【新型コロナウィルス】都が無症状感染者を警戒する理由

INDEX

東京都は2021年4月から、新型コロナウイルス感染拡大防止策の一環として、症状のない希望者を対象にPCR検査を始めました(*1)。

無症状感染者に対する警戒がなぜ必要なのか、そのリスクを解説します。

無意識に感染させるから恐い

他の病気においても同じことが言えますが、無症状は怖い状態です。健康であると勘違いされるので、治療が遅れて症状を悪化させてしまうからです。

感染症における無症状は、さらに危険です。症状があれば「感染しているかもしれないから感染させないようにしよう」と自主的に行動を制限できますが、無症状ではそのように思うことができません。

つまり無症状感染者は、悪気なく外出して人がいるところに行き、無意識に他の人に感染させている可能性があるのです。

そのため、国や自治体は、無症状感染者を把握して、その人たちに感染させない行動を取ってもらう必要があります。

これが、東京都などが無症状感染者を警戒する理由です。

無症状感染者のリスクとは

厚生労働省は、コロナの感染経路は、有症状者によるものが主体であるとしながら、無症状病原体保有者からの感染リスクもある、としています(*2)。

同省は無症状感染者のことを、無症状病原体保有者と呼んでいます。

無症状感染者がどれくらい危険なのか紹介します。

無症状者は感染者の約30%

コロナ感染症は感染者を死にいたらしめることがあるほど危険な病気ですが、無症状のまま終わることもある不思議な病気です。

新型コロナウイルスに感染すると5日前後で発症し、そのときに出る症状は発熱、咳、喉の痛み、倦怠感などです。

しかし、感染者の約30%は、感染から5日以上がすぎても症状が出ない無症状感染者です。

有症状者でも、感染から5日前後は無症状なので行動制限を実施できず、この間に無意識に感染させてしまうかもしれません。

しかし無症状者は、その後もずっと行動制限を実施できない可能性があります。

ここまでの説明をまとめると次のようになります。

有症状者は感染者の約70%を占めるので、感染の主体者である
無症状者は感染者の約30%だが、行動制限を起こしにくいので他の人に感染させる危険性は高い

都の危機感

東京都は2021年4月から、感染拡大の予兆をつかむ目的で、無症状者にもPCR検査を希望する人にPCR検査を行ってきました(*3)。会場で検査キットを配布して、唾液を採取して郵送してもらいます。

5月17日までに15,900人の無症状者に検査をして、そのうち0.18%の28人が陽性でした。

ただ、無症状者PCR検査を行える回数には上限があり、6月までは1日700件で、7月から増やしましたがそれでも1日1,200件です。

無症状者の発見が難しくなっている?

都が無症状者PCR検査を拡充したのは、陽性を確認したときの無症状者が約10%にとどまっているからです(*4)。

先ほど紹介したとおり、無症状者感染者は感染者全体の約30%いるはずなのに、約10%しか見つけられていないわけです。

つまり、感染者の約20%に当たる無症状感染者は、普通に生活して無意識に感染を広げている可能性があります。

無症状者の発見は、日に日に難しくなっています。

都の調査では、2020年12月上旬は、陽性者に占める無症状者の割合は23%でしたが、2021年1月には16%に低下し、6月は13%へとさらに低下しました。

こうした事態が起きているのは、保健所の負荷が増したことで、無症状者が多く含まれていると推測される濃厚接触者への確認が後手に回っているからとみられています(*4)。

高まる抗原検査への期待

無意識による感染を防ぐには、無症状感染者を見つけなければならず、それには多くの人に検査を受けてもらう必要があります。

しかし、この「多くの人の検査」は簡単には行なえません。

究極の理想は全員検査ですが、それには莫大な検査コストがかかるので現実的ではありません。では、何人検査したら「多く」の人を検査したことになるのかというと、その線引きも簡単ではありません。

「多く」の人数を決める1つの基準は検査コストです。例えば、先ほど紹介したとおり、東京都は無症状者PCR検査の検査数を1日1,200件にしましたが、これは人員や検査体制や予算などから割り出した数字です。

東京都は都道府県のなかでも最も裕福な自治体ですが、これが限度です。

そこで、無症状感染者発見の切り札として期待されているのが、抗原検査です。抗原検査は、PCR検査よりコスト安に実施でき、結果も早く出ます。

PCR検査は結果が出るまでに2~9時間かかりますが、抗原検査は30~40分で出ます(*5)。

実は、以前は抗原検査は無症状者への検査には向かないとされていました(*5)。

しかしその後、新たな抗原検査手法が開発され、今は有症状者、無症状者問わず確定診断に使えるようになりました*6)。

厚生労働省は抗原検査について次のように述べています(*7)。

 

抗原定性検査については、これまで無症状者に使用することは推奨されてきませんでしたが、今般、感染拡大地域の医療機関や高齢者施設等において幅広く検査を実施する際にスクリーニングに使用することは可能とされました。

PCR 検査等による実施が困難な場合に抗原定性検査により幅広く検査を実施することは、重症化リスクの高い者が多い医療機関や高齢者施設等における感染拡大を防止する観点から有効であると考えられます。

医療機関・高齢者施設等における無症状者に対する検査方法について(要請)、一部省略(2021年1月22日、厚生労働省新型コロナウイルス感染症対策推進本部)

 

まとめ~機会があればぜひ

無症状感染者対策は、解決が難しい問題です。症状がない以上、感染していない状態と感染している状態は検査でしか区別できないからです。仮に全員検査が実現しても、いつ感染するかわからないので常に全員検査し続ける必要があり、それは非現実的です。

自分が無症状感染者になって感染を広げないようにするには、PCR検査や抗原検査をする機会があったら、積極的に受けることが大切です。

それによって大切な人と社会を守ることにつながります。

 

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