熱中症は原因と症状を知っておけば予防につながる

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熱中症は油断大敵で、「涼しいところに居ればいいんでしょ」と軽く考えていると危険度が増してしまいます。

しかし、熱中症を引き起こす原因と初期症状などを知っておけば、予防につながります

知識で救われますし、救えます。

熱中症リスクを知っておこう

救命救急を担っている医師たちは「熱中症を予防するには、自分にどれだけ危険性があるかを理解することが大切」と呼び掛けています(*1)。

熱中症は暑いから起きるわけですが、暑い場所に居るすべての人が熱中症を発症するわけではありません。熱中症リスクが高い人から先に、熱中症を引き起こします。

つまり「暑さ」と「自分の熱中症リスク」が熱中症の原因と考えることができます。

気化熱と熱放散

熱中症のリスクは人によって異なります。

熱中症リスクが低い人とは、適切に体温調節できる人のことです。体温が上がっても、汗をかくと気化熱という現象が起きて、体温を下げることができます。気化熱とは、汗が気体になるときに周囲の熱を奪う現象です。

汗をしっかりかいて気化熱現象が起きていると、体内の熱を体の表面から空気中に逃がすことができるので、熱中症を防ぐことができます。体表面から熱を逃がすことを熱放散といいます。

したがって、気化熱や熱放散のしやすさやしにくさが、熱中症のリスクであり、原因となります。

なぜ汗をかけなくなるのか

熱中症を恐がっていない人のなかには「普段から汗はしっかりかくほうだから、自分は熱中症は起こさない」と思っている人がいますが、そのような人でも汗が出なくなることがあります

汗の原料は体内の水分ですが、気温と湿度が高い場所で激しい運動や仕事をしていると、大量の汗をかいて体内の水分が減り、汗の原料が枯渇します。原料がないので汗をかくことができなくなります。

また、汗と一緒に体内の塩分も体外に出てしまいます。塩分には水分を保持する機能がありますので、体内の塩分が減るとやはり体内の水分が減ります

体内の水分は血液の原料になっているので、体内の水分が減ると血液の量が減ってしまいます。血液は体熱を放出する作用がありますが、血液量が減って血液がドロドロの状態になると、体内の熱をうまく放出できなくなります。

このように正常な気温・湿度のときにしっかり汗をかくことができる人でも、異常に高い気温・湿度の場所にいると急に汗がかけなくなって熱中症に襲われることがあります

なぜ体温が上昇すると異常が起きるのか

汗が出なくなって気化熱や熱放散が起きなくなると、体温がぐんぐん上昇してしまいます。なぜ、体温が上がると熱中症が起きるのでしょうか。

人の臓器は、体温が37度以上になると機能が低下していきます。熱中症は臓器に異常が起きて発症します。

また、血液量が減って血液がドロドロの状態になると、脳、心臓、肝臓、腎臓、筋肉といった重要な臓器や器官に十分な酸素と栄養が届かなくなり、これも臓器の異常を引き起こすことになります。

それでは次に、熱中症の症状を紹介します。

熱中症の症状「あれ?」と思ったらすぐ対処を

次に紹介する症状を感じたら、熱中症を疑いすぐに対処してください。「あれ?」と思ったら、「まずい」と思ってすぐに行動してください。

熱中症の初期の症状
・めまいがする
・顔がほてる
・筋肉が痛む
・筋肉がけいれんする
・体がだるい
・吐き気がする
・汗のかき方がおかしい:異常に出たり、まったくかかなかったりする
・体温が高い
・皮膚が赤くなり乾く

こうした症状は自分で感知することができます。

しかし「あれ?」と思っても、そこから「気のせいか」と思ったり「つらいというほどではないし、もう少し大丈夫だろう」と判断したりしてしまうと、症状はみるみるうちに悪化して、次のようになってしまいます。

熱中症の重い症状(自分で気がつけるギリギリの症状)
・体がガクガク震える
・まっすぐ歩けない

もしこの状態になってしまったら、周囲の人に助けてもらってください。

そして医療機関にかかったり、救急車を呼んだりしてください

さらに悪化すると次のようになり、もう自分ではどうすることもできません。

熱中症の重い症状(自分ではどうすることもできない状態)
・声をかけても応じない
・声をかけると応じるが、おかしなことを話す
・自分で水分補給できない:こうなったら無理やり水を飲ませないでください

周囲の人は、高温多湿の場所で様子がおかしい人がいたら声をかけてみて、上記の状態だったら救急車を呼んでください。

「初期症状から」では遅い、だから急いで

めまいや顔のほてりなどを熱中症の初期症状と紹介しましたが、熱中症の場合は、初期症状の段階ですでにかなり進行していると考えておいてください。

次のことが大切です。

・熱中症対策、高温対策、高湿度対策では、初期症状を起こさないようにする

それでも初期症状を起こしてしまったら、次の行動を取るようにしてください。

初期症状を感じたときの行動
・涼しい場所に移る
・服を脱いで体を冷やす
・塩分や水分を補給する
・医療機関にかかる
・救急車を呼ぶことを視野に入れておく

水分補給については判断が難しく、初期症状のレベルで、飲むことができるのであれば飲むようにしてください。

しかし症状が悪化して嘔吐をするなどしていたり、意識を失っていたりした場合は、水分補給をすると状態が悪化してしまうことがあります。

まとめ~人によって、日によって、場所によって変わる

熱中症の発症リスクは、人によって、日によって、場所によって変わります。

他人が大丈夫でも自分だけが熱中症を起こすこともあります。

また、昨日の暑さに耐えられたとしても、今日体調が変わっていれば、同じ気温・湿度でも熱中症になるかもしれません。さっき大丈夫でも、今危険度が増しているかもしれません。

そして、あるエリア内の気温が同じでも、場所によって湿度が変わるので、「あそこにいて大丈夫だったから、ここでも大丈夫」とはならないかもしれません。

発症リスクは時々刻々と変わるので、原因と症状を覚えておいて適切に対処するようにしてください。

新宿ヒロオカクリニックでは、「かかりつけ医」として、院長の田原稔医師(内科・循環器内科)と常勤の宮本哲也医師(総合内科・消化器内科)を中心に、循環器内科専門医、消化器内科専門医、整形外科専門医、糖尿病専門医、腎臓専門医等の多くの専門医が協力して各種診察・治療を行っておりますので、熱中症の場合は内科でご受診ください。詳細はこちら

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