風疹(ふうしん)とは:なぜ警戒が必要なのか 症状、原因、治療、予防を解説

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風疹(ふうしん)について厚生労働省は「決して軽視できない病気」として警戒を呼びかけています(*1)。

同省がわざわざ「軽視できない」と断るのは、軽視している人が少なからず存在するからでしょう。実際、風疹を発症しても症状が出ない人もいます。

それでも警戒を呼びかけるのは、重い合併症を引き起こすことがあるからです。

また妊婦さんが風疹を発症してしまうと、子供が障害を負ってしまうこともあります。

風疹がどのような病気であり、なぜ警戒すべきなのか解説します。

症状~無症状から重篤まで幅広い

風疹ウイルスに感染しても症状が出ないことを不顕性感染といいます。

風疹における不顕性感染は感染者の15~30%ほどで、それ以外の人たちは症状に苦しむことになります*2)。

成人は症状が重くなりやすい

風疹ウイルスに感染すると14~21日間の潜伏期間のあと、発熱、発疹、リンパ節の腫脹(しゅちょう)が起きます。

発疹は全身に現れます。

腫脹とは体内の炎症により部分的に腫れ上がる現象で、風疹では耳の裏、後頭部、首によく現れます。腫脹は3~6週間続いたあと、その後消えていきます。

こうした症状は子供よりも成人の感染者のほうが重く現れます。

大抵は良好な予後をたどるが、合併症で入院が必要になることも

体内の風疹ウイルスは発疹が出てから1週間くらいで減少し、さらに、発熱が治まるとウイルス量が激減し、次第に感染力が消えます。つまり、他人にうつすことがなくなります。

風疹は「原則」予後が良好な病気といえます。

しかし「例外」的に合併症を発症することがあります。

高温の継続、または血小板減少性紫斑病の発症は、3,000~5,000人に1人の割合で起きます。

急性脳炎の発症確率は4,000~6,000人に1人。

これらの合併症が起きると入院が必要になるほど重症化します。

大人の場合は手指のこわばりや関節炎を起こすこともあります。

妊婦さんはさらに強く警戒を

風疹の免疫が十分ではない妊娠20週目までの妊婦さんが感染すると、生まれてくる子供が先天性風疹症候群という目、耳、心臓の障害を負うことがあります。

妊婦さんやその家族は、その他の人より強く警戒する必要があるでしょう。

原因~ウイルスに感染して発症

風疹は風疹ウイルスに感染して発症します。

感染経路は飛沫で、感染者のくしゃみなどを浴びることで感染します。

免疫を持たない人の集団があった場合、1人の感染者から5~7人にうつす感染力を有します(*1)。

流行と沈静化を繰り返している

風疹はかつては5年周期で流行と沈静化を繰り返していましたが、1994年から流行することが減りました。

ところが2013年から再び患者数が増えるようになりました。

現在は、風疹患者が1例でも発生したら、厚生労働省が感染経路を把握したり、調査したりしています。また同省は感染者全員にウイルス遺伝子検査を実施しています(*1)。

厚生労働省は、ワクチンの接種を呼びかけています。特に妊婦さんや妊娠の可能性がある女性、その家族にはワクチン接種を推奨しています。

ワクチンについては後段で詳しく解説します。

治療~特効薬がなく対処療法

風疹には特効薬がなく、治療は対処療法になります。

発熱したら解熱剤を使い、痛みがある場合は鎮痛剤を使います。

対処療法は、入院するくらい重症化しても同じです。

予防~ワクチンの有効性が高い

風疹に特効薬がない以上、予防が唯一の効果的な対策と言えるでしょう。

予防には風疹ワクチンが有効であるとされています。

風疹ワクチンに対して期待できる効果は以下のとおりです(*1)。

■風疹ワクチンに期待できる効果
・1回の接種で95%の人が風疹ウイルスに対する免疫を獲得できる
・1回で免疫を獲得できなかった人も2回目の接種で、その多くが免疫を獲得できる
・接種から年数が経過すると免疫が低下するが、追加で接種すると免疫が強化される(追加接種が有効)

風疹ワクチンの副反応

風疹ワクチンには次のような副反応があります。

■風疹ワクチンの副反応
・発熱:接種後2週間以内に発熱する人は13%ほど
・発疹:接種後1週間以内に発疹が出る人が数%いる
・アレルギー反応:3%
・蕁麻疹(じんましん):3%
・発熱にともなうけいれん:0.3%
・脳炎または脳症:100万~150万人に1人(ただし、風疹ワクチンとの因果関係は明らかではない)

風疹ワクチンを打つかどうかは、接種によって得られる利益と上記のリスク(副反応)を比較して決めることになりますが、国立感染症研究所は「男女ともが風疹ワクチンを接種して、まず風疹の流行を抑制し、女性は感染予防に必要な免疫を妊娠前に獲得しておくことが重要である」としています。

まとめ~正しく警戒しましょう

風疹の症状は、無症状から重症までと幅が広いので、警戒の仕方が難しい病気といえます。

しかし妊婦さんへの影響を考えると、女性も男性も正しく警戒する必要があります。

また「風疹は子供がかかる病気なのだろう」という認識は正しくはなく、大人もかかりますし、大人のほうが症状が重くなる傾向があります。

ワクチン接種は正しい警戒の1つといえ、厚生労働省や国立感染症研究所が推奨しています。成人の追加接種も有効とされています。

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