強く警戒しなければならない胃の病気の種類と症状と治療法

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胃は多くの病気を引き起こします。

胃は、見た目は単純な「袋」ですが、その働きは複雑で多岐にわたります。

食べたものは胃のなかに数時間とどまり、胃液と混ざります。胃液には消化酵素が含まれていて、食べ物を化学的に分解して腸で吸収しやすくします。

胃には、劇薬にもなる塩酸が含まれます。胃のなかで塩酸が分泌されるので、間違って害悪のあるものを飲み込んでしまっても消毒されて大抵は問題が起きないのです。

複雑なメカニズムを持つものはトラブルを起こしやすいのですが、胃も同じです。そして胃は重要臓器であるだけに、トラブルを起こすと健康に大きな被害を起こします。

胃の病気の種類を知っておけば、小さな異変でもすぐに気がつくことができ、早期治療につながります。

この記事では、強く警戒しなければならない胃の病気として、胃がん、胃炎、胃潰瘍について解説します。

胃がん

胃の病気で最も警戒しなければならないのは胃がんです。

胃の内側の表面のことを粘膜というのですが、胃がんは粘膜の細胞ががん化する病気です。

胃の壁は層構造になっていて、がん細胞は粘膜から外側に向かって進行します。がん細胞が胃の壁を貫くと、大腸や膵臓にも転移してしまいます。

胃のがん細胞が血液やリンパ液にのって全身に転移することもあります。

つまり胃がんは、胃がんで終わりません。

症状

本人が自身の感覚で胃がんの初期症状をとらえることは難しいでしょう。それで定期的な胃の検査が必要になります。

胃がんが進行すると、みぞおちの痛み、不快感、胸やけ、吐き気、食欲不振などが生じます。

食べたものがつかえる、著しい体重減といった症状は、重度のものです。

治療法

胃がんの治療法の進化は目覚ましく、今や「死ぬ病気ではない」と考えられています。初期であれば、胃内視鏡で切除してそれで治ることすらあります。

しかし進行してしまうと、外科手術が必要になりますし、転移すれば薬物療法や放射線治療が必要になります。

そして最悪、手の施しようがない状態になり、緩和処置や対処療法だけで死を待つことになります。

重症化させないためにも、胃の検査は定期的に受けましょう。

急性胃炎

急性胃炎は、胃炎が急に起きる病気です。

胃炎とは、胃の粘膜が炎症を起こしてただれた状態のことです。

急性胃炎は、食べすぎ、飲みすぎ、ストレス、生活上の悪習慣、アレルギー、ピロリ菌、寄生虫、薬の副作用などで起きます。

症状

急性胃炎の症状は、急に起きる腹痛、不快感、膨満感、吐き気、嘔吐などです。

激痛のため、救急搬送が必要になることもあります。

治療法

急性胃炎のうち症状が軽いものは、絶食や、かゆなどの消化によいものを食べることで治ることがあります。

とにかく胃に負担をかけないようにします。

ただ、胃を休めても胃炎の症状が落ち着くだけで、治っていないこともあります。そのため、急性胃炎を起こした原因を特定して、その原因を除去する必要があります。

飲みすぎで急性胃炎を起こしていたら、症状が治まったあとも断酒や酒量を減らさなければなりません。

症状が重い場合は医療機関での治療が必要になります。入院したら絶食したうえで、胃酸を抑える薬や胃粘膜を修復する薬を使ったり、点滴で栄養補給をしたりします。

慢性胃炎

慢性とは、症状は重くないものの長期間にわたって続くことです。

慢性胃炎は、胃の粘膜の細胞が萎縮して元に戻らず、胃酸の分泌が減少して起きます。

胃酸は胃液の成分の1つで、塩酸を含みます。

症状

慢性胃炎の症状は、みぞおちの痛み、不快感、胸やけ、むかむか、もたれ、吐き気、食欲不振、出血などです。

「救急車を呼ばなければならない」と感じるほどの痛みが起きない特徴があります。

治療法

医療機関での慢性胃炎の治療は薬物療法になります。

胃酸を抑える薬や胃粘膜を修復する薬、消化管運動の機能を改善する薬を使います。

ストレスや飲酒などで慢性胃炎を起こしている場合は、薬を使いながら生活習慣をあらためることが重要になります。

慢性胃炎による痛みは我慢できてしまうことがあり、そのためドラッグストアで胃薬を買って対処する人が少なくなりませんが、それでも近いうちにクリニックにかかったほうがよいでしょう。

それは、慢性胃炎の症状と胃がんの症状が似ているからです。

医師は、患者さんに慢性胃炎が疑われると、胃内視鏡検査をすすめるでしょう。それで単なる慢性胃炎なのか胃がんなのかがある程度わかります。

胃潰瘍

潰瘍は炎症が悪化した状態と理解してください。粘膜の表面が赤く熱を持っているだけなら炎症で、それが進んで崩れたり傷ができたり、傷がえぐれたりしたら潰瘍と呼びます。

したがって胃潰瘍は、胃炎が進行した状態のことです。

胃壁の表面である粘膜には、胃液に含まれる塩酸から胃壁を守る作用がありますが、その作用が働かなくなると、胃壁が塩酸によって傷つけられ潰瘍を引き起こします。

ピロリ菌が原因で起きることもあります。

症状

胃潰瘍の症状の特徴は、空腹時と食後の胃痛です。左の脇腹あたりに痛みが走ることもあります。

さらに悪化すると吐血や血が混ざった便といった症状が起きます。血が混ざった便は真っ黒になります。

強い腹痛、冷や汗、血圧低下、貧血も重症化のサインです。

それでも治療をしないと、胃に穴が開いて胃の内容物(食べたもの)がお腹のなかに広がってしまい、腹膜炎を起こすこともあります。そのときは激しい腹痛に襲われます。

胃潰瘍の前段階といえる胃炎では、胸やけ、吐き気、嘔吐、食欲不振が起きることがありますので、この段階で治療に取りかかり胃潰瘍に進めないようにしたいものです。

治療法

胃潰瘍では、胃酸を抑える薬や胃酸を中和する薬、胃粘膜を修復する薬を使って治します。

ピロリ菌がみつかれば、除菌する薬を使います。

出血している場合は、胃内視鏡を使って止血します。

腹膜炎が疑われると緊急手術が必要になることもあります。

まとめ~楽しい食生活のために胃を守りましょう

胃は食べることに深く関わる臓器です。したがって楽しい食生活を続けるには胃を守り続ける必要があります。

胃を守るには、定期的な検査や、異変が起きたときに放置せず医師にみせることが重要です。

胃の検査は、胃がん予防と胃がんの早期治療にもつながるので、「人生を豊かにするために」と考えて忘れずに受けるようにしてください。

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