疲労感・倦怠感はコロナ後遺症の最も代表的な症状

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新型コロナウイルス感染症(以下、コロナ感染症)が消失したのに苦しい症状が続くことがあります。

これを「コロナ感染症の罹患後症状」といい、「コロナ後遺症」と呼ばれることもあります。

厚生労働省は疲労感・倦怠感を、コロナ後遺症の代表的な症状のトップに紹介しています。それはコロナ後遺症を発症した人の多くが疲労感・倦怠感を訴えるからです。

この症状の特徴や対処法などを解説します。

19種類の症状

厚生労働省はコロナ後遺症の代表的な症状として、次の19種類を紹介しています(*1)。

■コロナ感染症の代表的な症状
1)疲労感・倦怠感
2)関節痛
3)筋肉痛
4)咳
5)喀痰
6)息切れ
7)胸痛
8)脱毛
9)記憶障害
10)集中力低下
11)頭痛
12)抑うつ
13)嗅覚障害
14)味覚障害
15)動悸
16)下痢
17)腹痛
18)睡眠障害
19)筋力低下

コロナ後遺症の症状はこの他にも存在しますが、しかしコロナ感染症を発症した人は、まずはこの19種類の症状に警戒したほうがよいでしょう。

症状の特徴は「特徴がないこと」

19種類の症状をみると、全身的なもの(疲労感・倦怠感や筋肉痛など)、気管に出るもの(咳や喀痰など)、心臓系(息切れや胸痛、動悸など)、脳や神経や精神的なもの(記憶障害や頭痛、抑うつなど)、鼻と口に出るもの(嗅覚障害、味覚障害)、消化器に出るもの(下痢や腹痛など)などにわけることができるでしょう。

これだけ多岐にわたると、特徴がないことが特徴、といえそうです。

症状が出るパターン

コロナ後遺症は症状の出方にも種類があります。

■コロナ後遺症の症状が出るパターン
コロナ感染症の症状から継続するパターン
・コロナ感染症から回復した後、新たに出るパターン

コロナ感染症の症状が引き続きコロナ後遺症の症状になると、コロナ感染症が治ったのかどうかがわからず、不安になると思います。

また、回復したあとにコロナ後遺症の症状が出ると、コロナ後遺症なのか、それとも別の病気によるものなのか判別しづらいと思います。

報道によると、新型コロナに感染してから3カ月も経ったあとにコロナ後遺症が出た事例もあります(*2)。

コロナ感染症を発症した方は、それが終了しても警戒し続ける必要があります。

コロナ後遺症の倦怠感の特徴

ここからは、コロナ後遺症の疲労感・倦怠感にフォーカスを当てていきます。

ただし現段階(本稿執筆時、2023年1月)では、保健当局や研究機関がコロナ後遺症の疲労感・倦怠感の特徴を発表しているわけではありません。

そこでここでは、国内の医療機関や行政機関が集めた情報から疲労感・倦怠感の特徴を紹介していきます。

神奈川県の見解

神奈川県はコロナ後遺症の倦怠感の特徴を次のように説明しています(*3)。

・安静にしていると大丈夫だが、少し頑張って動くと疲れ切って動けなくなる
・徐々に倦怠感が悪化した場合、精神的なストレスが要因になっている可能性がある

「疲れ切る」「動けなくなる」と、かなり重症度が高くなることを知らせています。

また、精神的な支障はコロナ後遺症の症状の1つでもあるため、これが倦怠感の要因になるということは「精神的なストレス→倦怠感→精神的な支障の悪化」といった悪循環に陥ることを警戒しなければならないでしょう。

身体的な疲れだけでなく、心の疲れにも注意してください。

静岡県の病院の見解

静岡県掛川市の中東遠総合医療センターの漢方外来には、疲労感・倦怠感について次のような症状を訴えるコロナ後遺症患者さんが来院するといいます(*4)。

・そのときは動けるが、数時間~半日後に時間差でしんどくなる
・無理をすると寝たきりになるが、休むことで少しずつ回復する
・座っている状態や立っている状態など、頭を起こしている時間が長いほど倦怠感が出やすくなる
・重い物を持ったり筋トレをしたりして筋肉に負担をかけるとあとで倦怠感が強くなる

疲れの状態がかなり具体的に表現されています。

あとから疲れがくる、休みながら取り組めば乗り越えられる、といった特徴は個人差があると思いますが、コロナ後遺症の気づきには重要な情報といえるでしょう。

マスコミが紹介する症状

東洋経済は2022年にコロナ後遺症のリサーチを行い、慢性疲労を招くこともあるので軽視しないようにと警鐘を鳴らしています(*5)。

東洋経済は海外の複数の研究結果として、コロナ後遺症の倦怠感は患者さんの6割でみられ、半年以上続くことも2割ほどある、と報告。

これは厚生労働省がコロナ後遺症の症状として最初に疲労感・倦怠感を挙げていることと合致します。

さらに、コロナ感染症が軽症で済んでも、コロナ後遺症で苦しむこともあるとしています。

そしてより恐いのは、コロナ後遺症から慢性疲労症候群に進んでしまうことです。

慢性疲労症候群とは強い疲労が6カ月以上続く症状で、全身の脱力などで日常生活を送ることが困難になります。原因は不明とされています(*6)。

治療は対処療法しかない状態

コロナ後遺症の治療法については、厚生労働省でも「時間の経過とともに症状が改善することが多いとされています」「各症状に応じた対処療法が行われている」と答えるのがやっとです(*7)。

ただし、コロナ後遺症は症状がなくなってしまえば支障がなくなるタイプの病気なので、対処療法はとても重要になります。

横になって休憩を

倦怠感については、先ほど紹介した中東遠総合医療センターがかなり具体的な対処療法を紹介しています。

・倦怠感や頭痛が生じたら、横になったり、座って机に突っ伏したりすると症状が和らぐことがある
・調子がよいときも休憩しながら働く
・運動は控える
・入浴や毎日のシャワーはかなりエネルギーを使うので控えて、軽く体をふくだけにとどめたり、数日おきのシャワーにしたりする
・生活のリズムを整える:しっかり睡眠を取る、スマホやゲームを控える、食生活を改善する、好きなことをしてメンタルを維持する

これらはコロナ後遺症が続いていると考えられる期間に取ったほうがよい行動になります。

医療機関にかかる

「対処療法しかない」と落胆する必要はなく、「対処療法がある」と前向きにとらえましょう。

特に医療機関が提供する対処療法は効果が期待できます。

そしてコロナ感染症にかかった人は、それから時間がかなり経過していても、不快な症状が出たら医療機関にかかったほうがよいでしょう。

その他の病気かコロナ後遺症かが判明するだけでも気持ちが楽になり、診断がつけば治療法が明確になり治癒に一歩近づくことができます。

まとめ~「気のせい」と思わず受診を

この記事の内容を箇条書きでまとめます。

・コロナ後遺症の症状は少なくとも19種類あり、倦怠感は特に訴える人が多い
・倦怠感は動けなくなるほど重症化することもある
・調子がよいときも休み休み仕事や活動をする
・コロナ感染症を経験した人は、不快な症状が出たら無理せず早めに受診を

コロナ後遺症は忘れたころにやってくることがあります。

コロナ感染症を経験した方は、「気のせいかな」と思わず、苦しかったら医療機関を頼ってください。

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