健康診断は実施も受診も義務ですが、必要性も知っておいて

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企業などの事業者は、社員などの労働者に対して定期健康診断などの健康診断(以下、健診)を行う義務があります。

この義務を定めたのは労働安全衛生法という法律です。

事業者の義務はよく知られていますが、次のことはあまり知られていないのではないでしょうか。

・労働者には健診を受ける義務がある

厚生労働省は「労働安全衛生法に規定された健診については、労働者は受診義務を負っており、事業者は、受診命令にしたがわない労働者に対して懲戒処分をもって対処することができる」と言い切っています(*1*2)。

つまり「健診を実施する義務」と「健診を受ける義務」があるわけですが、しかし義務ばかり強調するとなんとなくギスギスした感じになります。

健診を、健康サービスと考えてみてはいかがでしょう。

従業員に元気に働いてもらいたいから健診を実施し、元気に長く働きたいから健診を受ける、と考えるのです。

このように考えるには、健診の必要性を知っておく必要があります。

健診は「自分は健康」と思っている人ほど必要

若い人のなかには「自分はこれだけ健康なのだから、健診を毎年受ける必要はないのではないか」と感じている人もいるのではないでしょうか。

そして健診の結果が出て、すべての検査の数値が正常値であれば「ほら、やっぱり」と思うかもしれません。

健康な人は健診の必要性を感じにくいかもしれません。

しかし実は「自分は健康だ」と思っている人ほど健診が必要になります。

健康に働くための健診

健診も医療行為の1つなので意外に感じるかもしれませんが、健診を受けるのは、健康な人か、健康であると思っている人です。

その証拠に、健診は公的医療保険を使うことができません。健診の費用は100%自己負担ですが、労働安全衛生法等で事業者に義務図けられている健診は企業などの事業者が負担しています(*3)。

健診で行う検査の多くは、病気の治療でも行います。したがって、病気を発症している人や具合が悪い人は医療機関にかかって検査を受けることになり、そのときは公的医療保険が適用されます。

ではなぜ健診では、健康な人や健康であると思っている人に、病気の人が受けるものと同じ検査を受けてもらう必要があるのでしょうか。

それは健康に働くためです。以下でその理由を見ていきましょう。

健診はいつまでも健康に働き続けてもらうために必要

健診のルールを定めた労働安全衛生法には「労働」という文字が含まれています。このことからも健診と「労働=働くこと」は深い関係にあることがわかります。

厚生労働省は健診の必要性について次のような見解を示しています(*4)。

■事業者と労働者に健診が義務づけられている理由
・労働者が作業することにより引き起こされる事故や疾病、健康障害を予防するため
・事故や疾病、健康障害を早期発見するため
・事故や疾病、健康障害の被害の拡大を防止するため
・安全や健康に配慮した適正配置のため
・事業者が労働者の身体状況を把握するため
・職場の労働衛生上の問題を発見するため

働くことは常に危険がともないます。重いものを運ぶと腰をいためやすいですし、職場の人間関係はストレスを生むことがありますし、長時間労働は心筋梗塞や脳梗塞のリスクを高めます(*5*6)。

そのため健康な人も健康と思っている人も、仕事を続けているとそれが原因で病気を発症するかもしれません。

それを未然に防ぐために健診が行われるのです。

よりよく働くための健診

上記の理由のうち、次の2つについて解説します。

・安全や健康に配慮した適正配置のために健診を行う
・事業者が労働者の身体状況を把握するために健診を行う

仕事をしているとときに、業務内容や職場が自分にマッチしていないと感じることがあると思います。その状態は「適正配置ではない」可能性があります。

マッチしていないと感じる理由はさまざまですが、健康状態と仕事・職場がマッチしていなければ、健康状態が回復するまでその職場でその仕事を続けることは困難になるでしょう。

そこで健診が必要になります。

働く人が健診を受けたら、その結果は本人と企業の双方が受け取ります(*7)。つまり健診によって、企業は従業員の身体状況を把握できるようになります。

そして健康状態がわかっていれば、企業は労働者を適正な職場に配置して適正な仕事を与えることができます。これでミスマッチが解消されます。

よりよく働くために健診が行われるといっても過言ではありません。

忍び寄る生活習慣病を排除するために必要

健診は生活習慣病を排除するためにも必要です。

生活習慣病とは、高血圧、糖尿病、動脈硬化、脳梗塞、心筋梗塞、がんなどの病気の総称で、1)死に至る可能性がある、2)生活の質を著しく低下させる可能性がある、3)静かに忍び寄る、という特徴があります。

1と2の恐さは誰もが知っていることだと思います。したがって、より強く警戒しなければならないのは3です。

高血圧も糖尿病も動脈硬化もがんも、初期や中期にはほとんど症状が出ません。進行しても痛みを感じないこともあります。

したがって生活習慣病やその兆しを発見する方法は、実質的に検査しかないのです。

だから義務化が必要だった

では、症状がまったくない人が元気に働いている状況で、「医療機関に行って検査を受けよう」と思うことができるでしょうか。

もしくは、健康に元気に働いている労働者に対し、企業が自主的に多額のコストをかけて健康チェックをしようと思えるでしょうか。

いずれも難しいのではないでしょうか。

そこで健診を義務化する必要がありました。

義務として定期的に健診を受ければ(受診させれば)、健康と思っていた人に生活習慣病やその兆しがみつかるかもしれません。

これは、健康でいつまでも働きたいと思っている人にも、健康でいつまでも働いてもらいたいと思っている企業にも大きなメリットになります。

まとめ~「健康に必要」だから

「義務」という言葉には窮屈な印象があります。しかし労働を安全で衛生的なものにするには健診の義務化が必要でした。

しかしそもそも健康は企業のものではなく、個人的なものです。

健診は健康の維持・増進と病気の発見に貢献するので「健康でいたいから」「健康に必要だから」と思って受けてみてください。

 

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