あせも(汗疹)の治し方とは?原因・予防法など解説

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小さな赤ちゃんから大人まで痛みやかゆみに悩まされるのがあせも(汗疹)ですが、ただのあせもと思って放置すると、時には悪化してしまうこともあります。あせもができる原因を知り、予防に努めましょう。この記事では、あせもの症状やあせもと似た症状が出る疾患との見分け方、あせもができてしまった場合の治し方についても解説します。

あせも(汗疹)の症状

あせも(汗疹)の症状

あせもは、たくさん汗をかく部位や肌同士が密着する蒸れやすい部位に多く見られます。具体的には額、顔、首まわり、脇、肘や膝の裏、腕や太ももの内側などです。
あせもの主な症状として、以下が挙げられます。

  • ・かゆみ
  • ・赤いポツポツ
  • ・かゆみのない透明なポツポツ(水晶様汗疹)

かゆみ

強いかゆみがあったり、熱を持ったように感じられたりすることがあります。かき壊してしまうと細菌感染が起こり、とびひなど別の疾患になってしまうので注意が必要です。

赤いポツポツ

赤く小さな1~2mmのポツポツができます。汗かぶれとも似ていますが、汗の出口にできるのがあせも、皮膚の表面全体に赤みやかゆみが広がるのがかぶれです。

かゆみのない透明なポツポツ(水晶様汗疹)

上記の2つは紅色汗疹と呼ばれるあせもですが、かゆみがほぼない透明の小さなポツポツができることがあり、これを水晶様汗疹と呼びます。乳児の顔に見られることが多く、皮膚の浅いところに汗が溜まって起こるものです。

あせも(汗疹)と症状が似ているもの①ダニ刺され

ダニ刺された場合は、普段衣服で隠れている柔らかい部分に赤みが出ることが少なくありません。脇腹や下腹部などが代表的な箇所です。刺され痕は中心部分が膨らんだ赤いプツプツした発疹になります。

ダニは適度な温度と湿度のほか、フケやアカなどを餌として繁殖します。寝具をしばらく洗濯していないなど思い当たることがあるようであればダニ刺されかもしれません。

あせも(汗疹)と症状が似ているもの②汗かぶれ

あせもと汗かぶれは発症するメカニズムに違いがあります。汗かぶれは汗の中に含まれているアンモニアや塩分が皮膚に刺激を与えてかぶれてしまった状態です。

あせもと汗かぶれは別物ですが、あせもをかきむしっているうちに汗かぶれも発症してしまうケースもあります。

あせも(汗疹)ができる原因

あせも(汗疹)ができる原因

あせもができる原因は、大量の発汗。汗を排出する管が詰まってしまい、汗がスムーズに排出できない状態になったものがあせも(汗疹)です。

汗を出すための汗腺にはアポクリン腺とエクリン腺があります。アポクリン腺は脇や耳など体の一部にしかない汗腺です。エクリン腺は体中にある汗腺で、体温調節のための汗は主にエクリン腺から分泌されます。このエクリン腺が詰まることであせもができてしまうのです。

あせもには3種類あり、汗管のどの部分が詰まったかで症状が変わります。

紅色汗疹

最も一般的なあせもです。表皮部分の汗管のつまりによって起こります。赤いブツブツができ、かゆみがあります。湿疹などかぶれになってしまうことも珍しくありません。

水晶様汗疹

表皮のごく浅いところ(角質)で汗管が詰まると発生するあせもです。透明でほとんどかゆみのない小さなポツポツができます。数日で目立たなくなり、治療は必要ありません。

深在性汗疹

皮膚の深い所、真皮内で汗管が詰まるとできるのが深在性汗疹です。汗をかけなくなってしまうので、広範囲にできてしまうと体温調節がしにくくなり、熱中症のリスクが上がってしまいます。注意が必要ですが、熱帯地方で多いあせもであり、日本ではあまり見られません。

あせも(汗疹)ができやすい人の特徴

あせもができやすい人としては、以下のような特徴が挙げられます。

  • ・赤ちゃん、子ども、高齢者
  • ・敏感肌の人
  • ・高温多湿の環境にいる人
  • ・肥満体型の人
  • ・寝たきりの人

乳幼児は大人と比べて体が小さくても汗腺の数は同じです。新陳代謝がよく、発汗コントロールも未熟なため汗をたくさんかくのであせもがよくできます。高齢者はエアコンを嫌う人や暑さを感じにくい人が多いため、知らないうちに多くの汗をかいてしまいます。肌のバリア機能も若い頃に比べ落ちているので、あせももできやすくなるのです。

肥満の人は皮下脂肪が多く肌同士が密着する面積が広いため、皮膚がこすれてあせもを発症しやすいです。肥満だと熱がたまり汗をかきやすいことも、あせものできやすさに拍車をかけています。

寝たきりの時間が長い人は皮膚と寝具が長時間密着しているので、あせもができやすい状態になります。

あせも(汗疹)の治し方

あせも(汗疹)の治し方

では、すでにできてしまったあせもはどうすればいいのでしょうか。あせもの主な治し方は、以下の通りです。

  • ・なるべくかかないようにする
  • ・汗をかいたら洗い流す
  • ・市販薬を塗る
  • ・医療機関を受診し薬を処方してもらう

なるべくかかないようにする

基本的なことですが、できるだけかかないようにしてください。かくことが肌への摩擦となり弱った状態になってしまいます。一度かくとさらに痒くなってしまいますので、なるべくかかないことが大切です。子どもの場合は、爪を切っておくなどして対処しましょう。

ただし、かゆいものをかかずに我慢するのは簡単なことではありません。後述するように、薬を塗る、医療機関を受診するなど無理せず対策してください。

涼しい場所で過ごす

室内ではエアコンを適切に使用する暑い日中の外出は避けるなど汗をかいてしまう機会を減らしましょう。秋になり暑さが和らぐとあせもも自然に治っていくことが多いのはそのためです。

赤ちゃんや子どもは体温調節がまだうまくできず、自分で室温調整することや暑さを言葉で訴えることができません。暑がっていないか気を配り、快適に過ごせるよう保護者が注意してあげてください。背中が汗で湿っているようなら、一枚脱がせても構いません。

汗をかいたら洗い流す

汗は洗い流し、患部を清潔にしておきましょう。洗うことができない場合は濡れたおしぼりなどで拭くだけでも効果があります。

市販薬を塗る

市販のあせも治療薬を塗って様子を見ます。赤ちゃんや子どもにはステロイドの入っていない子ども向けの市販薬を選びましょう。ステロイド薬は強い薬ですので大きな効果を発揮しますが、大人の場合でも患部をかき壊してしまっている場合はステロイド含有の塗り薬で悪化してしまうかもしれません。

どの薬を選べばいいのか自信がないときは薬剤師に相談してみてください。塗ってみて効果が感じられない場合は病院の受診も検討する必要があります。

医療機関を受診し薬を処方してもらう

皮膚科を受診し、医師に相談して薬を処方してもらいます。ステロイド薬などで炎症を抑え、悪化を防ぐのが基本的な治療です。患部に細菌感染があり化膿しているときは、抗生物質を処方されることもあります。

あせもだと思っていても他の疾患の可能性もありますし、市販薬が逆効果ということも考えられます。症状が悪化していったり、日常に支障をきたすときは迷わず受診しましょう。

あせもが悪化するとどうなる?

あせもが悪化して皮膚をかき壊してしまうと細菌感染し、とびひ(伝染性膿痂疹)やあせものより(多発性汗腺膿瘍)などの合併症になってしまうことがあります。塗り薬や内服薬で治療しますが、あせものより(多発性汗腺膿瘍)が重症化してしまうと切開して膿を出すケースも少なくありません。

あせも(汗疹)の治療で病院へ行くべきか

あせも(汗疹)の治療で病院へ行くべきか

水晶様汗疹や程度の軽いあせもなら、患部を清潔にして涼しい環境にいれば自然と消えていきます。

あせもで受診したほうがいいのは次のような場合です。

  • ・強いかゆみをともなう
  • ・広範囲にあせもがある
  • ・かき壊しで赤く腫れている、膿が出ている
  • ・くり返し同じ症状が出る

強いかゆみをともなう

かかずにいられないような強いかゆみがある場合は病院を受診しましょう。我慢しているとさらにひどくなってしまうおそれがあります。

広範囲にあせもがある

部分的ではなく広い範囲にあせもがたくさんできてしまった場合も医療機関の受診が望ましいでしょう。広範囲とは、指を含む手のひら2枚分です。両手で押さえても隠しきれない範囲が「広範囲」ということになります。

かき壊しで赤く腫れている、膿が出ている

かきむしって赤く腫れてきてしまったり、膿が出てしまったりしている場合は病院を受診してください。膿が出ている場合、あせもがさらに悪化した合併症の状態になっている可能性があります。

くり返し同じ症状が出る

治ったと思ってもまた同じ症状が出る場合は、実はあせもではない可能性も考えられます。特に赤ちゃんや小さな子どもの場合は市販薬の選び方や適量の判断も難しいので、受診を考えても良いでしょう。

あせも(汗疹)の予防法

あせも(汗疹)の予防法

あせも(汗疹)を防ぐには肌が蒸れた状態にならないことが大切です。具体的には次のような対策が予防に繋がります。

  • ・汗をこまめに拭き取る
  • ・肌着や下着を取り替える
  • ・通気性のよい衣類を身につける
  • ・肌を清潔に保つ
  • ・涼しい場所で過ごす
  • ・ベビーパウダーは使わない

汗をこまめに拭き取る

汗をかいたらこまめに拭きましょう。拭くときに使うハンカチやタオルもこまめに洗濯し、清潔なものを使ってください。

通気性の良い衣類を身につける

汗を吸いやすい素材のものを選んで着るようにしましょう。綿(コットン)100%のものがおすすめです。綿の他はリネンも汗をよく吸い通気性の良い生地です。

汗をよく吸い、乾きやすいドライ機能のある素材の肌着などもおすすめです。

暗い色は熱くなりやすいので白やベージュなど明るい色の服を選ぶと良いでしょう。体に密着するような服は避け、ゆったり着れるデザインの服を着用してください。

また、布団など寝具も通気性の良いものを選びましょう。寝ている間は想像以上に汗をかいています。シーツや枕カバーは定期的に洗濯してください。

衣服を取り替える

汗を吸って湿った衣服はきれいなものと取り替えましょう。濡れた衣類をそのまま着ていると細菌が増殖してしまいます。赤ちゃんや小さな子どもの場合はおむつの中が蒸れやすいですから、いつもより頻繁におむつを替えてください。

肌を清潔に保つ

たくさん汗をかいたなと思ったら、濡れタオルで拭いたりシャワーを浴びたりしましょう。一日に何度も洗う場合は石鹸を使いすぎないようにしてください。1日1回が適切です。強くゴシゴシとこすったり石鹸を泡立てずに使ったりすると肌へのダメージが大きいため、しっかり泡立てて優しく洗うことをおすすめします。

体を拭くときもこすらず、優しくトントンと押さえるように水分を吸い取ります。使うタオルはふわふわした柔らかいものを用意してください。

肌を保湿する

肌を洗ったり拭いたりしたあとは、保湿を心がけましょう。肌のバリア機能が落ちてしまうとあせもなどのトラブルが起こりやすくなります。小さな子どもや敏感肌の人などは特に念入りに保湿をしてください。

ベビーパウダーの使い方に注意する

以前は赤ちゃんのあせも対策といえばベビーパウダーが定番でした。しかし、現在では基本的にベビーパウダーはあまり使用されていません。理由はいくつかありますが、以下の点が挙げられます。

  • ・アスベスト含有製品が問題になった
  • ・ベビーパウダーの細かい粒子で汗腺が詰まると考えられるようになった
  • ・舞い上がったベビーパウダーを吸い込んでしまい危険
  • ・湿ったベビーパウダーで菌が増える
  • ・保湿ケアが主流になった

アスベストが含まれているものは現在販売されていませんし、汗腺が詰まるというのも科学的な根拠はありません。正しく使えば危なくありませんが、使用の際は以下の注意点を守ってください。

  • ・ベビーパウダーを塗布するパフや手は清潔にする
  • ・パタパタとはたかず、そっと押さえるように塗布する
  • ・パウダーをつけすぎない

まとめ

汗をかきっぱなしにせず肌を清潔に保つことは、あせもの予防にも治療にも共通する点です。近年の厳しい暑さで朝や夜も蒸し暑いことが増えていますので、通気性の良い衣類やこまめな拭き取りで対策しましょう。

あせものできやすい特徴に当てはまる人は特に注意してください。放置すると治りにくくなってしまいます。できてしまったあせもは塗り薬で様子を見て、改善されないときは我慢せず医療機関を受診してください。

ヒロオカクリニックでは、あせもの診察をおこなっております。
お困りの方は、皮膚科をご予約の上、ご相談ください。

<詳細はこちら>
https://www.h-cl.org/medical/dermatology/

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