故 郷

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 3.11以降コラムを書く意欲がすっかり消え失せていました。あまりの衝撃、悲しみ、そして遅々として進まない復興と原発事故の目に見えない恐怖で、未だに鬱々とした気分から抜け出せません。毎朝、“みのもんた”が「前を向かって歩こう!」と気合をいれてくれますがどうしても俯きかげんの毎日です。そんな折、音楽がかすかな慰めになっています。

 

 

 

 少し前ですが、あのドミンゴがソプラノ歌手と一緒にコンサートで歌った「ふるさと」を聴いて感動しました。♪♪如何におわす父母、つつが無しきや友がき・・♪♪ 辺りになると涙があふれて止まりませんでしたが、その後、不思議な事に少し気持ちが楽になりました。ヒトは涙を流すことによって辛い気持ちから開放される自然治癒力を持っているのかもしれません。

 

 

 

 この話を中国の友人にしたところ、その歌は中国でも歌われていると言うので驚きました。小学唱歌や叙情歌は今ではあまり歌われる事が少なくなったようですが、メロデイーがスコットランド民謡などの外来曲や日本の作曲家の手によるものかに関わらず美しい文語調の歌詞は万国共通で人々の郷愁を誘います。

現在多くの中国の人達が私の大好きな“栗の実、煮てます囲炉裏端”の「里の秋」や、“ともし火ちかく衣縫う母は”の「冬の夜」を自分の国の歌と思って歌っているのだそうです。

おそらく戦前に留学生として来日した中国の青年たち(魯迅や周恩来もそうかもしれませんが)が辛い生活の中で遠く故郷を思いながら聞いたこれらの歌を持ち帰り、中国語の歌詞に変えたのか、満州に移住した多くの日本人が中国の人々に伝えたのか何れかではないかと思っています。

 

 

 

 さて「ふるさと」の歌詞が中国語版ではどうなっているかというと中々綺麗な詩で歌われています。

 

長城外 古道辺 芳草碧 連天・・

 

帰省の旅の道すがら、鄙びた万里の長城の古い道端に香りの良い野の花を見つけたよ。

紺碧の空に続く長城に沿って懐かしい故郷までずっと咲いているといいな。

 

 

 

 被災地の一日も早い回復と被災者の皆様の御健康を祈りつつ

 

 

 

理事長 弘岡泰正

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