低血糖の症状を解説「糖尿病と関係が深く、血糖値は低ければよいわけではない」

INDEX

糖尿病は恐い病気です。血液中のブドウ糖の濃度(血糖値)が高くなることで発症します。

では、血糖値が低ければよいのかというとそうではなく、低すぎると低血糖という症状を引き起こします。その代表的な症状は以下のとおり。

■低血糖の代表的な症状
・発汗
・脈が速くなる
・手の震え
・けいれん
・意識を失う

そして最悪、死に至ります。

この記事では、低血糖の症状を紹介したうえで、原因や糖尿病との関係、対策を解説します。

低血糖の症状

血糖値が60mg/dl以下になると低血糖と診断されますが、70mg/dlぐらいから症状が出始めます。

症状は血糖値の下がり具合で変わってきます。

先ほど紹介した症状も含め、低血糖の症状をすべて紹介します(*1)。

■低血糖の症状、血糖値別

血糖値(目安) 症状(目安)
70mg/dl以下 ●発汗●不安な気持ち●脈が速くなる●手や指が震える●顔色が青白くなる
50mg/dl程度 ●頭痛●目がかすむ●集中力が低下する●生あくびが出る
50 mg/dl以下 ●異常な行動●けいれん●昏睡●意識喪失

発汗や頭痛といった身体的な症状に加えて、不安感、集中力低下、異常な行動といった精神的な異常も現れます。

異常行動には、性格の急変、急に怒り出す、おかしな行動などがあります。また、自分がどこにいるのか、何をしているのかわからなくなることもあります。

そして昏睡から死亡に至ることもあります。

「この血糖値でこの症状」と決まっているわけではない

上記の表の血糖値と症状の横に「目安」と記載したのは、「この血糖値で必ずこの症状が出る」わけではないからです。

また、普段から血糖値が高い人や、何らかの事情で急激に血糖値が下がった場合は、80~100mg/dlでも低血糖の症状が出ることがあります。

無自覚性低血糖:いきなり意識障害になることも

低血糖の症状の特徴の1つに、血糖値の低下とともに症状が重くなるわけではない、というものがあります。

50mg/dl程度になってから目のかすみや生あくびが出てきますが、これらは単なる体調不良でも起きるので、それほど重い症状とはいえません。

一方、70mg/dlを下回ったあたりで不安感や手の震えといった、明らかな異常が現れます。

そして特徴的な症状には無自覚性低血糖があります。これは低血糖と診断できるレベルにまで血糖値が下がっているのに症状が出ず、そこからさらに下がると突然、意識障害を起こすものです。

低血糖を起こす原因

低血糖を起こす原因は次のとおり。

■低血糖の原因
・食事が少ない、長い時間食事をしていない
・炭水化物の摂取量が少ない
・激しい運動をしている最中や、その後
・飲酒
・入浴
・糖尿病の薬を服用したあと

低血糖は血液中のブドウ糖が減ることで起きるので、食事から長く遠ざかっていると起きやすくなります。

糖尿病の薬については後段であらためて解説します。

脳のエネルギーが不足して起きる

低血糖の症状が起きるのは、脳のエネルギーが不足してしまうからです。

脳はブドウ糖を大量に消費して活動しているので、血糖値が下がると脳にブドウ糖が届かずエネルギー不足が起きます。

脳にエネルギー不足が起きると、まず交感神経刺激症状が現れます。交感神経は日中に活動しているときに働く神経で、これに異常が起きると発汗や不安感が起きます。

脳に届くブドウ糖の量がさらに減ると中枢神経が働きにくくなり、目のかすみや生あくびが出てきます。

そして脳が感情などをコントロールできなくなるので異常な行動を起こすことになります。

糖尿病と低血糖

血糖値が上がる糖尿病と、血糖値が下がる症状である低血糖は深い関係にあります。

糖尿病の薬が効きすぎてしまう

低血糖は、糖尿病の治療薬を服用している人がよく引き起こします。

糖尿病の薬は血糖値を下げる作用があるので、薬が効きすぎると血糖値が下がりすぎて低血糖を引き起こしてしまうわけです。

糖尿病の飲み薬であるスルホニル尿素薬やグリニド薬はインスリンの分泌を促します。インスリンが出すぎてしまうと血液中のブドウ糖が激減して低血糖につながります。

またインスリン注射を使った治療を受けている患者さんは、いわばインスリンを強制的に血中に投与しているわけなので低血糖のリスクがあるわけです。

低血糖の対策

低血糖の対策を紹介します。

自分で薬の量を調整しないで

糖尿病の治療を受けている人は、自分の判断で服用する薬の量を増やさないでください。糖尿病の薬の投与量が増えれば低血糖リスクが高まります。

もちろん、医師が投与量を増やすことがありますが、それは問題ありません。糖尿病の薬の服用は、必ず医師の指示に従ってください。

過度なダイエットは危険

また、不規則な食事、過度な「炭水化物抜き」、過度なダイエット、突然激しいスポーツを始めることなどは避けてください。

飴玉を常に持っておいて

過去に低血糖を起こしたことがある人は、ブドウ糖や飴玉を携行するようにしましょう。

また、突然低血糖の症状が出たら、すぐに甘いジュースや飴玉、チョコレートを摂るようにしてください。なお、ジュースでも人工甘味料を使ったものは血糖値を上げる効果がないので避けてください。ブドウ糖が含まれるジュースを飲んでください。

まとめ~糖尿病患者さんは低血糖リスクを忘れないで

糖尿病患者さんには低血糖リスクがあります。

糖尿病と低血糖は真逆の現象で起きるのでとても厄介です。糖尿病を治すには薬で血糖値を下げなければなりませんが、下げすぎると低血糖につながってしまいます。

血糖値のコントロールは難しいので、糖尿病の治療を受けている方は医師の指導にしたがってください。くれぐれも自分で薬の量を調整するといったことはしないでください。

症状別に記事が確認できる 特集記事一覧

身体に不安を感じたらお気軽にご相談ください

風邪や発熱・腹痛といった一般的な疾患から生活習慣病など幅広く対応。総合診療医が適宜各診療科への振分け判断もいたします。

ご利用詳細

糖尿病、生活習慣病はヒロオカクリニックにご相談ください

2022年4月より、糖尿病の専門医の診療を増枠。各種診療科とも連携をしながら治療にあたります。

ご利用詳細

CONTACT予約・お問い合わせ

花粉症のご相談はこちら
花粉症のご相談はこちら Web予約・お問合せ 電話する