糖尿病の治療法や初期症状について

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自分や身近な人が糖尿病と診断され、「これからどんな治療が必要なのか」「治療すれば良くなるのか」など疑問や不安を持ちの方も多いのではないでしょうか。

ただ、糖尿病は「治る・治らない」という概念が当てはまらない病気であり、治療の目的も「病気をコントロールすること」にほかなりません。糖尿病治療とは「生涯を通じて病気とうまく付き合っていくための手段を身につけること」といっても過言ではないでしょう。

その手段となるのが「食事療法」「運動療法」「薬物療法」の3つの治療法です。ここでは、この3つの治療法を中心に、糖尿病治療の目的や長く続けるためのコツなどをご紹介していきます。

どの治療をどの程度行うかは、糖尿病のタイプや個々の病状によって異なります。したがって、まずは本記事で糖尿病治療の基本的な知識を身につけ、これからの生活や治療に役立てていきましょう。

糖尿病治療の目的 なぜ「血糖のコントロール」が必要なのか?

糖尿病治療の目的 なぜ「血糖のコントロール」が必要なのか?

糖尿病は血糖値が慢性的に高いことで体の各所に合併症を引き起こし、生活の質や寿命に影響を及ぼす病気です。その糖尿病の治療には次のような目的と意義があります。

糖尿病治療の目的は「血糖をコントロールする」こと

糖尿病治療の大きな目的は、血糖値を良い状態に保ちながら健康な人と変わらない生活の質(QOL)を維持することです。これを「血糖のコントロール」といいます。

糖尿病は治療で血糖値を下げることはできても、血糖値が高くなる要因を改善することはできません。したがって、糖尿病治療は「病気を治す手段」ではなく、「病気をコントロールしながらうまく付き合っていく手段」と考えるほうが正しいでしょう。

血糖コントロールで「合併症」を回避する

糖尿病を治療しないまま高血糖の状態を放置すると、ドロドロした血液が長い時間をかけて血管にダメージを与え、体の各所に様々な障害を引き起こします。その代表的なものが網膜症、腎症、神経障害などの糖尿病合併症です。

初期の糖尿病は検査で血糖値が高くてもほとんど症状がなく、日常生活にも支障をきたしません。しかし、進行による合併症が生じると生活の質(QOL)を著しく低下させるだけでなく、生命予後にも影響を及ぼします。糖尿病治療による血糖コントロールはこのような合併症を予防し、健康な人と変わらない日常生活を送ることに貢献します。

血糖コントロールの目標は「HbA1c7%未満」

糖尿病治療の血糖コントロールでは、血液検査で「血糖値」や「HbA1c(ヘモグロビン・エーワンシー)」を測定して治療の効果を確認します。

HbA1cは過去1~2ケ月の血糖値を反映した数値です。正常値は6.0%未満ですが、糖尿病合併症の予防では7.0%未満を目標値に定めていきます。これに対応した血糖値として、空腹時血糖が130mg/dL未満、食後2時間の血糖値が180㎎/dL未満をおおよその目安にします。

糖尿病治療でどうやって血糖をコントロールする?

糖尿病治療でどうやって血糖をコントロールする?

では実際に、どのような方法で血糖をコントロールしていくのか、代表的な糖尿病の治療法をご紹介しましょう。

糖尿病治療の3本柱は「食事療法」「運動療法」「薬物療法」

糖尿病治療の中心は食事と運動、そして薬による血糖のコントロールで、それぞれ「食事療法」「運動療法」「薬物療法」と呼ばれています。

各治療法の目的や具体的な方法については次項から詳しく解説していくので、そちらを参考にしてください。

どの治療法を主軸にするかは糖尿病の種類(1型・2型)や病状で変わる

糖尿病治療の内容は一律ではなく、糖尿病の種類や個々の病状によってどの治療を主軸に置くかが変わってきます。

例えば、1型糖尿病の方は自分の体内でインスリン(血糖値を下げるホルモン)が作れません。そのため、1型糖尿病の治療はインスリン注射による薬物療法を主軸に、これと並行して食事療法や運動療法を進めていきます。

これに対して、2型糖尿病では食事療法と運動療法の2つを中心に、適正な体重を維持しながらインスリンの分泌能力や効き方を改善するのが一般的です。この2つの治療でもインスリンの量や効き方が不十分な場合に、必要に応じて薬物療法を検討していきます。

糖尿病の治療法①食事療法

糖尿病の治療法①食事療法

糖尿病治療の食事療法では、体内に取り込まれる糖の量やエネルギーのバランスを調整しながら正常に近い血糖値を維持していきます。

まずは正しい食習慣を身に着ける

糖尿病の食事療法をはじめるにあたっては、色々難しく考えるよりも先に「当たり前のことを当たり前にできるようになること」が肝心です。

例えば、「朝・昼・晩と規則正しく食べる」「バランスよく食べる」「ゆっくりよく噛む」などは小学生でも知っている食習慣の基本ですが、大人になると意外とできていないものです。このように頭ではわかっていてもできていない食習慣を見直すことが、糖尿病治療の第一歩といえます。上記のほかにも「腹八分に抑える」「夜遅く・寝る前に食べない」なども心がけましょう。

バランスのとれた食事で栄養素を過不足なく

糖尿病の食事療法では、3大栄養素である「炭水化物」「タンパク質」「脂質」のほか、ミネラル・ビタミンなどの栄養素をバランス良く食べることが大切です。

とはいえ、『バラスよく』と言われても何を、どのぐらい食べていいのかの目安がわからないと日々の献立に困ってしまいます。ここで1つ参考になるのが、日本糖尿病学会が発行する「糖尿病食事療法のための食品交換表」です。

この食品交換表では、普段私たちが食べている食品を6つのグループと調味料に分け、それぞれで80kcalあたりの栄養素の平均含有量を示しています。どの食品をどのぐらい食べたらいいのか詳しく知りたい方は、こちらを参考にしてみましょう。

「野菜→おかず→ご飯(炭水化物)」の順で食べる

糖尿病の食事療法では、血糖値の急激な上昇や下降を防ぐことも重要です。このような血糖値の乱高下(血糖値スパイク)は血管に大きなダメージを与えてしまいます。

食後血糖値の急激な上昇を抑えるポイントは、食べる順番を工夫することです。具体的には、食物繊維を含んだ野菜を最初に食べて、次におかず、最後にご飯や麺類などの炭水化物という順でゆっくりよく噛んで食べます。くわえて「朝食を抜く」「深夜遅くに食事をする」といった不規則な食生活も改善していきましょう。

味つけは「薄め」に

糖尿病の食事療法では、減塩による高血圧予防もあわせて行います。塩分の高い食事は血圧が上がりやすく、とくに糖尿病の方の場合は腎臓への負担が大きくなるため注意が必要です。「1日6.5g未満」を目安に、できることから実践してみましょう。

間食(おやつ)は主治医と相談しながら決める

糖尿病の食事療法では、「〇〇は食べてはいけない」といった食品の制限はありません。1日あたりの糖分の量と摂取カロリー、栄養バランスに注意すれば、基本的に何を食べても問題ありません。

ただ、朝・昼・晩の3食に間食が加わるとどうしても糖分の量が増えてしまい、血糖コントロールが難しくなります。したがって、間食については主治医と相談し、量をきめて上手に摂るようにしてください。

糖尿病の治療法②運動療法

糖尿病の治療法②運動療法

糖尿病の運動療法には運動によって体内の糖が使われるほか、筋肉量が増えることで糖代謝やインスリンの働きを高める効果があります。

メインは「有酸素運動」と「レジスタンス運動」

糖尿病の運動療法では、有酸素運動とレジスタンス運動の2つが推奨されています。有酸素運動は全身の筋肉を使って体を動かす運動で、具体的なものに、ウォーキング、ジョギング、水泳などがあります。

レジスタンス運動はいわゆる筋力トレーニングのことで、筋肉に負荷(レジスタンス)をかける動作を繰り返します。具体的なものに、腹筋、ダンベル、腕立てふせ、スクワットなどがあります。

有酸素運動は「週に150分以上」「週に3回以上」を目安に

糖尿病の運動療法では、中等度で「ややきつい」と感じるぐらいの有酸素運動が推奨されます。運動量の目安は「週に150分かそれ以上」「週に3回以上」で、運動の持続時間は20分以上が望ましいとされています。

レジスタンス運動(筋力トレーニング)は週2~3回程度で

糖尿病の運動療法におけるレジスタンス運動は、連続しない日程で週2~3回のトレーニングが推奨されています。ただし、ご高齢の方や持病のある方は医師の指導の下で行い、あまり負荷の強い運動は控えるようにしてください。レジスタンス運動を行うタイミングは、1日のうちに運動が可能な時間帯で問題ありませんが、食後1時間以内に行うと食後の高血糖が改善しやすくなります。

糖尿病の治療法③薬物療法

糖尿病の治療法③薬物療法

糖尿病治療の薬物療法では、血糖値を下げるインスリンの分泌を良くするものや効きを良くするもの、さらに糖の分解・吸収を遅らせるものなど、様々な種類の薬が使われます。

薬は「飲み薬」と「注射」の2種類

糖尿病の薬物療法で使用する薬剤には、「飲み薬」と「注射」の2種類があります。飲み薬はさらに次の3種類、注射は大きく2種類に分類されます。

飲み薬 インスリンを出しやすくする薬
  • ・スルホニルウレア薬
  • ・速効型インスリン分泌促進薬など
インスリンを効きやすくする薬
  • ・ビグアナイド薬
  • ・チアゾリジン薬など
糖の吸収や排せつを調整する薬
  • ・α-グルコシダーゼ阻害薬
  • ・SGLT2阻害薬など
注射薬 インスリンを出しやすくする GLP-1受容体作動薬
インスリンそのものを補充する インスリン製剤

1型糖尿病は「インスリン療法」が必須

1型糖尿病はインスリンを分泌する膵臓の細胞(β細胞)が破壊されているため、自身の体でインスリンを分泌することができません。そのため、1型糖尿病の治療はインスリン注射による薬物療法が必須となります。

2型糖尿病では先の食事療法、運動療法で血糖コントロールが十分に得られない場合に、薬物療法を検討していきます。

食事療法と運動療法は継続する

糖尿病の薬物療法は、食事療法と運動療法を並行して行うのが原則です。適切な食事療法、運動療法を行うことで、インスリンの効きやすい体質を作ることができます。反対に、食事療法や運動療法を行わずに薬物療法を行うと、体重が増えて肥満になるほか、脂質異常や高血圧を引き起こすおそれがあるため注意が必要です。

糖尿病治療をうまく続けるコツ

糖尿病治療をうまく続けるコツ

糖尿病は治療で「治す」のではなく「コントロール」する病気ですので、生涯を通じて続けていく必要があります。あきらめず、病気と長く付き合っていくポイントを以下にご紹介しましょう。

できることから少しずつ(頑張りすぎない)

糖尿病の治療を長く続けるためには「頑張りすぎない」ことも大切です。何ごとも頑張りすぎると疲れて続かなくなるため、まずはできることから少しずつ継続していきましょう。

血糖値・体重・血圧を記録する(セルフモニタリング)

糖尿病は血糖値が高くなっても、これといって目立った症状があらわれません。自覚症状で病気をコントロールするのは難しいため、血糖値や体重、血圧の変化を測定し、記録することをおすすめします。数値を記録しておくことで自身の血糖値の状態が把握しやすいほか、数値が安定すると治療のモチベーションアップにもつながります。

家族や周囲のサポートを受ける

食事療法や運動療法など、生活に密着している糖尿病治療は家族や周囲のサポートも欠かせません。一人でやって辛いことも、家族と一緒であれば頑張れることも多くなるでしょう。また、家族だけでなく医師や看護師、管理栄養士もあなたの治療を支えるチームの一員です。糖尿病でわからないこと、家族に言えない不安などもぜひご相談ください。

糖尿病になるとどんな症状があらわれる?

糖尿病になるとどんな症状があらわれる?

糖尿病が強く疑われるものの割合(20歳以上、性・年齢階級別)

厚生労働省の国民健康・栄養調査(2019年)によると、糖尿病が強く疑われる人の割合は男性で19.7%、女性で10.8%となっています。この割合は年齢が上がるほど高くなる傾向があるため注意が必要です。

糖尿病の初期はほとんど症状がない

糖尿病は血糖値を下げる「インスリン」というホルモンが十分に働かず、血液中の糖(血糖)が増えてしまう病気です。膵臓の細胞が壊れてインスリンがほとんど出なくなる「1型糖尿病」と、インスリンが出にくくなったり、効きにくくなったりする「2型糖尿病」の2つのタイプがあります。いずれのタイプも初期の段階では自覚症状がほとんどないため、自分が糖尿病になっていることに気づかない方も少なくありません。

高血糖では「喉の渇き」「尿量の増加」などの症状が

糖尿病で高血糖の状態が続くと、次の症状があらわれます。

【糖尿病の症状】

  • ・のどがよく渇く(飲水回数が増える)
  • ・尿の回数が増える
  • ・体がだるい、疲れやすい
  • ・食べているのに体重が減る
  • ・手足がしびれる

これらは糖尿病の代表的な症状ですが、1型糖尿病ではある日急激に症状があらわれるのに対し、2型糖尿病ではゆっくり症状があらわれるのが特徴です。

重度になると合併症を引き起こす

糖尿病がさらに進行すると、大小の血管が傷ついて体の各所に合併症を生じていきます。細い血管の障害で起こる代表的な合併症が、「網膜症」「腎症」「神経障害」の糖尿病3大合併症です。これにより、最悪のケースでは視力の低下や失明、腎機能の低下(人工透析)、手足の切断に至ってしまう場合があります。

糖尿病で大きな血管に障害が起こると、脳梗塞や心筋梗塞など重篤な症状を引き起こします。さらに、糖尿病の方は合併症により「傷が治りにくい」「感染症にかかりやすい」という特徴もあるため、歯科治療や感染症にも注意が必要です。

まとめ

以上の内容をまとめると、糖尿病の治療では次の5つのポイントをしっかりおさえておきましょう。

  • ・糖尿病治療の目的は「血糖コントロール」
  • ・血糖をコントロールする方法には「食事療法」「運動療法」「薬物療法」の3つの治療法がある
  • ・1型糖尿病は「薬物療法」を中心に、2型糖尿病は「食事療法」「運動療法」を中心に行う
  • ・糖尿病は血糖をうまくコントロールできれば、健康な人とかわらない生活が送れる
  • ・治療を続けるコツは「頑張りすぎないこと」「周囲のサポートを受けること」

ヒロオカクリニックには日本糖尿病学会が認める糖尿病専門医が在籍し、他の専門医と連携しながら診療を行っております。

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