高血圧の原因とは?症状、治療法について解説

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「健康診断で血圧が高いと指摘されました。何か特別な治療を受ける必要がありますか?」よく聞くけれど、よくわからない血圧の「高い低い」。そうしたお悩みをお持ちの方も多いのではないでしょうか。

でも、そもそも血圧って何?血圧コントロールのために対策は必要なの?など、この記事ではそんな高血圧の原因や症状、治療法などについて分かりやすく解説します。

血圧とは

血圧とは

血圧とは、心臓が収縮し血液が押し出されたときに、血液が血管の壁を押す力のことです。一般的に右上腕の血管で数値を測ります。血圧は心臓が一回の拍動で送り出す血液の量や、血管の壁の厚さ、弾力性、血液の粘度などによって左右され、決定されます。また腎臓や神経、時間帯によっても血圧は影響を受け変動します。そのため、毎日同じぐらいの時間に測りましょう。

単位はmmHgです。昔は水銀計で測っていた名残で、水銀の単位であるHgがいまも用いられていますが、現在はほとんどデジタル化されています。病院で測った血圧が140mmHg/90mmHg以上あると高血圧、といいます。

では、健康診断でよく聞く「血圧の上」「血圧の下」の数値とはいったい何を意味しているのでしょうか。

最高血圧とは

「血圧の上」とは「最高血圧値」のことです。心臓が収縮して血液が送り出されたときに、血管の壁にかかっている圧力の最高値、という意味です。血管が収縮している時の値ですから「収縮期血圧」とも呼ばれますが同じことを意味しています。

最低血圧とは

一方、心臓が拡大して次に送り出す血液を貯めている時期のことを「拡大期」と言います。この時血管に大きな圧力はかかっていません。その時の数値のことを「最低血圧」または「拡大期血圧」と呼ぶのです。

高血圧のタイプ

高血圧のタイプ

高血圧のタイプには3つあります。それぞれについて詳しく見てみましょう。

①持続性高血圧

このタイプは病院で測っても自宅で測っても血圧の数値が高く出る方です。一般的に自宅で血圧を測る方が数値は低くなります。自宅にいるときの方がリラックスしているため、血圧も低くなるのです。

そのため、家での血圧の基準値は、病院で測る数値よりも低く設定されています。常に血圧が高いこのタイプの方は注意が必要です。

②仮面高血圧

病院で測ると正常値なのに、自宅で測ると高い数値が出る方です。病院では正常を「装う」ようなタイプの高血圧のため、「仮面」という名前がついています。このタイプの方はいずれ持続性高血圧に進行するため注意が必要です。

一般的に夜間、寝ている間は血圧が下がるものです。逆に夜間に血圧が上がる「夜間高血圧」、起き抜けに最も血圧が高くなる「早朝高血圧」の方は脳卒中や心不全のリスクとなります。

仕事や介護など、ストレスが続いている場合に高い数値が出る「ストレス性高血圧」の方もこの状態が続くと持続性高血圧につながる可能性が高いため注意しましょう。

③白衣高血圧

自宅では正常値なのに、病院で血圧を測るといつも高く出るタイプです。これは医療機関に来ると緊張して血圧の数値が高くなる方です。「白衣」というのは医師や看護師が着るものです。病院を連想させるものということから「白衣高血圧」と呼ばれます。

高血圧症とは?

高血圧症とは?

高血圧症とは、血圧の数値が常に基準値を超えている状態です。血圧の数値は一日の間にも変化しています。一時的に高い数値が出たというものではなく、持続している場合に「高血圧症」という病名が付きます。

自分が高血圧症であるかどうかは一定の期間持続して血圧を測ってみる必要があります。毎日同じ時間に血圧を測ってみて、一週間以上基準値を超えているようならば医療機関を受診しましょう。

高血圧の原因

高血圧の原因

高血圧の原因には2つのタイプがあります。ここからは高血圧になる原因について見ていきましょう。

本態性高血圧とは

本態性高血圧とは、特に原因がないのに血圧が高い状態です。遺伝や、生活習慣といったものが関係しているといわれていますが、はっきりしたことはわかりません。本人ですら高血圧症であることに気づいていないことが多いといわれています。日本人の85~90%はこのタイプの高血圧症です。

二次性高血圧とは

何かしら原因があり、血圧が高くなっている状態です。腎臓の病気やホルモンの異常によって血圧が高くなることがあります。

その他にも「甘草(カンゾウ)」という薬草を使用した漢方薬をずっと飲んでいる場合や、アレルギーを抑えるために服用しているステロイド薬、非ステロイド性の消炎鎮痛剤を飲んでいる場合なども血圧が高くなる原因になります。

また、アルデステロンというホルモンの作用により塩分を取りすぎたときと同じように、血圧が上昇することがあります。

高血圧になりやすい要素

高血圧になりやすい要素

次に、高血圧になりやすい要素について考えてみましょう。実際には高血圧の原因であるとはっきり分かることもあればどちらともいえない、また年齢や遺伝などの複合的な原因が絡んでいることもあります。

食塩の取りすぎ

塩分を取りすぎると、体の中では体液の濃さを一定にするために水分が分泌されます。そのため、血液の量が一時的に増えて、血管を圧迫するのです。2020年版の「日本人の食事摂取基準」では、塩分は一日当たり男性で7.mg未満、女性で6.5mg未満に抑えるよう推奨されています。

日本高血圧学会では高血圧の患者の一日の塩分摂取量を6mg未満にするようすすめています。これはラーメン一杯分の食塩に相当します。一方、野菜や果物、大豆製品にはカリウムが多く含まれています。カリウムは体から塩分を排出する働きをするため、積極的に取り入れたい素材です。

肥満

肥満になると血液の量が増加します。また肥満の方の血液は粘度が高く、ドロドロとしています。末梢血管には圧がかかるため高血圧になりやすいのです。また、肥満は高インシュリン血症の原因にもなります。心臓から送り出される血液の量が増加するため、血管に圧がかかります。

肥満の方がすべて高血圧になるわけではありませんが、傾向として肥満の方は高血圧に注意する必要があります。見た目にはやせ型でも内臓脂肪が多いタイプの肥満(メタボリックシンドローム)の方も注意が必要です。肥満を解消するだけでも血圧を下げることができます。

飲酒

習慣的な飲酒は高血圧の原因のひとつです。少量の飲酒は一時的に血管を拡張させて血圧を下げますが、習慣的な飲酒、度を過ごした飲酒は逆に血圧を上げます。なぜお酒を飲むと血圧が上がるのかについてははっきりとしてことはわかりませんが、お酒を飲むときに一緒に食べるものが高塩分であることなどが考えられます。

循環器病予防学会ではお酒の飲みすぎが高血圧の原因になるとして注意を促しています。

<お酒の適量についての目安>

  • 日本酒一合
  • ビール中瓶一本まで
  • 焼酎半合
  • ウイスキー、ブランデーはダブルで一杯
  • ワインは二杯

女性はこの半分の量が目安になります。

運動不足

運動不足は高血圧の原因のひとつです。適度な運動をすると、交感神経の働きが抑制されて血管が広がります。その結果、血圧が下がるのです。また、心臓から血液を送り出す量を増やす働きをするインスリンが、少量でも良く働くようになるため血圧が下がります。

さらに、運動によって利尿作用が活発になるため、体内の水分量が減り、血圧を下げる効果があります。運動の目安としては一日30分以上、または10分程度の運動を数回に分けて行うこと、週に3~4日行うこと(できれば毎日)が推奨されています。血圧を下げるために最も適した運動はウォーキングや自転車などの有酸素運動です。

睡眠不足

研究によると、睡眠不足になると夜間血圧と早朝血圧が高くなる傾向があるといわれています。夜間血圧と早朝の血圧が高いと、脳卒中や心筋梗塞のリスクが高くなるというデータもあり、より深刻です。

睡眠不足はストレスを蓄積させることにもなり、高血圧のリスクになります。データによると最も血圧を安定させるのは7~8時間睡眠で、それより長くても短くてもリスクは高くなります。トータルでの睡眠時間が確保できていても、中途覚醒の回数が多いことによっても血圧が上がるため改善が必要です。

排泄

排便、排尿の際に取る姿勢のために、血圧が一時的に高くなります。しゃがむ姿勢を取ったり、いきんだときに足に力が入ったりすることが、血圧が上がる原因です。また排泄後に急に立ち上がることも高血圧の原因になり、めまいやふらつきを起こすことがあるため注意しましょう。食物繊維をしっかり摂り、便秘を避けることで高血圧になるリスクを下げることができます。

また、腎臓は血圧と大きな関係があります。腎臓の働きが悪くなると利尿がうまくできなくなり、体内の水分量が増加します。血液の量が増えることで血管に圧がかかり、高血圧の原因になるのです。体内の水分を排出する、カリウムを多く含む野菜や果物を食べることで血圧を安定させることができます。

タバコ

タバコに含まれるニコチンは血管を収縮させます。また、タバコを吸うと血中に一酸化炭素が増えます。体に酸素をいきわたらせるため心臓は血液の流量を増やします。そのため血管に圧力がかかるのです。

タバコは高血圧を発症するリスク、悪化させるリスクが大きい習慣です。タバコを吸うことで動脈硬化や心筋梗塞のリスクも高くなるため、高血圧の方はタバコを止める方が良いといわれています。

高血圧が原因でおこる病気

高血圧が原因でおこる病気

高血圧はさまざまな病気の原因になります。ここからは、高血圧がもたらすリスクについて見ていきましょう。

動脈硬化

血管はもともと柔らかく弾力のあるものです。ところが、常に高い血圧にさらされていると、血管は徐々に硬くなり柔軟性を失いもろくなります。柔軟性を失った血管に血液が通るとき、ますます圧力は大きくなります。

つまり、高血圧が動脈硬化をもたらし、動脈硬化は高血圧をもたらすという悪循環に陥ります。動脈硬化は、次にあげるさまざまな疾患の原因になるため注意が必要です。1つずつ見ていきましょう。

脳卒中(脳梗塞・クモ膜下出血)

動脈硬化を起こし、硬くまたもろくなった血管にひびが入るとそこから血液が漏れ出します。血液が漏れている場所が脳ならば脳梗塞です。また、脳と頭蓋骨の間に、漏れ出した血液がたまると「クモ膜下出血」となります。どちらも命にかかわる重大なリスクです。

心筋梗塞・狭心症・心不全

動脈硬化が進むと、気づかないうちに血管が狭まり、心筋梗塞や狭心症を起こすリスクが高くなります。また、狭くなって血液が通りにくくなった血管に血液を通すため、心臓には大きな負担がかかります。徐々に心不全が進行している場合があり、注意が必要です。

大動脈瘤・大動脈解離

大動脈瘤も大動脈解離も、高血圧が原因です。もろくなった血管の内側が破れ、そこに血液がたまるようになると「瘤(りゅう)」と呼ばれる「こぶ」ができます。破裂すると大出血を起こし、命にかかわります。

また、血管の壁に圧力がかかり続けることによって動脈が裂け、出血するのが「大動脈解離」と呼ばれる疾患です。激痛が起こりますし、一刻も早く処置をしなければ命を落とすこともある深刻な状態です。

コロナ感染症の重症化

コロナ感染症の合併症として最も多かったのが高血圧です。研究者によると、高血圧の持病を持っている人がコロナ感染症にかかった場合、入院しなければならないほどの思い症例になる確率が、血圧に問題のない人の2倍以上であるといわれています。

高血圧の人は血管がもろくなっているため、重症化しやすく、コロナ感染症が流行している間、非常に大きなリスク要因となっていました。

高血圧の治療と予防

高血圧の治療と予防

高血圧の治療はすなわち生活習慣病の治療と予防です。まずは減塩での食事習慣を定着させること、カリウムを多く含む野菜や果物をしっかり摂ること、運動をすること、肥満の解消、禁酒、禁煙を目指します。それで改善が見られなければ、さらに利尿剤を使って体内の水分量を減らすことや、降圧剤を使用して血圧を下げます。

治療については1人ひとりの症状や、進行度合いによって異なるため、かかりつけの医師に相談しましょう。

まとめ|生活を見直すことで高血圧を予防しよう

まとめ|生活を見直すことで高血圧を予防しよう

高血圧は生活習慣病と密接に関係しています。治療は食事改善と運動療法がメインです。高血圧はさまざまな疾患のリスク要因となっており、軽く考えることはできません。「血圧が高めです」と言われたら、生活習慣を見直すとともに血圧を毎日測り、自分の状態を常に把握するようにしましょう。

ヒロオカクリニックでは、高血圧をはじめとした生活習慣病の診察をおこなっております。
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