花粉症の検査方法と費用を解説

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花粉症には、1つの病気なのに原因の種類が多い、という特殊性があります。もちろん、症状のきっかけが花粉である点は共通していますが、その花粉がスギのこともあれば、ヨモギのこともあれば、シラカンバのこともあります。

また花粉症を発症したと思ってクリニックにかかったところ、まったく別の物質によってアレルギー反応が起きていた、ということも珍しくありません。

原因がわからないと治療はできません。

そこで花粉症が疑われる症状が出てクリニックにかかった方には、検査を受けていただくことになります。

この記事では、花粉症の検査方法と費用について解説します。

花粉症の検査の種類

日本耳鼻咽喉科免疫アレルギー感染症学会は「鼻アレルギー診療ガイドライン」を作成し、そのなかで花粉症を含むアレルギー性鼻炎であると診断するには次の検査を行う必要がある、としています。

・皮内アレルギーテスト
・スクラッチテスト
・IgE抗体検査
・鼻汁中好酸球検査
・抗原誘発反応検査

どのように検査をして、何を調べるのか1つずつ解説していきます。

皮内アレルギーテスト

皮内アレルギーテストは、患者さんの腕に微量のアレルゲンを注射で投与して、皮膚が反応するかどうか調べる検査です。

アレルゲンとはアレルギー反応の原因となる物質のことです。微量を投与することで、わざと小さなアレルギー反応を起こして原因物質を特定します。

注射した部分が赤くなったり腫れたりすれば、そのアレルゲンが原因であることがわかります。投与するアレルゲンに花粉を使えば、花粉症であるかどうかがわかります。

スクラッチテスト

スクラッチテストは皮内アレルギーテストの一種です。

患者さんの皮膚に注射針で小さな傷(スクラッチ)をつけて、各種のアレルゲンを微量付着させて反応をみます。

 IgE抗体検査

IgE抗体検査は血液検査で、患者さんの血液のなかのIgE抗体という物質を調べます。

花粉などのアレルゲンは人の体のなかでIgE抗体と結びつき、鼻水やくしゃみなどのアレルギー反応を引き起こす化学物質を発生させます。

このメカニズムは次のような流れになります。

・アレルゲンが体内に侵入→アレルゲンとIgE抗体が結合→化学物質が発生→アレルギー反応

IgE抗体には、花粉と結びつくIgE抗体やダニの成分と結びつくIgE抗体、卵白の成分と結びつくIgE抗体など、さまざまな種類があります。

そのため、血液中のIgE抗体の種類を調べれば、その患者さんがどのアレルゲンに反応しやすいかがわかります。

アレルギー反応を起こしている患者さんの血中に、花粉と結びつくIgE抗体が多くみつかれば「花粉症だろう」と見立てることができます。

IgE抗体については後段でさらに詳しく解説します。

鼻汁中好酸球検査

鼻汁中好酸球検査は、鼻汁(鼻水)を採取して、そのなかに好酸球という物質が含まれているかどうかを調べます。

好酸球は白血球の一種で、アレルギー反応を起こす人の体内で増える特徴があります。

好酸球は白血球ですが、血液中より鼻の粘膜で増える傾向があるので、鼻汁を調べるわけです。

抗原誘発反応検査

抗原とはアレルゲンとほぼ同じ意味です。

抗原誘発反応検査は、鼻の奥の粘膜の上に抗原を含んだ小さなシート(抗原ディスクといいます)を貼り、鼻汁が出たり粘膜が腫れたりするかどうか調べます。

抗原の種類によって原因物質(アレルゲン)を特定できます。

「Viewアレルギー39」検査の方法と料金

上記で紹介した検査のほかに「Viewアレルギー39」という検査方法があります。

とても簡便な方法でありながら有効性が高いので、多くのクリニックが採用しています。

39種類のアレルゲンを特定できる

Viewアレルギー39検査は、その名のとおり次の39種類のアレルゲン(アレルギー反応の原因)を特定します。

1回採血するだけで、以下の物質のどれに反応してつらい症状を引き起こしているかがわかります。

・樹木:スギ、ヒノキ、ハンノキ、シラカンバ
・草:カモガヤ、ブタクサ、ヨモギ、オオアワガエリ
・室内関連:ヤケヒョウヒダニ、ハウスダスト
・動物:ネコ、イヌ、ガ、ゴキブリ
・カビ:アルテルナリア、アスペルギルス、カンジダ、マラセチア、ラテックス
・食べ物:卵白、オボムコイド、ミルク、小麦、ピーナッツ、大豆、そば、ごま、米、エビ、カニ、キウイ、りんご、バナナ、マグロ、サケ、サバ、牛肉、豚肉、鶏肉

保険を使って5,000~6,000円ほど

Viewアレルギー39検査はクリニックなどの医療機関で受ける検査です。

医師の診断により、症状のある方で問診などで原因が特定できない方に行います

この検査は公的医療保険が適用され、患者さんの自己負担額は3割負担で5,000~6,000円ほどになります。

39種類も分類できるのはIgE抗体をチェックしているから

Viewアレルギー39検査で39種類ものアレルゲンを特定できるのは「すごい」ことであり「素晴らしい」ことです。

なぜなら例えば、ネコ・アレルギーであることがわかれば、スギ花粉やエビの心配をする必要がなくなるからです。ネコにだけ注意しておけば、なんら支障のない生活を送ることができます。

この「すごさ」と「素晴らしさ」を実現できたのは、Viewアレルギー39検査がIgE抗体をチェックしているからです(*1)。

そもそもアレルギーとは

アレルギー反応には、1)通常は無害な物質に対して起きる2)免疫の異常、という2つの性質があります(*2)。

例えばスギ花粉は通常は無害な物質で、免疫に異常が起きた人だけにアレルギー反応が起きるので、スギ花粉で不快な症状が出る場合はアレルギー反応になります。

一方でフグやキノコに含まれる毒を食べて起きる食中毒は、それ自体が無害なものではありませんし(1に該当しない)、免疫に関係なく起きる(2に該当しない)ので、アレルギー反応ではありません。

4つのタイプ

アレルギー反応には次の4つのタイプがあります(*3)。

■アレルギーの4つのタイプ
1型:即時型、アナフィラキシー型
2型:細胞傷害型、細胞融解型
3型:免疫複合型
4型:遅延型、細胞性免疫

花粉症などのアレルギー性鼻炎は1型になります。その他、アトピー型気管支喘息、じんましん、アレルギー性結膜炎、アトピー性皮膚炎、アナフィラキシーショックも1型です。

1型はアレルゲンが体内に入ってから2時間程度でアレルギー反応が出るので、即時型とも呼ばれます。皮膚の症状だけなら15分で出ることもあります。

そして1型はIgE抗体が関与しているという特徴もあります。

IgE抗体を「抗体」と「IgE」にわけて解説

抗体とは、体内に侵入した異物に結合して、異物を体外に出す分子のことです(*4)。抗体は免疫の担い手の1つであり、これの働きによって体内に入った病原体(異物)を排除できるので、抗体は普通は「よいもの」です。

IgEはImmunoglobulin Eの略で、和訳すると免疫グロブリンEといいます。IgE抗体はアレルゲン(異物)に結合する性質があります。

したがって、アレルギー体質の人はIgE抗体を多く持ち、そうではない人はIgE抗体をほとんど持ちません。

ではなぜ本来は「よいもの」であるはずのIgE抗体が、アレルギー反応という「悪さ」をするようになったのでしょうか。

IgE抗体とは

IgE抗体は、いきなりアレルゲンと結合するのではなく、まずは体内のマスト細胞という細胞と結合します。マスト細胞は血液、皮膚、腸に存在します。

「IgE抗体+マスト細胞」がアレルゲンと結合すると、ヒスタミンなどの化学物質を放出します。

ヒスタミンなどがアレルギー反応を引き起こします。

抗体が、本来は免疫を担う「よいもの」であるにも関わらず、アレルギーに関しては「悪いもの」になるように、ヒスタミンも本来は「よいもの」なのに「悪いもの」に変わります。

ヒスタミンのよい面は、脳内の神経伝達物質として中枢神経や末梢神経に関与していることです。また、覚醒や興奮を起こしたり、食べ物を十分に食べたときに満腹感を生み出して食欲を抑制したりします。

ところがその作用が強くなりすぎると(つまりヒスタミンが活躍しすぎると)アレルギー反応という不快な症状の元凶になってしまいます。

IgE抗体に話を戻しますと、IgE抗体は、1種類のアレルゲンに対して1種類つくられます。

つまり、スギ・アレルギーを生み出すのはスギIgE抗体で、ネコ・アレルギーはネコIgE抗体、というイメージです。この1つひとつのIgE抗体を特異的IgE抗体といいます。

Viewアレルギー39検査は、患者さんの特異的IgE抗体を調べるので「なんのIgE抗体なのか」がわかり、アレルゲンを特定できるわけです。

自宅で簡単にチェックできる

医療機器のサーモ・フィッシャー・サイエンティフィック社が「アレルギーチェックシート」を作成していて、医療機関でも使われることがあります(*5)。

これは自宅で簡単にチェックできるので試してみてください。

■アレルギーチェックシート
□決まった季節に目のかゆみ、充血、くしゃみ、鼻水が出る
□ 掃除、衣替えなどをすると目のかゆみ、充血、くしゃみ、鼻水が出る
□ 肌が乾燥したり荒れたりしやすく、湿疹が出やすい
□ ちょっとした刺激で肌が赤くなる
□ ひじやひざの裏など屈曲部に湿疹が出る
□ 食べ物を食べたあと、お腹が痛くなることがある、じんましんが出る
□ 果物や野菜を食べると口のなかやのどがピリピリしたりイガイガしたりする
□ 犬や猫などのペットを飼っている家に行くと、目のかゆみ、充血、くしゃみ、鼻水が出る
□ 息苦しいときがある、ゼエゼエしたりヒューヒューしたりする
□ 咳が8週間以上続くことがある
□ 家族にアレルギーの人がいる

1つでもチェックがつくとアレルギーを持っている可能性があります。その場合、花粉症などのアレルギー性鼻炎を疑ってクリニックにかかることをおすすめします。

検査でアレルゲンを特定できれば、そのアレルゲンを避けることで普通の生活を送れるようになるからです。

まとめ~まずは敵を知る

検査はどの病気の治療でも最初に行なわれますが、花粉症では特に原因を特定しないことには対処のしようがないので重要になってきます。

花粉症を含むアレルギー性鼻炎は「敵」が多いので、その特定は簡単ではありません。そのため検査方法が複数開発されました。

花粉症の検査で原因を特定できれば、日常生活のなかでその物質を回避する行動を取ることができます。

敵を倒すために、まずは敵を知りましょう。

新宿ヒロオカクリニックでも花粉症の治療やアレルギーの検査を実施しております。

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アレルギーの原因は遺伝的なものに限るわけではなく、しっかりと治療すれば改善されるものも多数あります。重症化する前に専門医の治療を受けることをお勧めします。

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