幹細胞上清液とは?点滴での効果や費用について解説

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再生医療という言葉を聞いたことがあるという方も多いのではないでしょうか。ヒトの体には、傷ついた組織を修復して機能を元に戻そうとする自然治癒力が備わっています。細胞が本来持っている自然治癒力を高めることで、治療だけでなくエイジングケアとしても効果が期待されている、それが再生医療です。

その再生医療の中で今、注目されているのが幹細胞上清液です。これを点滴で投与することにより、体の機能の衰えや老化スピードを緩やかにすることができるといわれているのです。この記事では、幹細胞上清液とはなにか、それを点滴で投与することによりどんなメリットがあるのか、また費用について詳しく解説しています。

幹細胞上清液とは

幹細胞上清液とは

幹細胞上清液(かんさいぼうじょうせいえき)とは、再生医療に使用される幹細胞を培養した後に残った培養液を遠心分離器にかけて不純物を取り除き、さらに滅菌した上澄み液のことです。上澄み液の中には、幹細胞から抽出された数百種類もの成長因子やタンパク質が含まれています。それらを点滴や注射で体内に直接投与することによって細胞を活性化させます。

幹細胞上清液は優れた抗炎症作用を持ち、老化したり傷ついたりした細胞の修復をおこないます。幹細胞そのものは取り除かれているため、アレルギーやウイルスによる感染リスクも低いのが特徴です。

幹細胞上清液と再生医療

幹細胞とは、いろいろな組織に分化できる能力を持った細胞のことです。わたしたちの体は皮膚、骨、血液など、さまざまな組織でできています。そして細胞は、毎日古くなったり傷ついたりして新しい細胞に入れ替わっているのです。それら組織の中でも再生の元になる細胞を幹細胞といいます。幹細胞にはさまざまな種類があります。

ES細胞やIPS細胞などの言葉をニュースで聞いたことがあるのではないでしょうか。ES細胞はヒトの受精卵を、IPS細胞はヒトの皮膚や血液の細胞を培養して作られます。ES細胞やIPS細胞はヒトの体を作るどんな細胞にでもなることが可能です。

他にも組織幹細胞、間葉系幹細胞といった幹細胞があります。幹細胞は骨髄や脂肪、歯髄や臍帯(赤ちゃんのへその緒)から採ることができ、体の組織を作る細胞に分化するのが特徴です。

その幹細胞を利用して病気を治療することを「再生医療」といいます。医療に使用される幹細胞は培養され、増やしてから利用するのが一般的です。そして以前は、幹細胞を培養するときに使われた培養液は廃棄されていました。

しかしながら、廃棄される培養液の中には、細胞の分化を助けるサイトカイン(主に免疫系細胞から分泌されるタンパク質)や成長因子が多く含まれることが分かったのです。それらの物質は細胞の分化を活性化し、傷ついた細胞を修復し、失った機能を回復させてくれます。

そのため、幹細胞を培養した後の上澄み液を点滴で体内に直接投与することにより、さまざまな効果が期待できるのです。幹細胞上清液を点滴で体内に取り込むことで、炎症を抑えるとともに細胞を活性化させて、新陳代謝を促進することで治療効果や若返りの効果などが期待されているというわけです。

次に幹細胞上清液治療とよく似た治療でPRP療法があります。二つの治療がどのように異なるのかについて見てみましょう。

幹細胞上清液とPRP療法

幹細胞上清液は、幹細胞を培養した後に残った上澄み液を点滴で投与します。幹細胞上清液に含まれるサイトカインやたんぱく質などの生理活性物質を利用して、抗炎症作用や細胞の活性化を得るものです。

細胞を活性化させて傷ついた細胞を修復します。点滴で投与することで、肌や髪の毛、内臓に至るまで効果を得ることが可能です。

対して、PRP療法(多血小板血漿療法)は、自身の血液から採取した血小板を利用する再生医療です。血小板が持つ自然治癒力を利用して、炎症や傷を早く回復させる効果が期待できます。

PRP療法は、主に整形外科分野や美容分野で利用されている治療法です。整形外科分野では膝や関節の炎症や痛みを和らげるために注射で投与されることがあります。

また美容分野ではダーマペンの施術などで利用されており、小さな針で顔にあえて微細な傷をつけ、そこに直接塗布して浸透させます。傷が治癒する過程でハリや肌のキメが整うといった効果を期待するものです。

幹細胞上清液に含まれる主な成分

幹細胞上清液に含まれる主な成分

幹細胞上清液の特徴は、数百種もの成長因子と約500ものタンパク質を含むことです。幹細胞上清液に幹細胞は含まれていませんが、細胞の機能回復やエイジングケアに期待できます。ここでは、幹細胞上清液に含まれる成分のうち、主なものについて解説します。

サイトカイン

サイトカインとは、細胞から分泌されるタンパク質のことです。サイトカインが増えると細胞が活性化され、細胞を修復したり分化を早めたりすることがわかっています。主に免疫に関わる細胞を活性化し、炎症をコントロールする物質です。

エクソソーム

エクソソームとは、細胞が放出するカプセル状の物質です。細胞と細胞の間で情報を伝達するためにエクソソームを利用していると考えられています。

エクソソームには、特定の細胞にぴったりあうようにできた「カギ」のような突起があるのが特徴です。この特徴によってエクソソームは、特定の細胞に対して情報を送っていると考えられます。

例えば、肌の細胞もエクソソームをやり取りしていることが研究によりわかっています。肌にシミやそばかすができる仕組みにもエクソソームが関わっていることが判明したのです。現在、エクソソームのこの特徴を利用して、医療分野や美容分野での活用が始まっています。

EGF(上皮細胞成長因子)

EGFはヒトがもともと持っているタンパク質です。EGFは傷ついた皮膚の修復を担います。怪我をしたときに、切り傷からだんだん傷口を皮膚が覆うようにして治っていく過程を見たことがあるのではないでしょうか。

EGFは肌細胞を活性化させ、皮膚の細胞の成長を促してくれます。スキンケアにおいては、ターンオーバーの周期を正常に近づけ、若々しい肌を保つこと効果が期待されます。

KGF(ケラチノサイト増殖因子)

肌の奥深く、真皮に存在する成長因子の一種で、FGF(線維芽細胞成長因子)の仲間です。幹細胞に対して線維芽細胞を生み出すように指令を出します。

線維芽細胞はエラスチンやコラーゲンを生み出し、肌のハリや弾力を生み出すため、美肌には欠かせない細胞です。ヒアルロン酸やコラーゲンそのものを注入する施術とは違い、線維芽細胞そのものを活性化させるため、長期間にわたる効果が期待できます。

また、EGFと相関関係にあり、KGFがあることでより新しい細胞の産生を促します。そのため、新しい表皮が古い表皮細胞と入れ替わるターンオーバーが活性化されるのです。

IGF(インシュリン様増殖因子)

成長ホルモンのひとつです。インシュリンに似た化学構造を持った物質で、生物の成長に関わっています。生物の発生から成長、老化の抑制などにその一生の間関わる大切なホルモンです。

IGFはさまざまな細胞の成長、増殖をコントロールしています。IGFが多いと体は大きくなりますが、少なすぎると成長遅滞が起こります。IGFが少ないとアルツハイマーや動脈硬化など、老化の原因になるともいわれています。多すぎず、少なすぎずコントロールすることで老化を遅らせることが可能です。

幹細胞上清液点滴に期待できる効果

幹細胞上清液点滴に期待できる効果

幹細胞上清液を点滴で投与することにより、多くの成長因子やサイトカインなどのタンパク質を体内に送り届け、細胞を活性化させるとともに、炎症を押さえることができます。そのため、関節の痛みの治療改善、また疲労回復や老化の予防などに用いることが可能です。

アルツハイマー型認知症の改善

認知症は脳の神経細胞の損傷と機能低下によって起こる病態です。中でも最も多いのがアルツハイマー型認知症です。

記憶や思考に深刻な影響を与えます。幹細胞上清液を点滴することにより、損なわれた脳の機能の修復を図り、認知症を改善できると考えられています。

リウマチの改善

慢性関節リウマチは、免疫機能が暴走して自分の体を攻撃し、関節に腫れや激痛、骨の変形を引き起こす難病です。ヒト臍帯幹細胞上清液による治療が、故障した免疫機能を修復してリウマチの症状を軽減し、進行を予防すると考えられています。

皮膚疾患の改善

幹細胞上清液に含まれる成長因子やサイトカインには皮膚の再生と炎症を抑える効果が期待できます。炎症を抑えることで皮膚の損傷を防ぎ、傷ついた肌を再生することによって創傷治癒効果を高めます。

ターンオーバーを正常に導くことで肌バリアを正常に保つことが可能です。いままで対症療法でしか改善できなかった、アトピー性皮膚炎などの深刻な皮膚疾患を改善することが期待されています。

抗炎症作用

加齢に伴う慢性的な関節痛の改善にも、幹細胞上清液の点滴投与が効果的であるといわれています。組織の修復や再生を促す作用や神経への効果により、骨や関節のすり減りによる痛みを軽減すると考えられています。

動脈硬化の予防

動脈硬化は脳梗塞や心筋梗塞の原因になる、深刻な状態です。幹細胞上清液に含まれる成長因子の作用により、硬くなって血液の流れが途絶えた血管を修復したり、新しい血管を作って血流を再開させたりすることがわかっています。そのため、動脈硬化そのものの予防や進行を抑えることが可能であるといわれています。

幹細胞上清液の点滴のメリット

幹細胞上清液の点滴のメリット

幹細胞上清液を点滴で投与するメリットは、注射による局所投与よりも全身にわたる効果を期待できることです。幹細胞上清液が全身を巡り、炎症を起こしている場所に有効成分が集まります。細胞が傷ついている場所での修復機能が高まることにより、痛みやかゆみを伴う疾患の改善効果や、老化によって失われたキメやハリを取り戻す美容効果が期待できます。

また、点滴投与後のダウンタイムがなく、すぐに普段の生活に戻ることができる点もメリットです。幹細胞が含まれていないため、アレルギー反応が起きる可能性も低いといわれています。

幹細胞上清液を利用するリスクとデメリット

幹細胞上清液を利用するリスクとデメリット

幹細胞上清液を使用した治療には多くのメリットがありますが、副作用やリスクが全くないとはいえません。例えば、ヒト由来の幹細胞上清液であったとしても100%の純度であるかどうかはわかりません。

精製するときに微量の不純物が残っていた場合、人によっては強いアレルギー反応を起こすこともあり得ます。そのため、本当に信頼できるクリニックでの検討を強くおすすめします。

効果やアレルギーに関しては個人差が大きいため、治療に入る前にしっかりカウンセリングを受け、確認できる情報はすべてチェックしましょう。リスクやデメリットについて、きちんと説明してくれるクリニックを選ぶことも大切です。

痛みや腫れ

幹細胞上清液を点滴投与する場合、針を刺した部分に痛みや腫れが生じることがあります。施術中の痛みは多くの場合、点滴の滴下スピードを落とすことで改善できますが、痛みが強く辛いときは我慢せずに申し出るようにしましょう。部位の腫れや痛みは徐々に治まっていきますが、3日たっても腫れや痛みが治まらないような場合は医療機関へ相談しましょう。

低血糖やめまい

幹細胞上清液の中にはインスリンとよく似た働きを持つ物質が含まれています。そのため、点滴中に一時的に血糖値が下がり、めまいを感じる方もいます。幹細胞上清液の点滴を受けるときは空腹での施術を避けることで予防することが可能です。

高価である

幹細胞上清液点滴は1回で数十万円と高額の治療となります。また、幹細胞上清液を使用した治療には公的医療保険を使用できないため、自費になります。

幹細胞上清液点滴で若々しさを手に入れよう

幹細胞上清液点滴で若々しさを手に入れよう

いつまでも若々しくありたいと思うのは自然なことです。しかし、わたしたちの体は年々、加齢の影響を受けます。再生医療は加齢によって失われた機能を修復し、老化を予防することができる治療です。

幹細胞上清液は、細胞を活性化させる成長因子やサイトカイン、エクソソームなどを多く含んだ再生医療のひとつです。幹細胞上清液を点滴で投与すると、体のすみずみに有効成分が巡ることになり、老化で傷ついた細胞や肌の修復をおこないます。

幹細胞上清液の点滴を受けてみたいと希望される方は、ぜひ一度、ヒロオカクリニックにご相談ください。

ヒロオカクリニックでは幹細胞上清液の点滴を目的に海外からの患者様も増加しております。但し、海外からの患者様のお受入れの際は安全な治療を行うために通訳の可能な医療コーディネーター会社を通して手続きを行っていただきます。なお、料金は医療コーディネーター会社等の費用により、日本人価格とは異なります。

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