睡眠時無呼吸症候群の症状、原因、治療法を解説

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睡眠時無呼吸症候群はテレビの健康情報番組で紹介されることが多くなり、よく知られている病気の1つになったと思います。

ただ、この病気が睡眠障害で最も頻度が高い病態の1つであることをご存知でしょうか。そして、マスクのような治療機器であるCPAPを使っている人が国内だけで50万人もいることをご存知でしょうか。そして難病にも関わることをご存知でしょうか。

睡眠時無呼吸症候群は生活の質を落とす病気ですので、詳しく知っておくことをおすすめします。

この記事では、あらためて睡眠時無呼吸症候群の実態を解説したうえで、症状や原因、治療法を紹介します。

睡眠時無呼吸症候群の正体

睡眠時無呼吸症候群は睡眠呼吸障害の一種で、正確には病気ではなく病態の名称です。睡眠呼吸障害とは、睡眠と呼吸に関連した障害という意味になります。

ただし医師のなかには患者さんに対して、病名として睡眠時無呼吸症候群を紹介している場合も多く、病気と理解しても問題はありません。

2種類の睡眠時無呼吸症候群

睡眠時無呼吸症候群は眠っているときに呼吸が止まる状態ですが、これには次の2種類があります。

■2種類の睡眠時無呼吸症候群
・中枢性睡眠時無呼吸
・閉塞性睡眠時無呼吸

中枢性睡眠時無呼吸は、呼吸努力をしないことで呼吸しなくなる状態で、こちらは心不全や脳卒中といった深刻な病気との関係が深い状態です。

閉塞性睡眠時無呼吸は、呼吸努力をしているのに呼吸できなくなる状態で、通常はいびきをともないます。そして患者さんが多いのはこちらです。この記事でもこれ以降は、閉塞性睡眠時無呼吸の睡眠時無呼吸症候群(以下、単に睡眠時無呼吸症候群)を説明していきます。

症状:無呼吸と低呼吸

無呼吸になるのは、咽頭が虚脱するためです。喉(気道)は管状になっていて、管のなかを空気が通過して呼吸するわけですが、咽頭が虚脱すると管が塞(ふさ)がれてしまい、それが無呼吸を引き起こします。

眠っているときに完全に咽頭が虚脱すると無呼吸になり、これが10秒続くと医師は「睡眠時無呼吸」と判断します。

不完全に咽頭が虚脱すると、完全には喉が塞がれないので少し呼吸ができ、これを低呼吸といいます。

医師は睡眠時無呼吸症候群を診断するとき、患者さんの無呼吸と低呼吸の状態や深刻度を調べます。

そのほかの症状

睡眠時無呼吸症候群には無呼吸・低呼吸以外の症状もあり、それは以下のとおりです。

■睡眠時無呼吸症候群の無呼吸・低呼吸以外の症状
・いびき
・昼間の眠気、不眠
・疲労感
・眠っているときのあえぎや窒息感と、それにともなう目覚め

なお睡眠時無呼吸症候群の患者さんには、高血圧、糖尿病、脳の病気、心臓の病気、気分障害などをともなっている傾向がみられます。

睡眠時無呼吸症候群の原因

睡眠時無呼吸症候群を引き起こす原因のうち、最も強い因果関係を持つのは肥満です。肥満度や首の周囲径(首の太さ)が大きくなるほど睡眠時無呼吸症候群のリスクが高くなることがわかっています。

性差では男性の発症率は女性の2、3倍に達します。女性は閉経後に多くなる傾向がみられます。

そして顎の大きさや形状、鼻腔(鼻の穴の奥の空洞)の形態も睡眠時無呼吸症候群のリスクに関係しています。口から鼻、喉にかけての形や状態によって、起きやすくなったり起きにくくなったりします。

結果にも原因にもなりうる心不全

心不全は睡眠時無呼吸症候群の原因にも結果にもなります。

つまり睡眠時無呼吸症候群によって心不全の状態が悪化し、心不全の状態が悪化することで睡眠時無呼吸症候群がさらに悪化する可能性があります。

眠っているときに無呼吸によって目覚めることが続くと、本来睡眠時には機能しないはずの交感神経が活性化されてしまい、それが心臓の機能に悪影響を及ぼします。眠っているときは心臓を極力休ませておきたいのですが、睡眠時無呼吸症候群ではそれができなくなり、心不全が悪化するわけです。

これが「睡眠時無呼吸症候群→心不全」の流れになります。

次に「心不全→睡眠時無呼吸症候群」の流れですが、心不全になると喉の周辺がうっ血して浮腫み(むくみ)ができるようになり、呼吸がしづらくなります。それで睡眠時無呼吸症候群の症状が悪化してしまうのです。

指定難病「肺胞低換気症候群」について

睡眠時に無呼吸になる症状は、指定難病、肺胞低換気症候群の睡眠関連低換気障害によって起きることもあります。

肺胞低換気症候群は呼吸の自動調節機能が異常をきたす病気で、睡眠と覚醒(目覚め)の仕組みが障害されることで発症します。

睡眠時無呼吸に恐い病気が隠れていることがあることを知っておいてください。

治療~CPAPについて

睡眠時無呼吸症候群の主な治療法を紹介します。

有効性が高い治療法

睡眠時無呼吸症候群が広く知られるようになるなかで、マスクを装着する治療機器、Continuous Positive Airway Pressure(以下、CPAP)の認知度も高まってきた印象があります。

CPAPは、空気を送る機械につながったマスクから患者さんの鼻に強制的に空気を送り、患者さんの気道(喉)を膨らませて呼吸を継続させる治療機器です。

睡眠時無呼吸症候群は気道が塞がって起きるので、気道を確保できるCPAP療法は有効性が高い治療法ということができます。

そのためほとんどの医師は、睡眠時無呼吸症候群と診断した患者さんにCPAP療法をすすめます。

CPAP療法は機器を使うので手間がかかる印象があると思いますが、自宅の寝室でも、旅行先のホテルのベッドでも使うことができます。マスクも最初は違和感を持つかもしれませんが、そのうち気にならなくなるでしょう。さらに深い眠りを確保できるようになるので快適に感じるはずです。

CPAP療法を受けている人は国内に50万人いるとみられていて、その50%以上は60歳未満の青年・壮年層です。

減量

睡眠時無呼吸症候群の患者さんが肥満の場合、減量も有効性が高い治療法になります。そして減量することによって患者さんの生活の質が向上したり、心血管疾患のリスクを減らしたりすることができます。

まとめ~治療法が確立されている病気

この記事の内容を箇条書きでまとめます。

・睡眠時無呼吸症候群には中枢性と閉塞性があり、患者さんが多いのは後者
・眠っているときに無呼吸になるのは咽頭が虚脱して気道が塞がれてしまうため
・睡眠時無呼吸症候群の症状は、眠っているときの無呼吸・低呼吸、いびき、眠気、不眠、疲労感、あえぎ、窒息感、覚醒(目覚め)
・最も有力な原因は肥満
・睡眠時無呼吸は難病によっても起きる
・CPAPは有効性が高い治療で、減量も必要になる

睡眠時無呼吸症候群はつらい症状を引き起こす病気ですが、治療法は確立されているので「もしかしたら」と感じたらクリニックを受診してみてください。

新宿ヒロオカクリニックでは呼吸器内科の専門医が診察を行っております。お気軽にご相談ください。

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