解離性障害のはなし

 最近は聞きなれない医学用語がメデイアに氾濫しており、我々医者も一瞬とまどいます。テレビで女子アナが早口で安部総理の病名を「気のせい胃腸炎」と言ったように思え、「なるほどお気の毒に。」と変に納得しながら翌日の新聞を見ると「機能性胃腸炎」であったり、朝青龍が「帰り性(しょう)障害」と聞いて、あんなに強そうにみえても「国に帰りたくてしょうがないホームシックの様な病気」になるんだ。と思って通勤時、前に座ったおっさんのスポーツ新聞の見出しを覗き込むと、なにやらわけの分からない「解離性障害」という病名だったりします。親亀こけたら皆こけた亀ちゃん一家の小亀もこの解離性障害のようですが、この場合は親から「解離した方が良い生涯」で、そうしないと上から読んでも下から読んでも「カメダハダメカ」という事になります。

 

 

 珍しい病名を聞きかじり、さしずめこんにゃく問答を楽しみに来院したとしか思えない暇な患者様が、当方もあまり知識がなさそうなのを見越して「先生、あの解離性障害つうのはいったいなんだい?」と聞いてくるので始末が悪い。そこで早速にわか勉強しました。

 

 

 解離性障害はかってヒステリーの概念として捉えられていたそうです。「職場でお局様がヒスを起こして困る。」といったように昔から世間ではヒステリーは女性の症状と考えられて来ました。これは古代ギリシャ語の子宮を意味する語源に由来するためです。しかしながらあの朝青龍がヒステリーでは様になりません。現在では医学的にはヒステリーという言葉は使われなくなっています。難しく言うと解離性障害とは「意識の統合性が崩れ、通常とは違う変容した意識状態が生じたり記憶の障害を生じたりする病態」という事になっています。

 

 

 この中には大きなストレス体験をした後に、その体験や心理的出来事を含む一定の期間の記憶が思い出せなくなる解離性健忘や苦痛を伴う体験から逃れるために放浪したり、遠くの土地で生活し自分の記憶を失った自覚がないままに別の名前を名乗ったりすることもある解離性遁走(ドルゴルヌレン ダグワドルジを名乗るのは正常!)、大きなストレスから昏迷状態と言って運動量が著しく減り、長い間横たわったままで食事もとらず、誰とも会話しなくなる状態に陥る解離性混迷(報道による朝青龍の篭城状態)などがあります。また、多重人格となり、患者が2つ以上の人格を持ち、その時々で人格が交代する解離性同一障害(ある時は愛人宅にパンツを置き忘れるエロ親父、またある時は得々と持論を解くエラ~イ某政治家の事ではないので念の為。)があり、これは病態が劇的であるためテレビドラマや小説でお馴染みです。また四肢が麻痺を起こし介助なしでは歩けなくなったり、心因性に声が出なくなったりする。さらに物が見えなくなったり視野狭窄を起こしたりする運動・感覚性解離障害が含まれます。

TV会見で別人になってしまった亀田次男はこの状態かもしれません。

 

 

 さてこの解離性障害の治療は精神安定剤で症状が改善する事もありますが一般的に薬物が無効な事が多く、精神分析、行動療法、催眠療法などの精神療法に熟達した専門家によって治療されるべきと言われています。

 

 

両者とも贔屓ではありませんが子供の頃熱中した相撲やボクシングを心から楽しめるよう朝青龍、亀田次男の一日も早い回復を祈ります。

 

 

 

理事長 弘岡泰正

CONTACT予約・お問い合わせ