日本は老女パワーで救われる

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 今や我が国は女性パワーに牽引されています。我がクリニックでも高齢の女性は元気です。

 

 

 

 先日、昔はさぞ美人であったろう90歳台の姉を老々介護するやや器量の劣る80歳台のAさんが久しぶりにやって来ました。久しぶりの外出で気合が入り一張羅のドレスにマサイ族の女性並みのネックレスを付け、たっぷりイチゴジャムでも食べた後のような真っ赤なルージュでお出ましです。部屋に入るなり甲高い声で「センセ、今日は検査をお願いします!」という申し出に、「はい、では何の検査にいたしましょう?」と答えますと、Aさんはにっこりして「それは、まっ!」というなりストップモーションで困惑の表情です。

 

 

 

 「まっ!どうしましょう。ボケの姉の介護のせいで私まで。まっ、まっ、まっ・・・・」としばらく呪文のように“まっ”を繰り返しています。そのうち「センセ、まのつく検査ってお分かりにならないの。」と非難がましい目つきになりました。かなり我慢強いわたしもこれには閉口で、心の中では、勘弁してよと思いつつも、おくびにも出さず、「はいはい一緒に考えてみましょうね。」などと長引きそうな診療時間を気にしながらお茶を濁していますと、突然、Aさんの顔が輝きました。「センセ!思いだしました。 “ マッカーサー”。」

 

 

 

 心配そうに後ろで聞いていていた若い職員は何の事かさっぱり解らないようですが、ダテに歳をとってはいない町医者歴20年の私は誰言うともなく誰も言わない自称“新宿の父”の第6感を働かして、「Aさん、それマッカーサーじゃなくて腫瘍マーカーじゃないの?」というと、Aさんは一指しユビを立てて、「ピンポーン、それそれ!」と嬉しそうに言いました。Aさんにとってコーンパイプでレーバンサングラスの元帥は思春期の憧れだったのでしょうか。それはともかく私は自分を褒めてやりたい。

 

 

 

 数年前に御主人を亡くした70代のBさんはこの頃益々元気に飛び回っています。先日健診でマンモグラフィー検査を受けて結果をききに来ました。幸い検査結果は異常ありませんでした。マンモグラフィーは2枚のプラスチックの板の間につきたての鏡餅を伸ばすように乳房を挟んでX線を照射する検査です。乳房の小さい若い女性には痛くて少しつらい検査ですが巨乳老女のBさんは楽に検査できたようです。、乳房のX線写真の所見を告げようとする私の言葉をそっちのけでBさんがなにやら色気たっぷりの怪しげな目つきで私に聞きました。「先生、これ本当にわたしのおっぱい?」と嬉しそうに聞きます。「はいそうですよ。よかったですね、左右とも異常ありま…。」と説明途中の私を遮りBさんが言いました。「先生私のおっぱい全然垂れてないじゃない。最近垂れてきて嫌になっていたのに良かった良かった。」と一人で納得しています。いやいやBさんこの検査はそうゆうのじゃなくて、目的が…板の上に乳房を乗せるのでこんな風に…」等としどろもどろの私の話など聞いちゃいないBさんは「この写真をあの世に持っていけば亭主が喜ぶかもガガハッハ」と豪快に笑い飛ばして帰って行きました。  

 

恐るべし巨乳老女…

 

 

 

 

理事長 弘岡泰正

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