脂質異常症は高脂血症と何が違うのか 食べてはいけないものとは

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脂質は、糖質とタンパク質とともに3大栄養素と呼ばれています。すなわち脂質は人の体になくてはならない物質ですが、摂りすぎると病気になってしまいます。
脂質を摂りすぎて健康を害する症状が、脂質異常症です。

脂質異常症はかつて、高脂血症と呼ばれていました。名称が変わった理由は、この病気の本質に深くかかわっています。
この記事では、名称が変更された理由を含めて、脂質異常症について詳しく解説します。
また、脂質異常症を発症した人が食べてはいけない物も解説します。

脂質異常症の定義

脂質異常症とは、脂質代謝に異常をきたした状態のことで、次のいずれかの条件に当てはまったときに診断されます。

・LDLコレステロールが140mg/dl以上
・HDLコレステロールが40mg/dl未満
・中性脂肪が150mg/以上

専門用語がいくつか出てきたので、詳しく解説していきます。

代謝とは、脂質代謝の異常とは

代謝は体のなかで頻繁に起きている現象ですが、意外に理解しづらい概念です。
代謝とは、化学変化とエネルギー変換のことです。
人が物を食べると、その物のなかの物質は体内でさまざまな形に変化します。それが化学変化であり、代謝です。
そして、食べ物のなかには、エネルギーを生む物があります。人が物を食べると元気になるのは、食べ物からエネルギーを得ているからです。食べ物が人のエネルギーに変わる過程も代謝といいます。

食べ物に含まれる脂質は、体内でホルモンの材料になったり、細胞膜をつくったり、エネルギー源になったりします。これが脂質の代謝です。

このことからも、正常な脂質代謝が、人が生きていくうえでなくてはならない現象であることがわかります。
しかし脂質を摂りすぎると脂質代謝が異常をきたし、健康に大きな害を及ぼすことになります。

LDL、HDL、中性脂肪の解説

もう一度、脂質異常症の定義を確認してみます。

・LDLコレステロールが140mg/dl以上
・HDLコレステロールが40mg/dl未満
・中性脂肪が150mg/以上

多くの病気は、特定の物質の数値が基準より高いとき、または低いときに確定しますが、脂質異常症の定義には「以上」と「未満」が混在しています。
多いほうがよい物質と、少ないほうがよい物質があるわけです。
LDLコレステロールと中性脂肪は多いほうが健康に悪いので「悪玉」、HDLコレステロールは多いほうが健康によいので「善玉」になります。

コレステロールとは脂質そのものです。
そしてLDLコレステロールは、全身にコレステロールを供給する役割を担っているため、これが増えると全身のコレステロールが増えてしまい、動脈硬化などの病気を引き起こします。
したがって「悪玉」と考えることができます。

HDLコレステロールは全身の余分なコレステロールを肝臓に戻す役割を担っています。HDLコレステロールが増えると、全身の余分なコレステロールが減るので「善玉」です。

中性脂肪はエネルギー源として重要ですが、摂りすぎると皮下脂肪になり生活習慣病のリスクを高めます。したがって中性脂肪も「悪玉」です。

脂質については、LDL、HDL、中性脂肪の3つの要素を考えなければ、真の健康を目指すことができません。それがこの病気の名称を変更した由来になっています。

2007年に高脂血症が脂質異常症に変わった

日本動脈硬化学会は2007年に、高脂血症の名称を脂質異常症に変えました。
「高脂」と呼ぶと、すべての脂質が悪者のようなイメージを抱きます。しかし先ほど紹介したとおり、脂質は3大栄養素の1つですし、HDLはむしろ「高」いほうが健康にプラスに働きます。
そこで「脂質代謝に異常が起きたときに病気とする」という意味の脂質異常症という名称になりました。

脂質異常症は血管を傷つける

脂質異常症になると、体内のコレステロール・バランスが崩れ、血管内に余分なコレステロールが蓄積されていきます。
脂質異常症が恐いのは、血管を傷つけるからです。

LDLコレステロールには、血管の壁のなかに入り込む性質があります。LDLコレステロールが増えすぎると、血管の壁のなかに続々侵入して「こぶ」をつくり、これをプラークといいます。

プラークが生む3つの危機

プラークは「血圧を上げる」「血管を硬くする」「血栓をつくる」という3つの危機を生みます。

プラークが成長すると、血管の内側の空間が狭くなります。血管は水を通すホースのようなものなので、内側が狭くなると血液が勢いよく流れて血圧が上がります。ホースの口をすぼめると水の勢いが増すのと同じ原理が働きます。

血圧が上がると血管に強い圧力が加わるので、柔らかくしなやかだった血管が硬くなり、動脈硬化へと進んでしまいます。

そしてプラークが成長し続けると、やがて破けてしまいます。それが血管を詰まらせる「ゴミ」になります。このゴミのことを血栓といい、脳や心臓の血管を詰まらせると命にかかわることになります。

高血圧、動脈硬化、血栓は、いずれも深刻な病気の原因になります。

脂質異常症が原因となる病気

脂質異常症は、次のような病気の原因になります。

・脳の病気:脳梗塞、脳出血など
・心臓の病気:心筋梗塞、狭心症など
・腎臓の病気:腎硬化症、腎不全など
・血管の病気:大動脈瘤破裂、閉塞性動脈硬化症など

いずれも命にかかわったり、重大な後遺症を残したり、生活の質を著しく低下させる病気です。
「脂質異常症」→「高血圧、動脈硬化、血栓」→「上記の深刻な病気」という順番で、人の健康を害していきます。

食べないほうがよい物、食べたほうがよい物

脂質異常症と診断されたら、薬の治療のほかに食事療法に取り組みます。
食事療法と聞くと「あれもこれも食べるなと言われそう」と思うかもしれませんがそうではありません。

例えば脂肪でも、飽和脂肪酸は摂らないほうがよいのですが、不飽和脂肪酸はむしろ積極的に摂ったほうがよいとされています。

飽和脂肪酸は肉の脂や乳脂肪で、体内のLDLコレステロールを増やす効果があるので、脂質異常症と診断された方はなるべく食べないようにしましょう。
不飽和脂肪酸は植物油やオリーブ油、魚の脂で、LDLコレステロールを下げる効果があるので、積極的に摂ったほうがよい食材です。

また砂糖、果物、ジュースなどに含まれる糖質は中性脂肪を増やすので、少なくしましょう。

そして何より注意したいのは総コレステロール量を減らすことです。脂質異常症の方は、コレステロール量を1日200mg以下にするようにしてください。
200mgは意外に簡単に達してしまうので気をつけてください。親子丼のコレステロール量は380mg、カステラは1切80mgです。

脂質異常症の方は、食物繊維を積極的に摂るようにしてください。野菜、キノコ、海藻、玄米は食物繊維が多い食材です。
食物繊維は、脂肪の吸収を助ける胆汁酸という物質を体外に排出する役割があります。体内の胆汁酸が減れば脂肪が吸収されずに済むわけです。

以上の内容を箇条書きにします。

<脂質異常症の人におすすめする食事の仕方>
・飽和脂肪酸(肉の脂、乳脂肪)の摂取を減らす
・不飽和脂肪酸(植物油やオリーブ油、魚の脂など)の摂取を増やす
・糖質(砂糖、果物、ジュースなど)の摂取を減らす
・総コレステロール量を減らす:1日200mg以下にする
・食物繊維(野菜、キノコ、海藻、玄米など)の摂取を増やす

まとめ~食べ物を「毒」にしないように

食べ物は生きるうえで欠かせないものですが、大抵の食材は食べすぎると人にとって「毒」になります。
脂質異常症における脂質はその典型で、3大栄養素の脂質ですら、摂りすぎると重大な病気を引き起こしてしまいます。
食べ物を毒にしないように、脂質異常症には十分注意してください。健康診断を受けたら、LDLコレステロール、HDLコレステロール、中性脂肪の3項目に注目するようにしてください。

当クリニックでは、「かかりつけ医」として常勤の宮本医師(総合内科専門医)を中心に糖尿病専門医、循環器内科専門医、腎臓専門医等の多くの専門医が協力して各種生活習慣病の診察・治療を行っておりますので、お気軽にご相談ください。
健診などで何かしら検査数値の異常を指摘された方もお気軽にご相談ください。

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