胃拡張、なぜ胃が拡大してしまうのか:特徴、症状、原因、治療を解説

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胃は、健康な状態でも伸び縮みする性質があります。お腹いっぱい食べたとき、お腹のなかが重たく感じるのは、膨らんだ胃とそのなかの食べ物の重量を感じているからです。

ただし、許容範囲を超えて拡大すると、胃拡張と診断され治療の対象になることがあります。

この記事では、胃拡張の特徴と症状、原因、治療法を紹介します。

尚、「胃拡張」という言葉は、「胃痙攣」同様広く使われていますが、あくまで症状であって、正式な病名や疾患名ではありません。医学的には「機能性ディスペプシア」と定義されますが、この記事では世に浸透している「胃拡張」という言葉を用いて解説します。

特徴と症状

胃拡張は、胃にある食べ物(内容物)がそのまま停滞してしまい、胃の奥にある十二指腸に食べ物が移動しないことから、胃が異常に大きくなってしまう症状です。

胃拡張の症状は次のとおりです。

<胃拡張の症状>
・上腹部(みぞおちのあたり)が張る
・外からみても明らかに腹が異常に膨らんでいる
・腹痛
・呼吸困難
・頻繁かつ大量の嘔吐
・脱水症状

お腹のトラブルが一斉に起きるイメージ

食べ物をたくさん食べるとお腹が張りますが、胃拡張はそれをはるかに超えます。外からみてもお腹が膨らんでいることが明らかにわかります。

拡大した胃によって内臓全体が圧迫され、腹痛が起きたり呼吸しにくくなったりするほどです。

そして行き場を失った胃の内容物は、嘔吐となって体外に出ます。胃拡張の患者さんは、食べた分だけ頻繁かつ大量に嘔吐します。

嘔吐物のなかに、かなり前に食べた物が含まれているのは、胃拡張の特徴の1つです。

嘔吐を繰り返すと体内の水分が奪われるので脱水症状も胃拡張の症状に数えられます。

そして胃拡張を放置していると、胃の血流が悪化して、胃の組織が壊死し、その結果胃に穴が開くこともあります。

胃拡張の症状は、お腹のトラブルが一斉に起きるイメージです。

悪化すると腹膜炎に進み、死亡することも

胃に穴が開くと、腹膜炎に進んでしまうことがあります。

腹膜とは、お腹のなかの臓器の外側を覆っている膜で、そこに炎症が起きると腹膜炎と診断されます。

腹膜炎には、急激かつ強い腹痛、発熱といった症状があります。

<腹膜炎の症状>
・急激かつ強い腹痛
・発熱

そして胃拡張が胃破裂に進んでしまうと最悪死亡してしまいます(*1*2)。

原因

胃拡張が起きるのは、胃の内容物が十二指腸に移っていかないからです。

胃壁は筋肉でできていて、胃のなかに食べ物が入ってくると動き出し、これを蠕動運動(ぜんどううんどう)といいます。

胃拡張には蠕動運動が関わっています。

蠕動運動が起きなくなる

蠕動運動は、内容物を混ぜることと、内容物を十二指腸に送ることの2つの働きを担っています。

蠕動運動によって食べ物が胃酸などとよく混ざり、消化しやすい粥状(かゆじょう)になります。そして粥状になった内容物を蠕動運動で十二指腸に押しやります。

しかし、胃の働きを制御している副交感神経に異常が生じると、蠕動運動が起きにくくなったり起きなくなったりして、胃に内容物がたまり続けます

副交感神経に支障をきたす原因とは

「副交感神経の異常→蠕動運動の停止→内容物の停滞→胃拡張」という順番で(機序で)胃拡張は起きるわけですが、では副交感神経の異常はなぜ起きるのでしょうか。

その原因はいくつか考えられています。

メンタルに支障をきたすと食欲不振に陥り、それが副交感神経に悪影響を及ぼすことがあります。ストレスや生活習慣の乱れが、胃拡張の原因になり得ます。

また、胃の手術を受けたときに周辺の神経を傷つけてしまい、それが副交感神経の異常につながることもあります。

また「さまざまな炎症→胃拡張」という機序もあります。

外傷による胃の炎症や膵炎、胆嚢炎、腹膜炎などは胃拡張の切っ掛けになり得ます。

治療

胃拡張の症状が認められたら医療機関にかかったほうがよいでしょう。腹痛がひどい場合は救急車を呼ぶことをためらわないでください。

検査:レントゲン、血液、CT

医師は胃拡張を疑うと、レントゲン検査、CT検査、血液検査を行うでしょう。

レントゲン検査で大量のガスを確認できることがあります。CT検査を行うこともあり、これで胃(の内容物)が他の臓器をどのように圧迫しているかがわかります。

血液検査で調べるのは、炎症の有無、肝機能の低下度合い、脱水の程度、電解質などです。

先ほど紹介したとおり、胃拡張の裏には深刻な病気が隠れている可能性があるので、それを知るには血液検査が必要になります。

検査:内視鏡

レントゲン検査やCT検査で胃の様子がよくわからない場合、内視鏡検査を行うことがあります。

内視鏡で胃のなかの内容物を取り除くこともあります。

内容物を取り出す

内視鏡で取り切れない内容物は、鼻からチューブを入れて胃に到達させ、それで吸引することがあります。

患者さんはしばらくは、安静にして絶食になります。

脱水症状には点滴

嘔吐を繰り返したことで脱水症状を引き起こしていたら、点滴で水分補給と電解質の補正を行います。

緊急手術とその他の病気の治療

胃拡張でも手術が必要になることがまれにあります。胃に穴が開いていたり、腹膜炎を起こしていたり、胃が破裂したりしていれば緊急手術を行います。

もし、他の臓器の病気が原因で胃拡張が起きていれば、その病気の治療を行います。

まとめ~異常さに早く気がついて

お腹が張る感覚のことを膨満感といいます。大量に食事をしたときも膨満感が出るので、軽視しがちですが、いつもと違うお腹の張りには警戒したいものです。

胃拡張は神経の異常で起き、深刻な事態になる可能性もあります。

「このお腹の重さはいつもと違う、明らかに異常だ」と思ったら、躊躇なくクリニックにかかるのも大切です。

胃内視鏡検査(胃カメラ)、人間ドックはヒロオカクリニック

健診・人間ドックでの胃内視鏡検査に加え、専門医による外来診療も行っております。

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