脳ドックとは? 検査内容や費用などをわかりやすく解説

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皆さんは「脳ドック」という検査をご存じでしょうか?

何となく聞いたこと・見たことがあるという一方で、「どんな検査をするのか」「検査で何がわかるのか」など疑問をお持ちの方も多いでしょう。

そこで今回は、脳ドックの目的や検査を受けるメリット、具体的な検査項目、費用の目安などをご紹介していきたいと思います。

脳ドックは脳に関する精密検査であり、以下の項目に当てはまる方にはとくにおすすめしたい専門ドックです。

  • ・40代以降でまだ脳の検査を一度も受けたことがない
  • ・高血圧や糖尿病などの持病がある
  • ・家族に「脳卒中」の既往がある

これらの項目に当てはまる方はぜひ本記事を参考に、ぜひ定期的な脳ドックの受診を検討してみましょう。

脳ドックとは?検査の意義と目的

脳ドックとは?検査の意義と目的

はじめに、脳ドックとはどのような検査で、何を目的に行うのかを詳しくみていきましょう。

「脳」の検査に特化した専門ドック

脳ドックは、「脳の病気」の発見やリスクを知る検査に特化した専門ドックです。「頭部MRI検査」と「頭部MRA検査」の2つを主軸に、頸動脈エコー検査、血液検査など複数の検査を組み合わせて実施されます。

死亡原因第4位・介護原因第2位の「脳卒中」を早期に発見

脳ドックの最大の目的は検査による脳卒中(脳梗塞・脳出血・くも膜下出血)の早期発見です。脳卒中は日本における死亡原因の第4位で、さらに介護原因では認知症に次いで2番目に高い割合を占めています。

このように高い確率で死亡や障害の残る脳卒中は、発症から最初の治療を受けるまでの時間が予後を大きく左右します。一方で、脳卒中は進行しても自覚症状に乏しく、ある日突然、急激な症状があらわれて初めて気づくケースも少なくありません。治療の遅れによる後遺症や死亡を避けるうえでも、脳ドックによる早期発見が非常に重要となります。

脳ドックの検査内容と検査でわかること

脳ドックの検査内容と検査でわかること

脳ドックでメインとなるのは「頭部MRI検査」「頭部MRA検査」の2つの検査ですが、より精密な検査では「頸動脈エコー検査」「血液検査」などもあわせて行います。

検査項目やその組み合わせは脳ドックを受ける施設によって異なりますが、ここでは代表的な検査と検査でわかることを簡単にご紹介していきましょう。

頭部MRI検査:脳の全体像を診る

脳ドックの頭部MRI検査は、脳の断面図を映像化して異常を調べる検査です。比較的大きな病変を探すのに適しており、脳実質(大脳・小脳・脳幹・脊髄)のどこに異常があるのかを診ることができます。

頭部MRA検査:脳の血管の様子を診る

脳ドックの頭部MRA検査は、脳全体を覆っている血管の状態を調べる検査です。血管の奇形や狭い部分がないか、破裂しそうな部位や詰まりそうな血管がないかなどを診ることができます。

頸動脈エコー検査:頸動脈の様子を診る

脳ドックの頸動脈エコー検査では、頸動脈(心臓から頭部に血液を送る太い血管)の状態を調べます。頸動脈に血栓などの詰まりがないか、狭くなっている部分がないかがわかるほか、動脈硬化の進み具合もチェックできます。

血液・生化学的検査:脳卒中のリスクをチェック

脳ドックの血液・生化学検査では、総コレステロール・中性脂肪・空腹時血糖・HbA1cなどの値を調べていきます。これにより、糖尿病や高脂血症、高血圧など脳卒中のリスクを高める他の病気がないかを知ることができます。

眼底・眼圧検査:目の病気・動脈硬化を調べる

脳ドックでは眼底・眼圧の検査も実施しています。網膜の血管は脳動脈から分かれているため、眼底の様子は脳の血管の状態を知る手がかりになります。また、眼底の血管は脳の血管に似た状態を示すことが多く、ここから高血圧や動脈硬化の進行度を知ることも可能です。

脳ドックの検査で見つかる症状や病気

脳ドックの検査で見つかる症状や病気

脳ドックの検査はまだ症状のない脳卒中の前兆となる病気のほか、脳腫瘍、頸動脈の狭窄などを発見できます。以下に、各病気の詳細を解説していきましょう。

無症候性脳梗塞(かくれ脳梗塞)

脳ドックは、検査上では脳梗塞の所見がありながらも症状がない無症候性脳梗塞(かくれ脳梗塞)の早期発見に有効です。その多くは「ラクナ梗塞」という小さな脳梗塞で、高齢者の10~20%に認められ、脳卒中や認知症のリスクファクター(危険因子)となります。この段階で発見できると、適切な治療により将来的な脳梗塞の発症が予防できます。

脳動脈瘤(クモ膜下出血の原因)

脳ドックの頭部MRI・MRA検査は脳内部の血管に発生する「脳動脈瘤」というこぶ状や紡錘状の膨らみを発見できます。30歳以上の成人の約3%に認められ、膨らみが破裂するとクモ膜下出血を起こすことから、早い段階でこれを見つけ適切な処置を受けることが肝心です。その早期発見において、脳ドックは大きな役割を担います。

脳腫瘍

脳ドックで見つかりやすい病気は脳卒中の前兆症状のほかに、「脳腫瘍」があります。脳腫瘍の多くは良性ですが、腫瘍が大きくなって脳が圧迫されると体に様々な障害を引き起すため、脳ドックによる早期発見が重要です。

頸動脈の狭窄

脳ドックの検査で頸動脈の狭窄(血管が細く狭くなった部分)が見つかると、将来的に脳梗塞になる可能性が高いとされています。一方で、脳ドックでの発見後すぐに内服治療を行えば、脳梗塞の発症を抑えることができます。また、頸動脈の狭窄は心筋梗塞や末梢の動脈疾患の発症リスクに直結するため、これらの病気の早期発見・早期治療にも脳ドックは有効です。

脳ドックの検査は何歳から・どんな人が受けたほうがいい?

脳ドックの検査は何歳から・どんな人が受けたほうがいい?

では実際に、脳ドックはどんな人が、何歳ごろから受けるのがよいのかを以下に詳しく解説していきましょう。

40歳以上で一度も脳ドックを受けたことがない

40歳を過ぎて脳ドックをまだ受診したことのない人は、早めの検査がおすすめです。脳卒中は40代以降から増えはじめ、死亡率もこの年代から徐々に高くなります。ただし、40歳という年齢はあくまで目安の1つですので、次からご紹介する項目に当てはまる方は20代、30代でも脳ドックの定期的な受診を検討してみましょう。

「脳卒中」になった家族・血縁者がいる

家族や血縁者に脳卒中の方がいる場合、自身も脳卒中を発症する可能性が高いため、早い時期から脳ドックを受けておくことをおすすめします。45歳以上を対象にしたある研究では、脳卒中になった人のおよそ45%に脳卒中の家族歴があったと報告しています。ご両親やご兄弟に脳卒中の既往のある方は、40歳を待たずに定期的な脳ドックの受診がおすすめです。

高血圧や糖尿病などの診断を受けている

次のような持病のある方は脳卒中になるリスクが高いため、定期的な脳ドックの受診をおすすめします。

<脳卒中を発症させる危険因子>

  • ・高血圧
  • ・糖尿病
  • ・高脂血症(脂質異常症)
  • ・不整脈(心房細動)
  • ・肥満

喫煙・飲酒の習慣がある

日頃から喫煙や飲酒の習慣のある方も脳ドックの受診がおすすめです。脳卒中は先の項目であげた持病のほかにも、喫煙や飲酒、過労、運動不足、ストレスといった生活習慣も危険因子となります。心当たりのある方でまだ脳ドックを受けたことのない方は、一度受診を検討してみましょう。

慢性的な頭痛に悩んでいる

慢性的な頭痛や片頭痛にお悩みの方にも脳ドックはおすすめです。脳卒中に関連する頭痛はある日突然襲ってくるため、基本的に慢性的な頭痛とは無関係といわれています。ただ、長く続いている頭痛で不安な場合、脳ドックでその詳細を知れば安心につながるでしょう。

脳ドックが受けられない可能性のあるケース

脳ドックが受けられない可能性のあるケース

脳ドックをご希望される場合でも、次の項目に当てはまる方は検査を受けられない可能性があるため注意が必要です。

医療機器や治療用金属が体内にある

脳ドックのMRI検査やMRA検査は強力な磁場の中で行われるため、次の医療機器や器具が体内にある場合は検査が受けられない、もしくは受けられない可能性があります。

脳ドックが受けられない医療機器 脳ドックが受けられない可能性のある医療用金属
  • ・心臓ペースメーカー
  • ・人工内耳
  • ・埋め込み型除細動器
  • ・神経刺激装置
  • ・インスリン注入ポンプ
  • ・骨成長刺激装置
  • ・脳動脈クリップ
  • ・金属製の人工弁
  • ・各種ステント
  • ・歯科治療に関するもの(インプラント・差し歯・矯正装置など)
  • ・人工関節
  • ・磁力装着義眼
  • ・骨折治療で埋め込んだボルト・プレート

刺青(タトゥー)をしている

脳ドックのMRI検査、MRA検査は刺青(タトゥー)やアートメイクを入れている方も受けられない可能性があります。その理由は、着色顔料に金属成分が含まれているためです。申告をしないまま検査を受けた場合、非常に稀ですが検査中に発熱してヤケドになってしまうおそれがあります。検査を受けられるか否かは受診する医療機関によって異なりますが、脳ドックを希望する際は必ず担当医に申告するようにしてください。

閉じ込められた狭い空間が怖い(閉所恐怖症)

脳ドックの頭部MRI検査は狭い空間に頭から入っていくため、閉所恐怖症の方の中には検査が受けられない方もいらっしゃいます。ただ、事前に閉所恐怖症である旨を伝えておけば不安を取り除く対応をしてもらえるため、自身のケースは検査が可能かまずは医師に相談してみましょう。

現在妊娠中、または妊娠の可能性がある

現在妊娠中の方は、脳ドックの頭部MRI検査やMRA検査が受けられない場合があります。妊娠の可能性のある方も受けられない可能性があるため、必ずその旨を医師に伝えるようにしましょう。

脳ドックの受診頻度 何年ごとに受けたらいい?

脳ドックの受診頻度 何年ごとに受けたらいい?

ここでは、脳ドックの受診頻度や検査を受けるペースについて解説していきましょう。

大きな問題がなければ2~3年に1回のペースで

脳ドックを受けて検査で異常が認められず、とくに医師からの指示もない場合は2~3年に1回のペースで受診するとよいでしょう。ただし、医師から受診の頻度に関して指示が出た場合は、その指示に従うようにしてください。

異常が見つかった場合は医師に相談

初回の脳ドックで異常が見つかった場合は、医師の指示にしたがって次回の受診を決めていきます。日本脳ドック学会では異常があった場合の経過観察期間として、「多くのケースで6か月~1年ごとの経過観察が望ましい」としています。

脳卒中のリスクが高めの人は1~2年に1回がおすすめ

高血圧や糖尿病の持病がある、あるいは家族に脳卒中の既往があるなどリスクが高い方は、1~2年に1回の受診をおすすめします。また、脳卒中の発症が増える50代以降は、とくに異常がない場合でも受診頻度は1~2年に1回ぐらいがいいでしょう。

脳ドックの検査時間と費用の目安 費用を抑える方法は?

脳ドックは自由診療なため、費用に保険が適用できません。以下におおよその費用の目安をご紹介しますが、費用の詳細については受診する医療機関に直接お問い合わせください。

【脳ドックの基本コース】1万円~3万円/1時間~2時間

スタンダードな脳ドックは頭部MRI検査と頭部MRA検査の2つを主軸に、医療機関によってはこれに頸動脈エコー検査が加わります。このようなシンプルな脳ドックの費用相場は1万円~3万円前後、所要時間は1時間~2時間ほどです。

【脳ドック専門コース】2万円~5万円/1時間~4時間

上記の主要検査に他の検査を組み合わせた脳ドックは、検査数が多いほど費用や時間もかかります。より専門的に調べる脳ドックの費用相場は2万円~5万円前後、所要時間は1時間~4時間程度です。

健康保険や自治体の助成・補助制度を活用すればさらにお得に

脳ドックの検査費用は保険適用外であるため、費用は基本的に患者さんの自己負担になります。しかし、自身が加入する健康保険やお住まいの自治体によっては、補助金や助成金を受けられる場合があります。費用を1万円前後安く抑えられる可能性があるため、事前にチェックしておきましょう。

脳ドックの流れと検査当日の注意点

脳ドックの流れと検査当日の注意点

実際に脳ドックを受診する方は、次の受診の流れや注意点をしっかり確認しておきましょう。

受診する医療機関を予約する

脳ドックは予約制です。予約なしでいきなり医療機関に来院しても検査は受けられないため、事前に必ず予約をしておきましょう。

【検査前日】基本的に食事・行動の制限はナシ

脳ドックは基本的に前日の食事制限や行動の制限はありません。ただし、検査内容に「血液検査」や「尿検査」が含まれる場合、医療機関によっては制限を設けている場合もあるため、事前によく確認しておきましょう。

【検査当日】裸眼&ノーメイクで受診を

脳ドックの検査時は金属類など磁力の影響を受けやすいものは身に着けることができません。これにはアクセサリー類はもちろんのこと、メイクやマニュキュア、UVケア用品、コンタクトレンズなども含まれます。

したがって、検査当日は裸眼&ノーメイクが基本です。ノーメイクの外出が難しい場合はクレンジング剤を持参し、検査前に必ず落とすようにしましょう。

【検査終了後】結果は当日に説明か後日郵送で

脳ドックの検査結果は、検査当日に医師から説明があるか、後日郵送で送られてくるかのいずれかです。多くの施設では当日の説明を基本としていますが、結果をいつ知ることができるかも事前に確認しておきましょう。

脳ドックで医療機関を選ぶ際のポイント

脳ドックで医療機関を選ぶ際のポイント

脳ドックは検査内容やコース、費用、さらに導入している検査機器なども医療機関によって異なります。以下を参考に、自分に合う医療機関を探していきましょう。

受けたい検査項目やコースに対応している

脳ドックでもっともシンプルなコースは頭部MRI検査と頭部MRA検査の2つをメインに、脳卒中や脳腫瘍の早期発見に特化しています。検査項目が少ないため比較的安い費用で検査を受けられる一方で、将来的な発症のリスクや危険因子などを調べることはできません。

脳卒中の危険因子を多角的に調べ、将来のリスクをより詳しく調べたい場合は頸動脈エコーや血液検査、眼圧・眼底検査などを含む脳ドックがおすすめです。自身が受けたい検査項目や検査コースはどれかを事前に決めておき、それに対応している医療機関を探していきましょう。

3.0テスラ(3.0T)頭部MRI検査が受けられる

脳ドックで使用される頭部MRI検査は一般に1.5テスラ(1.5T)と3.0テスラ(3.0T)の2種類の検査機器があります。「テスラ」とは磁気の単位で、1.5テスラに比べて3.0テスラの機器は短時間に高画質の画像を映し出せるのが特長です。とくに、脳の検査においては3.0テスラのMRIのほうが小さな病変の判別に有利なため、3.0テスラの機器を導入している医療機関をぜひ探してみましょう。

まとめ

以上を簡潔にまとめると、脳ドックには次のような目的や特長があります。

  • ・脳ドックは脳卒中や脳腫瘍の予兆を早期に発見し、発症による死亡や介護のリスクを回避する
  • ・検査は頭部MRI/MRA検査を主軸に、頸動脈エコー、血液検査、眼底・眼圧検査などを併せて行う
  • ・脳ドックは「40歳以降で脳ドックを受けたことがない方」「脳卒中の家族歴がある方」「高血圧や糖尿病などの持病がある方」におすすめ
  • ・異常がない場合は2~3年に1回、それ以外は医師と相談しながら1~2年に1回の受診が推奨される

ヒロオカクリニックの脳ドックでは頭部MRI検査(3.0TMRI)やMRA検査をはじめ、頸動脈エコー、血液検査、眼底・眼圧検査などを実施しております。

※頭部MRI、頭部MRAは、近隣のSeeds Clinic(徒歩5分)での撮影となります。

将来的な脳卒中のリスクを多角的に調べたい方は、ぜひ当院の脳ドックをご検討ください。

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