花粉症の症状のうち喉の痛みを詳しく解説【アレルギー性咽喉頭炎】

花粉症の症状は鼻と目に出やすいといわれています。鼻の3大症状はくしゃみ、鼻水、鼻づまりで、目の3大症状はかゆみ、充血、涙です。

参照:「花粉症について」:みんなの医療ガイド | 公益社団法人全日本病院協会

そのほかにも花粉症の症状には、体のだるさ、熱っぽさ、イライラ、集中力の低下がありますが、この記事では喉(のど)の痛みについて解説します。

花粉症の患者さんでも、喉に違和感を持ったことはない、という人がいるかもしれません。

それくらい花粉症による喉の痛みについてはあまり知られていません。

でもそれはアレルギー性咽喉頭炎かもしれません。

咽頭と喉頭の場所

アレルギー性咽喉頭炎は、アレルギー反応によって生じる咽喉頭(いんこうとう)の炎症のことです。

そして咽喉頭は、咽頭と喉頭を合わせた言葉です。

喉の奥のことを咽頭といい、その奥にある声帯の近くにある部分を喉頭といいます。

花粉症とアレルギー性咽喉頭炎の関係

花粉症の鼻と目の症状は「花粉症の症状」とみなされるのに、花粉症の喉の症状はなぜ「アレルギー性咽喉頭炎の症状」とみなされることがあるのでしょうか。

少し細かい説明になりますが、花粉症の症状のメカニズムを理解する助けになるので確認しておきます。

「花粉症→症状」と「花粉症→鼻水が喉を傷める→炎症→症状」の違い

鼻の症状は、花粉が鼻の粘膜に付着することで付近の細胞からアレルギー誘発物質が放出されて起きます。これこそがまさに花粉症が起きるメカニズムです。

参照:花粉症のはなし ~原因とメカニズム~|アレジオン【エスエス製薬】

一方、喉の症状は、鼻の症状と同じようにアレルギー反応として起きることもありますが、喉に到達した鼻水によって引き起こされることもあります。

参照:喉頭アレルギーの診断と治療

参照:季節とのど(喉)の関係|のどコラム|龍角散のど研究室

前者の、花粉によるアレルギー反応としての喉の症状は、「花粉症の症状」といえます。

後者の、鼻水による喉の痛みは、鼻水が喉の粘膜を傷め、それによってウイルスや細菌が繁殖して炎症を起こして発生します。したがってこれは「アレルギー性咽喉頭炎の症状」とみなされます。

別の角度から同じ説明をしてみます。

「花粉症による鼻水」→「鼻水によって喉の粘膜が傷む」→「ウイルスなどによる喉の炎症」→「喉の痛み」という順番に発生するので、これは「花粉症の症状」と呼ぶより「アレルギー性咽喉頭炎の症状」と呼んだほうがよいわけです。

ただしアレルギー性咽喉頭炎も症状の始まりは花粉症なので、治療に使われる薬は花粉症のものと同じです。

アレルギー性咽喉頭炎の症状

アレルギー性咽喉頭炎の症状は、咳、痰のからみ、かゆみ、イガイガした感じ、チクチクした痛みなどです。

アレルギー性咽喉頭炎の診断

アレルギー性咽喉頭炎の症状は風邪のそれと似ているので、治療では病名を確定させること(診断)が重要になってきます。

アレルギー性咽喉頭炎(≒喉頭アレルギー)の診断方法は以下のとおりです。

・喘鳴(ぜんめい)をともなわない、8週間以上続く乾性咳嗽がある
(喘鳴とはゼイゼイいうこと。乾性咳嗽とはいわゆる空咳(からせき)のこと)

・8週間以上続く喉の症状がある(咳、痰のからみ、かゆみ、イガイガした感じ、チクチクした痛み)
・アレルギー反応がある
・急性感染性喉頭炎など、そのほかの病気ではない
・胸部X線撮影や肺機能検査が正常である
・胃食道逆流症と後鼻漏ではない
・症状がヒスタミンH1拮抗薬という薬で改善する、または治る

治療に使うヒスタミンH1拮抗薬について

花粉症の患者さんが喉の痛みを訴えて、アレルギー性咽喉頭炎であると診断できたら、上記で紹介したとおりヒスタミンH1拮抗薬を使って治療します。

この薬がどのように作用するのか説明します。

花粉症を発症するとヒスタミンというアレルギー誘発物質が体内に放出されます。

ヒスタミンはH1受容体という物質と結合し、この現象が血管を拡張させたり血管透過性を強めたりします。この状態が粘膜を充血させたりかゆみを生じさせたり、喉を傷つけたりします。

参照:ヒスタミン受容体拮抗薬 | 看護師の用語辞典 | 看護roo![カンゴルー]

ヒスタミンH1拮抗薬はヒスタミンとH1受容体の結合を妨げるので、アレルギー性咽喉頭炎を改善する効果が期待できます。

眠気が生じることが欠点

ヒスタミンH1拮抗薬には強い眠気を引き起こす欠点があります。

H1受容体は中枢神経にも存在し、ヒスタミンを結合することで覚醒や興奮が維持されます。ところがヒスタミンH1拮抗薬を飲むと中枢神経のH1受容体もヒスタミンと結合できなくなるので、覚醒や興奮が抑制され、今度は眠気や倦怠感が起きてしまいます。

効果があって副作用が小さい薬を選ぶ

例え花粉症の症状が軽減されても、眠気が生じる薬では仕事や日常生活に大きな支障が出てしまうので使いにくいでしょう。

ヒスタミンH1拮抗薬を含む抗ヒスタミン薬にはさまざまな種類があります。そこで医師は、患者さんの症状や生活環境に合った抗ヒスタミン薬を処方するようにしています。

ただし、1回でベストチョイスができないこともあるので、患者さんに複数の抗ヒスタミン薬を飲んでもらい、効果があって副作用が小さい薬を探すこともあります。

まとめ~風邪との混同に注意を

記事の内容を箇条書きでまとめます。

・喉の痛みは花粉症の症状としては、鼻や目の症状ほどメジャーではない
・花粉症によってアレルギー性咽喉頭炎が起きて喉が痛むことがある
・喉の症状は痛みのほかに、咳、痰、かゆみ、イガイガがある
・花粉症の喉の痛みの治療にはヒスタミンH1拮抗薬を使うが眠気をともなうことが欠点
・治療は複数の抗ヒスタミン薬のなかから、効果が出て副作用が小さいものを探すことになる

喉の痛みは風邪をひいても生じます。そのため花粉症やアレルギー性咽喉頭炎によって喉が痛んでいる場合、市販の風邪薬を飲んでも治りません。

「おかしいな」と感じたらクリニックに相談してみてください。

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