かかりつけ医の条件を考えてみました

INDEX

厚生労働省は国民に、かかりつけ医を持ちましょうと呼びかけています*1)。

個人は、健康上の些細な悩みでも相談できる医師を「この先生を私のかかりつけ医にしよう」と決めることができるのですが、都心に住んでいる人の場合、周囲には意外に多くの医師がいます。

そのなかから自分のかかりつけ医をみつけることは簡単ではなさそうです。

そこで「かかりつけ医の条件」を考えてみました。ここで紹介する条件にマッチする医師がみつかったら、その先生を自分のかかりつけ医にしてみてはいかがでしょう。

条件1:内科がいいともいえるし、内科でなくてもよい

かかりつけ医は内科医がよい、という考え方は正しいといえるでしょう。

それは内科医には次のような役割があるからです。

■内科医の役割(*2

内科医は患者さんを全身的、全人的な観察から体系的に把握し、科学(医学)的に解析し、病態と病因を解明した上で、最適な侵襲的治療(手術)または非侵襲的な治療を選択することが一義的な役割(mission)である。
また、最新・最良の生活療法や薬物療法を中心とする非侵襲的治療を提供・実践するのは内科医の第 2 の役割である。

内科医は患者さんの全身を診るので、患者さんとしてはどの臓器や組織に病気があっても「内科の先生に診てもらえば安心」と思うことができます。

さらに内科医は、患者さんの病気を解明したうえで治療法を考えます。手術が必要なのか、生活療法がよいのか、薬で治したほうがよいのかをアドバイスしてくれます。

さらに生活療法と薬による治療は、内科医が担当します。

このように内科医は、健康について何でも相談できるかかりつけ医にマッチしているといえます。

循環器内科医も整形外科医もかかりつけ医になりうる

ただし厚生労働省は、「内科医がかかりつけ医と思われがちですが、どの診療科の医師でもかかりつけ医になります」といっています(*1)。

例えば、健康診断で血圧が高いことがわかり、循環器内科クリニックにかかったとします。そこから高血圧の治療や糖尿病の治療が始まれば、その医師を「私のかかりつけ医」とみなすことができます。

したがって、循環器内科医もかかりつけ医になりうるわけです。

また、定期的に内科クリニックに通っている人が、腰の具合が悪くなって整形外科クリニックにかかったところ、定期的に通院することになったら、その整形外科医もかかりつけ医と考えて構わないわけです。

条件2:何でも相談できて信頼できる

厚生労働省はかかりつけ医を「日常生活における健康の相談や体調が悪いときなどにまず相談できる医師」としています。

これが条件その2になります。

つまり、患者さんが医師と、健康上のことについて何でも相談できる関係を築けることが重要になってきます。

したがって「お腹がすごく痛いから医者にかかりたいけど、これくらいの痛みであのクリニックに行くのも気が引けるな」と感じるような医師は、かかりつけ医に向いていないといえるかもしれません。

合うかどうかも重視して

患者さんも医師も、患者であり医師である前に「感情を持つ人間」同士なので、どうしても合う合わないがあります。

緊急事態であれば合う合わないなどと言っていられませんが、患者さんとかかりつけ医の関係は長期にわたるので、自分が「合う」と感じた医師をかかりつけ医にしたほうがよいでしょう。

何をもって「合う」かは、自身の感性に任せてよいと思います。

話しやすい、年齢が近い、趣味が同じだった、出身地が近かった、子供が同じ小学校に通っている――このような些細なきっかけでもかまいません。

そして「合う」医師に対して「この先生は信頼できる」と感じることができたら、その患者さんにとってその医師は理想のかかりつけ医といえます。

条件3:適切な専門医や医療機関を紹介してくれる

かかりつけ医が自分にしてくれる治療は、「最新・最良の生活療法や薬物療法を中心とする非侵襲的治療」と考えておいてよいでしょう。つまり、薬を使った治療や、食事療法や運動療法などのことです。

では、そのような治療では治せない病気がみつかった場合はどうしたらよいのでしょうか。

かかりつけ医が、自身の知見や自院の医療設備では治療できない病気をみつけたら、その患者さんを適切な専門医や適切な医療機関に託すことになります。

したがってかかりつけ医の条件その3は、適切な専門医や適切な医療機関を紹介してくれること、になります。

医師に率直に尋ねて大丈夫

では患者さんは、自分に重大な病気がみつかったとき、その医師が適切な専門医や適切な医療機関を紹介してくれるのかどうかを、どのように確認したらよいのでしょうか。

これは率直に医師に尋ねてみて大丈夫です。

「例えば先生が私の胃にがんをみつけたら、どの病院のどの先生を紹介してくれますか」と聞いてみてください。

すると医師は「胃がんの疑いがあれば、○○病院の○○先生を紹介することになるでしょう」と即答するはずです。

多くの患者さんは、クリニックの院長を自分のかかりつけ医にすると思いますが、クリニックの院長は大抵、近隣の大きな病院と連携していて、そこの勤務医もよく知っているので、紹介する病院や医師に困ることはないはずです。

条件4:評判のよい医師

都心に住んでいる人の場合、自宅の近くや職場の近くにたくさんクリニックがあると思います。そのなかから、自分のかかりつけ医になってくれそうな医師がいるクリニックを探すことは容易ではありません。

その場合、最初は評判のよい医師をかかりつけ医にしてもよいでしょう。これが条件4です。

親戚、近所の人、職場の同僚、ママ友、パパ友、誰でもよいので「ここらへんで、かかりつけ医に相応しい先生いないかな」と聞いてみてください。

何人かに尋ねればきっと「うちは家族全員、風邪を引いたり、お腹がいたくなったりしたら、まず○○クリニックに行きますよ」といった答えが返ってくるはずです。

そのクリニックを覚えておいて、自分や家族が風邪を引いたり腹痛が起きたりした際、そのクリニックにかかってみてはいいかがでしょうか。

そこの先生に「合う」と感じたら、かかりつけ医の第1候補になります。

まとめ~長く付き合って自分を知ってもらう医師

厚生労働省はかかりつけ医の役割に、「日常行う診療において患者の生活背景を把握し、適切な診療及び保健指導を行い、自己の専門性を超えて診療や指導を行えない場合には、地域の医師、医療機関等と協力して解決策を提供すること」を挙げています。

ポイントは、患者さんの生活背景を把握すること、です。

患者さんは、かかりつけ医と長い付き合いになるでしょう。そして長い付き合いになることで、その医師が本当のかかりつけ医になります。自分のことをよく知ってもらえる医師を探してみてください。

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