肪が蓄積すると、のどや気管の内側に脂肪がつきやすくなり、無呼吸がおこりやすくなります。SASは日中の眠気を招くだけでなく、血液中の酸素濃度の低下や低酸素ストレスの影響で高血圧、心筋梗塞、脳卒中などの生活習慣病を引き起こす原因になると言われています。

 

ヒロオカクリニックでは、5年前から簡易睡眠ポリグラフを使用したSASの検査を行っています。これまで160名余りの方に検査を行ってきました。SASと診断された患者さんには、高血圧、心臓病、脳血管障害、糖尿病、高脂血症などの治療も必要となる方が大勢いらっしゃいました。
既にご存じのように内臓脂肪の蓄積を基礎にして、軽度の高血圧・糖尿病・高脂血症をもっている状態をメタボリックシンドロームと言います(表1)。動脈硬化性の病気につながる複合危険因子をもった状態ですが、最近の多くの臨床研究からSASの患者さんはメタボリックシンドロームを合併する危険性が高いことがわかってきました。
SASはメタボリックシンドロームを合併しやすく、その病態を悪化させる原因になります。またメタボリックシンドロームはSASになりやすく、メタボリックシンドロームに伴う肥満はSASの程度を重症化させる原因になります。両者は生活習慣病の悪循環を作る関係にあると言えます。

 

SASに対する薬物治療はありません。無呼吸の程度によって選択されますが、中等から重症な方には、CPAP(経鼻的持続気道陽圧療法)という専用器具を使用した治療法が適しています。この治療はうまくいくと、睡眠の分断が解消され、予後の明らかな改善が得られます。CPAPを使用した翌日から、症状の軽快を自覚する方が少なくありません。血圧の安定、不整脈や心不全の改善が期待できます。また食事療法・運動療法によるダイエットは、メタボリックシンドローム治療の中心となりますが、SASの治療にも大変重要です。

 

日本の8学会合同・メタボリックシンドローム診断基準


Ⅰ必須項目
ウエスト周囲径(おへそ周り)
男性の場合:85cm以上
女性の場合:90cm以上
(腹部内臓脂肪の面積が男女とも100cm2以上に相当します)
Ⅱ2つ以上該当
① 血圧:収縮期血圧が130mmHg以上か、拡張期血圧が85mmHg以上
またはその両方にあてはまる
② 血糖:空腹時の血糖値が110mg/dl以上
③ 脂質:中性脂肪が150mg/dl以上か、HDLコレステロールが40mg/dl未満
またはその両方にあてはまる


ウエスト周囲径が男性85cm以上・女性90cm以上の方で、Ⅱの①②③のいずれか2つ以上あてはまる方は、メタボリックシンドロームと診断されます

 

SASは本人とって重篤な問題となるだけでなく、ともに生活する方の不眠も招いている病気です。「いびきがうるさい」、「いびきが止まる・・・」と言われたことのある方はSASの可能性があります。ヒロオカクリニックではメタボリックシンドロームの診断と生活指導を行うとともに、SASの治療にあたっています。どうぞご相談下さい。

 

院長  田原 稔

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