白くなったマイケルと紫外線療法の話し

 先日、製薬メーカーの若い担当者が血相を変えて部屋に入ってきました。「どうしたの?会社が合併でもされたのかい?」と聞くと、興奮収まらぬ様子で、「いえ違います。先生がさっき診た患者さん僕の同級生です。」との返事です。少し前に男性の名前の患者さんを診察室に呼び入れた処、きれいな“女性”が入ってきて一寸驚きましたが、通常どおりの診察をして“彼女”は部屋を出ていきました。部屋の前で待っていた担当者とその患者の目が偶然合い、担当者は一瞬どこかで会ったような気がしましたがそんな美人には覚えがなく目を逸らしたところ、その“美人”が「よおー久しぶり。」と言ったのだそうです。そして「俺○○だよ。」と告げられびっくりです。

 

 

 2人は中部地方の男子校の同級生だったそうですが「彼が女性になっているとは・・・」とショックから抜けきれない担当者に「人生何があるかわからないよ~。」と変な慰みの言葉をかけたのでした。歳をとると少々の事では驚かなくなって来ましたが白人になってしまったマイケルジャクソンには目を剥きました。正にスリラーですがとうとう医学も進歩して大金を積めば人種も変わるのかいな?と思ったり、漂白剤のお風呂にお毎日入っていたのかしらん?などと医者にあるまじき推測をしていたのですが、マイケルは「しろなまず」という色素細胞が消失する病気にかかって皮膚の色が黒から白色に変わったとの事です。

 

 

 

 神様は時に現代医学がなしえない“変な事”をしでかして驚かしてくれます。マイケルはともかくとして、この「しろなまず」は従来より治療が困難な皮膚病であり美容上、社会生活上も患者さんにとって深刻ですが、最近効果的な治療法が登場しました。

 

 

 

 さてここからは当クリニックの宣伝です。最近クリニックでは皮膚科専門医によるナローバンド紫外線療法(デルマレイ)という新しい治療をはじめました。この治療の適応疾患は、尋常性白斑(しろなまず)、乾癬、アトピー性皮膚炎、掌蹠膿疱症、円形脱毛症、慢性痒疹などいずれも治療が困難で患者さんも長年苦しんでいる皮膚病です。

 

素人の私は当初、治療効果に半信半疑だったのですが多くの患者さんがみるみる内にきれいな皮膚になっていく素晴らしい効果に驚いており、皮膚科の先生に大感謝です。

 

 

 

 ところで古い医学書を紐解くのが趣味の小生は早速紫外線療法について調べてみました。すると祖父の恩師であったわが国の皮膚科学の草分けである土肥慶蔵先生の明治43年第1版の皮膚科学教科書にちゃんと載っていました。

 

曰く「蓋シ菫(紫)外線ニ化学的作用殊ニ酸化還元及発酵作用ヲ助長スル作用アルコトハ夙ニ実験室ニ於イテ証明サレタル所ニシテ生物学上紫外線照射ヲ受ケタル皮膚ハ其ノ一般官能ノ亢進ニ伴ヒ、必ズヤ免疫素ノ内分泌モ亦増加スベク、或ハ紫外線エネルギーノ一部ハ真皮乳頭ノ毛細管綰ヨリ血中二吸収セラレテ遍ク内臓器官ニ有効ニ作用スベシトノ説アリ・・・・、我輩ノ経験ニ據レバ太陽燈(紫外線)ノ局所的適応症トシテハ廣汎性脱毛症、廣面ノ潰瘍、蔓延セル急性慢性皮膚炎(乾癬、湿疹、ヘブラ紅色粃糠疹、尋常性座瘡・・・・)などが記載されています。

 

 

 

 歴史ある紫外線療法ですが近年、当クリニックでも導入した極めて狭い波長の紫外線(311~312ナノメータ)治療器(デルマレイ)の出現によって多くの難治性の皮膚疾患に対する光線療法の文字どおりの光明となっています。

 

 

 

 

理事長 弘岡泰正

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