ビタミンが不足すると体に何が起きるのか~種類によって異なる症状を解説

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ビタミンが重要な栄養素であることは誰もが知っていることです。

では、ビタミンが不足すると健康にどのような支障が出るのでしょうか。

その答えは簡単ではありません。

なぜならビタミンは、人の体の機能を正常に保つために必要な有機化合物の総称だからです。

ビタミンにはさまざまな種類があり、それぞれ役割が違います。

したがってあるビタミンが不足したときの症状と、別のビタミンが不足したときの症状は異なります。

ビタミン不足で生じるビタミン欠乏症について解説します。

ビタミン欠乏症とは

3大栄養素であるタンパク質、炭水化物、脂質は人のエネルギーになるため、大量に摂取しなければなりません(*1)。

しかしビタミンはそこまでの量は要りません。

ところがビタミンは、たとえ少量であっても、必要量は必ず必要です。微量であってもビタミンが不足すると、体の機能を正常に保つことができません。

しかもほとんどのビタミンは体内でつくることができないので、ビタミンを含む食材を食べることで摂取する必要があります。

ビタミン欠乏症は、ビタミンやビタミンを含む食材の摂取不足や吸収障害などで生じます。

そしてビタミン欠乏症の症状は、不足したビタミンによって異なります(*2)。

代表的なビタミンであるC、B1、A、Dが不足したらどのような病気を引き起こすのか紹介します。

ビタミンCが不足すると壊血病などを引き起こす

「ビタミンといえばC」といわれるほど、ビタミンCは重要な栄養素です。

ビタミンC不足で生じる病気としては壊血病がよく知られています*3)。

壊血病を防ぐためのビタミンといってよい

ビタミンCの正式名称はascorbic acid(アスコルビン酸)というのですが、これは「壊血病(scorbutic)に対抗する(anti-)酸(acid)」という意味になります。

人類は体内でビタミンCをつくることができないので、壊血病を予防するためには食事などからビタミンCを摂らなければなりません。

犬や猫などの多くの動物は体内でビタミンCをつくることができます。

壊血病はビタミンCが不足すると起きる病気で、倦怠感や疲労感、食欲不振から始まって、悪化すると口や鼻から出血したり、太ももで内出血を起こしたりします。

皮膚、骨、血管に必要

ビタミンCは皮膚、骨、血管という重要器官に欠かせません。ビタミンC自体が皮膚の元、骨の元、血管の元になるのではなく、これらに含まれるコラーゲンをつくるのに必要になります。

コラーゲンは酵素の働きによってつくられるのですが、ビタミンCがその酵素を助けます。

もし皮膚、骨、血管からコラーゲンが失われたら強度が出なくなります。したがってビタミンCは「体を支えるものを支えている」といえます。

筋肉を萎縮させて身体能力を奪う

ビタミンCが不足すると筋肉が縮む筋萎縮が起きることがわかっています。

そのため、高齢者がビタミンC不足に陥ると身体能力が低下してしまいます。

高齢の方こそ、積極的にビタミンCを摂るようにしてください。

ビタミンB1が不足すると脚気などを引き起こす

脚気(かっけ)という病気をほとんど聞かなくなったのは、日本人の栄養状態がよくなり、ビタミンB1が決定的に不足することがなくなったからです。

脚気は、ビタミンB1が不足して神経がおかされることで発症し、その症状は倦怠感、食欲不振、手足のしびれから始まって、そのうち立てなくなったり心不全を起こしたりして死亡してしまいます*4)。

糖質の代謝に関係している

ビタミンB1の欠乏が健康を著しく損なうのは、これが糖質の代謝に関係しているからです。糖質は脳や神経の重要なエネルギーなので、ビタミンB1が不足して糖質を代謝できなくなると、それらに支障が出ます。

脳や神経がおかされるので全身が機能不全に陥るわけです(*5)。

薬にもなる

ビタミンB1は次の病気や症状の治療薬として使われることがあります。

■ビタミンB1が治療に使われる病気や症状
●神経痛
●筋肉痛
●関節痛
●末梢神経炎
●末梢神経麻痺
●心筋代謝障害

つまりビタミンB1不足は、これらの病気や症状の原因になりえます。

ビタミンA不足は早産をまねくことも

ビタミンAはさまざまな食品に含まれることから、日本などの先進国でこれが不足することはまれですが、食糧問題を抱える発展途上国などでは今でもビタミンA欠乏症が社会問題や健康問題になっています(*6)。

妊婦さんがビタミンA不足に陥ると早産になるリスクが高くなります。さらに生まれてきた子供の目や肺、胃腸に障害が出る可能性もあります。

また、がん、加齢黄斑変性症、麻疹にビタミンAが関係しているという指摘もあります。

ビタミンD不足は骨軟化症やくる病を引き起こす

ビタミンDは骨の強度を維持する作用があります。

体が、骨の主要成分であるカルシウムを吸収するときに、ビタミンDがそれを助けます。

そのためビタミンDが不足すると骨が軟化して細くなる骨軟化症を引き起こすことがあります。子供の骨が軟らかくなってしまう病気を、くる病といいます(*7)。

ビタミンDは、高齢者の骨粗鬆症(こつそそうしょう)の予防や治療に使われることもあります。

まとめに代えて~こういう食材を食べよう

ビタミンが不足しそうになったらサプリメントで補充してもよいのですが、基本はやはり食べ物から摂ることです。食べ物でビタミンを摂れば、ほかの栄養素も摂取できるからです。

ビタミンはそれぞれの種類をバランスよく摂る必要がありますが、ここでは上記で紹介したビタミンC、B1、A、Dを多く含む食材を紹介します。

■ビタミンCが多い食材
●緑茶
●赤ピーマン
●芽キャベツ
●焼きのり
●アセロラ

■ビタミンB1が多い食材
●玄米
●豆腐
●ソラマメ
●サツマイモ
●豚肉
●ウナギ

■ビタミンAが多い食材
●牛レバー
●サツマイモ
●ニンジン
●ホウレンソウ
●チーズ
●牛乳
●ピーマン
●マンゴー

■ビタミンDが多い食材
●サケ
●マグロ
●サバ
●牛レバー
●チーズ
●キノコ
●オレンジジュース
●ヨーグルト

このようなラインナップになっているので、いろいろな食材をまんべんなく食べていれば、極端なビタミン不足に陥ることはないでしょう。

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