PCR検査の偽陽性:コロナ感染していないのに「感染」と出るのは仕方がない?

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新型コロナウイルス感染症では、PCR検査の偽陽性と偽陰性が問題になっています。
偽は「にせの」という意味で、陽性は「コロナに感染している」という意味なので、偽陽性は、コロナに感染していないのに「感染している」と判定されてしまうことです。
偽陰性は偽陽性の逆で、コロナに感染しているのにPCR検査で「感染していない」と結果が出てしまうことです。
コロナ対策で重要な役割を担うPCR検査で「にせの結果が出て大丈夫なのか」と感じるかもしれませんが、偽陽性・偽陰性をゼロにすることは難しく仕方がない部分があります。
PCR検査で偽陽性・偽陰性が出てしまう理由と、偽陽性・偽陰性を完全にゼロにできない理由を解説します。

そもそも偽陽性・偽陰性とは

まず、陽性・陰性と偽陽性・偽陰性について解説します。
医療現場で行なわれている検査には、ある物質が含まれているかいないかを調べるものがあります。
PCR検査ならコロナの遺伝子が含まれているか含まれていないかを調べますし、尿糖検査なら尿のなかに糖が含まれているか含まれていないかを調べます。

医療の検査では、望ましくない結果や悪い結果のことを陽性と呼ぶことが多いのですが、陽性・陰性という言葉自体は中性的な意味です。
陽性「含まれている・存在する」という意味で、陰性「含まれていない・存在しない」という意味です。
医療の検査では、人の体にとって望ましくないものの存在を調べることが多いので「陽性=悪い結果」「陰性=よい結果」となることが多くなります。

PCR検査で偽陽性・偽陰性が出てしまう理由

検査結果は、治療方針を決めたり病気の有無を判定したりするのに使う重要な情報なので、検査は正しい結果が出るようにつくられますが、100%の正しさを実現することは至難の業です。

偽陽性:わずかなウイルスでも検知してしまう

PCR検査で偽陽性が出てしまうのは、検体のなかにコロナがわずかでも含まれていると、検査機器が陽性と判定してしまうからです。
わずかな数のコロナで陽性と判定することはよいことのように思えるかもしれませんが、そうではありません。

例えば、1個のコロナが体内に入っただけなら、「コロナに感染した」とはいいません。感染症には、何個のウイルスが体内に入ったら感染したとみなす「最小発症菌数」という考え方があります。
体内のコロナの数が最小発症菌数以下なら感染したことにならないので、その状態で陽性と出ればそれは偽陽性となります。

PCR検査では、検体のなかのコロナを増殖させてから測定するので、偽陽性が出る可能性は十分あります。
しかし、だからといって検体のなかのコロナを増殖させずに測定すると、今度は、最小発症菌数に達している人の感染を発見できなくなってしまいます。

偽陰性:たまたま検体にコロナが含まれていないと起きる

PCR検査では、大きな綿棒を鼻のなかに挿入して、鼻の粘膜を拭い、そのなかにコロナが含まれているかどうか調べます。もしくは、唾液を採取して、コロナの有無を調べます。
PCR検査にかける粘膜や唾液のことを検体といいます。

PCR検査で陰性(コロナなし、感染していない)と出ても、それはたまたま綿棒で拭った場所にコロナがいなかっただけかもしれませんし、たまたまそのとき吐き出した唾液にコロナが含まれていなかったからかもしれません。
仮に別の場所にコロナが潜んでいたら、その検体(粘膜や唾液)でPCR検査を進めても、感染しているのに陰性と出てしまいます。つまり偽陰性になります。

偽陽性・偽陰性をゼロにできないのは検査の宿命?

PCR検査を含め、ほとんどの検査で偽陽性と偽陰性を撲滅できないのは、偽陽性を減らそうとすると偽陰性が多くなり、偽陰性を減らそうとすると偽陽性が増えてしまうからです。これは検査の宿命といってもよいでしょう。

PCR検査の偽陽性を減らすには、コロナがわずかしか含まれていなかったら陰性と判定するようにしなければなりません。しかしそれは、コロナをみつける能力を低下させることを意味するので、コロナをみつけにくくなり、感染しているのに陰性と出ることが多くなるリスクが高まってしまいます。

PCR検査の偽陰性を減らすには、コロナがわずかでも含まれていれば陽性と判定するようにしなければなりません。しかしそれは、コロナをみつける能力を高めることを意味するので、コロナをみつけやすくなり、感染しているとまではいえないのに陽性と出ることが多くなるリスクが高まってしまいます。

東京大学保健・健康推進本部は、コロナ感染者がPCR検査で陽性と出る確率は70%程度で、結果が陰性と出てもコロナに感染していないとは言い切れない、と注意喚起しています(*1)。

まとめ~もちろん偽はなくすべき

コロナの治療現場では、PCR検査で陰性と出た人が翌日に急変して死亡し、死亡後に陽性だったことがわかった、という事例が報告されています。また、重症の肺炎で何度PCR検査をやっても陰性だったのに、最後にもう一度PCR検査をしたら陽性と出た、といった事例もあります(*2)。
PCR検査で偽陽性・偽陰性をゼロにすることは難しいのですが、当然ですが、ゼロにするのが理想です。コロナの検査方法は日進月歩なので、理想の検査が生まれることを期待したいものです。

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