熱中症対策のキーワードは「環境」「体」「行動」【年1,745人死亡した年も】

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熱中症は死ぬこともある恐い病気です。
国内では毎年約500人が熱中症で亡くなり、記録的な猛暑だった2010年は1,745人が死亡しました(*1)。
熱中症のことを、「体が急激に熱くなって、冷ませば治る病気」と簡単に考えないでください。
ただ熱中症は、対策を取ればかなり確実に避けられる病気です。キーワードは「環境」「体」「行動」です。

コロナでさらに脅威になった熱中症

厚生労働省と環境省は2020年に共同で、「熱中症予防×コロナ感染対策防止で、新しい生活様式を健康に!」というキャンペーンを展開しました(*2)。
コロナ対策ではマスクの着用が欠かせませんが、それが熱中症のリスクを高めるからです。体内の熱は皮膚から外界に逃げるので、マスクはそれを妨げます。それでマスク未着用時より体温が上がってしまいます。
厚生労働省と環境省が提案している熱中症対策は、コロナ対策をしながらマスクを外すことです。
屋外では他の人と2メートル以上離れていればマスクを外しても問題ないとしています。

熱中症の原因を知ろう

ここからは、コロナと関係なく、熱中症だけの問題を取り上げていきます。
対策を講じるには、原因を知っておく必要があります。なぜなら、原因を知っておけば「だからこの対策が必要なのか」と納得できるからです。納得できると、しっかり行動できます。
熱中症の原因を紹介します。

原因も環境、体、行動

冒頭で「環境」「体」「行動」は熱中症対策のキーワードと紹介しましたが、この3つは熱中症の原因でもあります。
このいずれか1つでも起きれば、熱中症の発症リスクが高まります。そして、この3つが同時に起きればリスクはさらに高くなります。

熱中症の原因となる環境とは、気温が高い、湿度が高い、風がない状態のことです。
熱中症の原因となる体とは、高齢者、乳幼児、肥満、下痢、糖尿病、二日酔い、寝不足、低栄養などのことです。
熱中症の原因となる行動とは、激しい運動、慣れない運動、長時間の屋外作業、水分補給できない状況のことです。

体のバランスが崩れる

熱中症の症状は、めまい、けいれん、だるさ、吐き気、高体温など、そして最悪、死亡することもありますが、これらを引き起こすのは体のバランスが崩れるからです。
体のバランスが取れているときは、多少気温が高くても、体温や体調を調整できるので異常は起きません。
しかし、環境、体、行動によって体のバランスが崩れると、汗や皮膚で体温を調整できなくなり、体温がグングン上がっていき熱中症を引き起こします。

対策1:日陰、水分、塩分、服、日傘など

熱中症対策を「環境」「体」「行動」にわけて紹介します。

●環境で熱中症対策をする方法
・気温30度以上に警戒する
・戸外では日陰を利用する
・室内ではクーラーを使う

●体で熱中症対策をする方法
・水分を摂る、のどが渇く前に飲む
・塩分を補給する
・体を鍛える、健康を維持する

●行動で熱中症対策をする方法
・屋外で仕事をするときはこまめに休憩する
・涼しい服を着る
・日傘、帽子を使う
・暑い日は戸外で運動をしない

いずれも重要な対策ですが、特に重要な項目について解説します。
熱中症による死亡者の数は気温30度から増え始めます。したがって、天気予報で30度以上になることがわかったら、普段以上に対策を強化してください。

クーラーが苦手という人は少なくありませんが、暑い日は使ってみましょう。
家庭用の一般的なクーラーは換気機能がついていないので、コロナ対策にはなりません。そのため、コロナ対策が必要な場合は、クーラーをつけたまま、窓やドアなどを2カ所以上開けて扇風機を併用して換気を行ってください。

水分は、のどが渇く前に飲むようにしてください。のどが渇いたら、すぐに飲んでください。1日1.2リットルの水分を摂りましょう。

夏本番を迎える前に、体力をつけておいてください。毎日30分程度の適度な運動を心がけてください。もちろん、暑い日は屋外での運動を休むようにしましょう。
体調を整えておくことで、暑さに負けない体をつくることができます。

対策2:高齢者は自宅が危険と知る

対策その2は、自宅が危険であると知っておくことです。
熱中症の死亡者の約8割が65歳以上の高齢者で、高齢者の熱中症の半数以上が自宅で起きています。
若い人の熱中症は、作業中、運動中、学校が多くなっています。

対策3:暑さ指数を把握する

環境省は熱中症予防サイト情報を解説し、そこで毎日の暑さ指数を表示しています。サイトのURLは以下のとおりです。
https://www.wbgt.env.go.jp/wbgt_data.php

暑さ指数によって、危険度がわかります。

熱中症を予防するための数値「人体と外気との熱のやり取り」に注目

暑さ指数はアメリカで開発されたもので、人体と外気との熱のやり取りに注目した数値です。同じ気温の場所に同じ体温の人が複数人いても、熱中症になる人とならない人がいるのは、外気との熱のやり取りの差が生じているからです。
暑さ指数は、人体と外気との熱のやり取りに影響を与える、1)気温、2)湿度、3)日射や輻射などの周辺の熱環境、の3項目を総合的に判断して算出します。

暑さ指数と注意点は次のとおりです。

暑さ指数 生活の目安 注意点
31以上:危険 すべての生活活動で危険が起こる 高齢者は安静にしていても熱中症を起こす。外出は避け、涼しい部屋に居る。
28以上31未満:

厳重警戒

外出時は炎天下を避け、室内の気温に注意する。
25以上28未満:

警戒

中程度以上の生活活動で危険が起こる 運動や激しい作業をするときは十分休憩する。
25未満:注意 強い生活活動で危険が起こる 危険性は少ないが、運動や重労働時には熱中症が発生する危険性がある。

暑さ指数だけでは直感的に理解しにくいと思うので、暑さ指数に対応する気温を紹介します。
暑さ指数は気温だけでは決まりませんが、ただ「気温がこれくらいのとき、暑さ指数は大体これくらいになる」という目安として便利です。

暑さ指数 暑さ指数に対応する気温
31以上 35度以上
28~31 31~35度
25~28 28~21度
21~25 24~28度
21未満 24度未満

まとめ~簡単だけど実行は難しい

熱中症対策には難しいことは1つもありません。戸外では涼しいところに移動したり、室内ではクーラーをつけたり、激しい運動を避けたり、水分を補給したりするだけです。
しかし、夏は気持ちが高揚しやすく、体を激しく動かしたくなるイベントがたくさんあります。つまり、熱中症対策を忘れやすい季節ということができます。
それだけに熱中症対策は実行が難しく、意識的に取り組まなければなりません。

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