低血糖の治し方「糖尿病を治療中の方は注意を」

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血糖値、と聞くと数値が異常に高くなる糖尿病を思い浮かべると思いますが、血糖値が低すぎる低血糖も重い症状を引き起こすことがあります。

糖尿病情報センターは「糖尿病を治療中の方は、誰でも低血糖が起こる可能性があります」と注意喚起しています(*1)。

低血糖は最悪、意識を失って昏睡状態に陥ります。

しかし低血糖の症状は、準備さえしておけば、多くの場合すぐに治すことができます。

すぐにブドウ糖を口にするか、なければ甘いジュースでもよい

糖尿病を発症している方は、外出時などにブドウ糖を携行するようにしてください。ブドウ糖は10gごとにわかれているものがよいでしょう。

汗が出る場面でないのに汗が出てきたり、手や指が震えてくるといった低血糖の初期症状が現れたら、ブドウ糖10gを水で飲みます。

ブドウ糖がベストなのですが、もしブドウ糖を携行していなかったら、コーラなどのブドウ糖を含む甘いジュースを飲んでください。飲む量は150~200mlです。

ジュースもなければ砂糖20gでも代用できます。ただし砂糖の体内への吸収はゆっくりで即効性が期待できないので最終手段と考えておきましょう。

これで症状が治まったら、早めに炭水化物を含む食事をしてください。すぐに食事ができない場合、なんでもよいので炭水化物を80kcal分食べましょう(*1)。炭水化物80kcalはご飯50gほどです。

この処置は重要なので箇条書きで紹介します。

■低血糖の症状が出たら

・まずブドウ糖10gを水で飲む
(ブドウ糖を用意していなかったら甘いジュースを150~200ml飲むか、ブドウ糖20gを口にする)

・ブドウ糖を口にしたら、すぐに炭水化物を含む食事をする
(すぐに食事ができなければ、なんでもよいので炭水化物を80kcal分食べる)

摂取する量と口にするものの種類にも注意を

量に注意してください。いくら低血糖の症状が出たからといっても、ブドウ糖や炭水化物を食べすぎると今度は血糖値が急上昇して糖尿病が悪化する恐れがあります。

また、チョコレートは糖を含みますが、体の吸収スピードが遅いので低血糖が起きたときの応急処置としては不向きです。何を口にするかも注意してください。

応急処置をすれば重篤化するリスクは小さい

低血糖は恐い症状ですが、ブドウ糖を飲むといった応急処置の効果は高く、それで症状が治まれば重篤化することは高い確率で回避できるでしょう。

ただし、低血糖を再発させない取り組みは必要になりますのであとで紹介します。

糖尿病ではない健康な人は低血糖を起こしにくい

「低血糖」は空腹時の血糖値が70mg/dLより低下したときに起きる症状のことであり、単に血糖値が下がっただけでは「低血糖」とは呼びません。

例えば、糖尿病を発症していない健康な人がいくら空腹になっても、70 mg/dL以下になることはまれで、したがって低血糖を引き起こすこともまれです。

「低血糖」は糖尿病患者さんの課題ととらえておいて間違いないでしょう。

低血糖の症状と原因「血糖値を上げようとして起きる体の異常」

低血糖の症状は血糖値が下がるにしたがって重症化していきます(*2)。

■血糖値と症状の関係

血糖値 症状
70 mg/dL以下 汗をかく、不安な気持ちになる、脈が速くなる、手や指が震える、顔色が青白くなる
50mg/dL程度 頭痛、目がかすむ、集中力が低下する、生あくび
50mg/dL以下 異常な行動、けいれん、昏睡、意識を失う

 

低血糖が起きるのは、体が血糖値を上げようとするからです。

交感神経が異常をきたし、さらに中枢神経がおかされる

血糖値が70 mg/dLを下回るようになると、体が危機を感じ取って血糖を上げる働きがあるアドレナリンとグルカゴンという物質が分泌します。

この2つの物質が大量に分泌されると交感神経が異常をきたし、汗をかいたり手や指が震えたりする症状を起こします。

これが悪化すると今度は、より重要な神経である中枢神経がおかされ脳の機能が低下してしまいます。それで異常な行動、けいれん、昏睡といった重篤な症状に見舞われてしまうのです。

無自覚が恐い

低血糖には無自覚性低血糖というものがあり、自覚症状がないまま血糖値がぐんぐん下がっていってしまいます。

初期症状があればすぐにブドウ糖を口にするといった行動を取ることができますが、無自覚ではそれが難しくなります。

しかも無自覚のまま血糖値が60 mg/dL程度まで下がると、突然、中枢神経症状が出て「いきなり重症」ということが起こりえます。

糖尿病患者さんが低血糖を回避するために注意すること

次の行動は低血糖の発症リスクを高めてしまいます。糖尿病患者さんは十分注意するようにしてください(*2)。

■低血糖の引き金になりかねない行動
・食事の量が少ない(医師の指示とおりの量を食べましょう)
・炭水化物の摂取量が少ない(医師の指示とおりの量を食べましょう)
・糖尿病の薬を飲んだあとの食事が、いつもよりかなり遅れてしまう
・過度な運動(適度な運動はむしろ必要です)
・空腹での運動
・インスリンや糖尿病の薬を、医師の指示より多く投与してしまう
・飲酒
・入浴

まとめに代えて~低血糖を再発させないために、低血糖で事故を起こさないために

ブドウ糖で低血糖の症状を抑えることができても、同じ生活を繰り返していては同じ危機に見舞われてしまうでしょう。

糖尿病を患っている方は、低血糖を再発させないために次のことに注意してください。

また、重度の低血糖の症状に見舞われると身動き取れないことがあるので、そのときの注意点もあわせて紹介しています。

■糖尿病患者さんが低血糖を起こさないためにすべきこと
・インスリンや糖尿病の薬の投与量を守る
・規則正しい生活を心がける
・低血糖が起きたことを主治医に報告する
・家族などの身近な人に、低血糖を起こしたことを知らせておく(昏睡状態に陥ってしまったときの応急処置のため。必要であれば救急車を呼んでもらう)
・自動車を運転する人は必ずブドウ糖を携行する
・自動車を運転しない人もブドウ糖を携行する

糖尿病患者さんは低血糖リスクを背負っていることを忘れないでください。

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