軽度認知障害のリスクがわかるMCIスクリーニング検査とは~30歳でも早すぎません

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軽度認知障害(以下、MCI)は「軽度」といっても決して軽視できない病気(症状)です。なぜならMCIの人の10~15%は毎年認知症に移行していて「認知症の前段階」とみなされているからです。

そのため、異変を感じていない人でもMCIの発症リスクがわかるMCIスクリーニング検査を受けることは、認知症予防の観点から意味があります。この検査は30歳の人が受けても早すぎるということはありません。

参照:軽度認知障害(厚生労働省)

参照:MCIスクリーニング検査プラスとは(株式会社MCBI)

MCIとは

MCI(Mild Cognitive Impairment)は、主たる症状である物忘れが頻発しているが日常生活への影響はほとんどなく、医師が認知症と診断できない状態、と定義されます。さらに、より簡単に、正常な状態と認知症の中間点をMCIと呼ぶ、と説明されることもあります。

MCIの症状、単なる物忘れが多くなった状態との違い

MCIの症状は以下のとおり。

■MCIの症状
・年齢や教育レベルの影響だけでは説明できない記憶障害が存在する
・本人または家族による物忘れの訴えがある
・全般的な認知機能は正常範囲である

これらの症状は物忘れが多くなった状態と似ていますが、MCIと単なる物忘れの違いは脳に支障があるかどうかです。

MCIとアルツハイマー病

先ほどMCIは「認知症の前段階」と紹介しましたが、「アルツハイマー病の前段階」と理解することもできます。

アルツハイマー病は脳に異常をきたす病気で、「発症前のアルツハイマー病の段階」→MCI→アルツハイマー病、という段階を踏んで進行します。

ただし、アルツハイマー病以外の病気でもMCIを発症することがあります。

参照:アルツハイマー病・認知症の診断・治療(近畿大学病院)

MCIスクリーニング検査プラスとは

ヒロオカクリニックで行っているMCI検査は、株式会社MCBIが筑波大学と共同開発したMCIスクリーニング検査プラスです。

この検査を受けることでMCIのリスクがわかります。つまり、将来MCIを発症しやすいかどうかや、すでにMCIを発症しているかどうかがわかります。

なぜ若い人でも検査を受ける意味があるのか

認知症やアルツハイマー病やMCIは高齢者の病気(症状)と理解されることが多く、また多くの患者さんは高齢者です。

それでも若い人でもMCIスクリーニング検査プラスを受ける意味があるのは、発症する20~30年前の生活習慣が、認知症・アルツハイマー病・MCIに影響するからです。

したがって若い人がMCIスクリーニング検査プラスを受けてMCIのリスクが大きいことがわかれば生活習慣を変える動機になり、それは認知症の予防対策になります。

血液検査で成分を調べる

MCIスクリーニング検査プラスは、クリニックなどの医療機関で受けます。血液を5mlほど採取してそのなかの成分を調べます。

これにより、アルツハイマー病の原因とされる脳内の老廃物を排除する機能が正常であるかどうかがわかります。

さらに詳しい内容は後段であらためて解説します。

MCIスクリーニング検査プラスが推奨される方

MCIスクリーニング検査プラスでは年齢制限は設けていませんが、メーカーは40代以降の方に推奨しています。また30歳の方が受けても意味があると考えます。

年齢以外にも次のような生活習慣や健康状態はMCIリスクを高めるので、これらに該当する方もMCIスクリーニング検査プラスを検討してよいでしょう。

■MCIスクリーニング検査プラスを推奨できる方(MCIリスクを高めるもの)
・アルコールを多く摂取する人
・喫煙者
・食生活が乱れている人
・睡眠不足の人
・血圧や血糖値が高い人
・運動不足の人
・肥満
・ストレスが大きい人

「最近、物忘れが多いかもしれない」と感じている方はもちろんのこと、「物忘れなんてまったく起こしていない」という方でも、上記の生活習慣・健康状態の方は、MCIスクリーニング検査プラスの受診を検討してもよいと考えます。

血中の4種類のタンパク質を測定する

MCIスクリーニング検査プラスについてより詳しく解説します。

MCIスクリーニング検査プラスでは血液中の次の4つのタンパク質を測定します。

■MCIスクリーニング検査プラスで調べる4つのタンパク質
・栄養系タンパク質
・脂質代謝系タンパク質
・炎症・免疫系タンパク質
・凝固線溶系タンパク質

これらはいずれもアルツハイマー病・認知症・MCIに関わっています。

アミロイドβとMCIとアルツハイマー病の関係

アルツハイマー病の患者さんには、脳内に老廃物が蓄積する症状がみられるのですが、この老廃物をアミロイドβといいます。

生活習慣の乱れや加齢によって血管内に炎症が起きると、血中成分が脳内に染み出るようになり、それがアミロイドβの蓄積につながったり、アミロイドβの排出を阻害したりします。

アミロイドβが蓄積すると脳内の神経細胞が破壊されMCIを経てアルツハイマー病に移行して認知症が発症する、と考えられています。

脳を守っている4つのタンパク質を調べてMCIリスクを測定

4つのタンパク質のうち栄養系タンパク質と脂質代謝系タンパク質は、アミロイドβと結合して血中にアミロイドβを排出する役割を担っています。

炎症・免疫系タンパク質は、脳内に染み出した血中成分から神経細胞を守ったり、アミロイドβを貪食(どんしょく:細胞が不要物を分解すること)したりします。

凝固線溶系タンパク質と脂質代謝系タンパク質は損傷した血管の修復を助けます。

したがってこの4つのタンパク質を調べることでMCIのリスクがわかるわけです。

まとめ~まずは「リスクを減らそう」と思うことが大事

記事の内容を箇条書きでまとめます。
・軽度認知障害(MCI)は認知症の前段階であり、アルツハイマー病の前段階でもある
・MCIスクリーニング検査プラスでMCIリスクがわかる
・MCIスクリーニング検査プラスは40歳以上の人に推奨されるが、30歳の人が受けても意味がある
・なぜなら認知症・アルツハイマー病・MCIを発症する20~30年前の生活習慣が、認知症・アルツハイマー病・MCIに影響を与えるから(若いときにMCIリスクがわかれば生活習慣を変えることができるから)
・MCIスクリーニング検査プラスでは採血をして、血液中の、脳を守っている4つのタンパク質を調べる

アルツハイマー病も認知症も、完全に治すことができない病気(症状)とされていますが、リスクを高める要因や予防方法は大分わかってきました。

MCIリスクを知れば、リスクを低下させる予防策に取り組もうという気持ちが芽生えると思います。この気持ちを持てることが、MCIスクリーニング検査プラスを受ける意義になります。

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