高血圧とは年10万人の死につながる症状:新基準を紹介

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厚生労働省は高血圧について、もしこれを完全に予防できれば年10万人以上が死なずに済む、といっています(*1)。

また医師たちは、高血圧を、脳心血管病を合併して健康寿命を損なう症状とみなし、高血圧を適正に治療することは医学的、社会的な利益になる、としています(*2)。

この記事では、高血圧がどのような症状なのか紹介したうえで、日本高血圧学会が2019年4月に改訂した高血圧治療ガイドラインが示した高血圧の新基準を解説します(*3)。

キーワードは死と食塩:高血圧の正体

高血圧がなぜ、国レベルの問題になるのかというと、死に大きく関わるからです。

高血圧がなぜ、国レベルの問題になって久しいのに解決できないのかというと、食塩の摂りすぎによるところが大きいからです。

高血圧のキーワードは食塩です。

生活習慣病死亡の最大要因

厚生労働省は高血圧の特徴を3つ挙げています(*1)。

<高血圧の特徴>
・高血圧は、喫煙と並ぶ、日本人の生活習慣病死亡に最も大きく影響する要因
・高血圧を完全に予防できたら、年10万人以上が死亡せずに済むとの推計がある
・高血圧は過去数十年で大きく減ったが、それでも20歳以上の2人に1人は高血圧

生活習慣病死亡の最大要因でありながら、いまだに成人の半分が高血圧になっています。

だから高血圧は、国レベルの問題といえるわけです。

問題なのは「本態」のほう

高血圧には、本態性高血圧二次性高血圧の2種類があり、大きな問題を引き起こしているのは「本態」のほうです。

ある病気を発症し、その結果、高血圧になるものを二次性高血圧といいます。

日本人の多くがかかっている本態性高血圧は、食塩の過剰摂取、肥満、飲酒、運動不足、ストレス、遺伝的体質によって発症します。

そして、これらの要因のなかで最も深刻なのが、食塩の過剰摂取です。

高血圧予防では、減塩が欠かせません。

適正な食塩量は、成人男性が1日7.5g未満、成人女性が1日6.5g未満です。

世界中の多くの人々が食塩を摂りすぎていますが、日本には日本固有の食塩問題があります。

日本の食卓には醤油やみそ汁、漬物、ラーメンなど食塩を多く含む食材にあふれています。これらはいわば「隠れ食塩」であり、これも含めて1日7.5g未満、6.5g未満を目指さなければなりません。

「食塩7.5g」と聞くと「そんなに摂っていない」と感じるかもしれませんが、隠れ食塩を計算に入れると簡単にその数字に達してしまいます。

普通のラーメン1杯をスープまで全部食べてしまうと、それだけで食塩量は6gになります。

本態性高血圧を起こさないように、生活習慣病死亡しないように、食塩を控えましょう。

高血圧治療ガイドライン2019の新基準

高血圧とは血圧が高い状態であり、その高い低いには基準があります。日本で高血圧の基準をつくっているのは日本高血圧学会で、厚生労働省も医療機関も医師たちも、この基準を参考にしています。

高血圧の基準は、同学会が発行する高血圧治療ガイドラインに記され、2019年に改訂されました。新基準は以下のとおりです。

2019年版(新基準)
分類 診察室血圧 家庭血圧
収縮期血圧 拡張期血圧 収縮期血圧 拡張期血圧
正常血圧 <120 かつ <80 <115 かつ <75
正常高値血圧 120-129 かつ <80 115-124 かつ <75
高値血圧 130-139 かつ/または 80-89 125-134 かつ/または 75-84
I度高血圧 140-159 かつ/または 90-99 135-144 かつ/または 85-89
II度高血圧 160-179 かつ/または 100-109 145-159 かつ/または 90-99
III度高血圧 ≧180 かつ/または ≧110 ≧160 かつ/または ≧100
(孤立性)収縮期高血圧 ≧140 かつ <90 ≧135 かつ <85

 

高血圧の基準はこんなにあります。

「とてもすべては覚えられない」という方は、最低でも次の1個を覚えておいてください。

<高血圧の基準を1個だけ覚えるならこれ>
・上140、下90を超えると高血圧

これは「診察室血圧」の「I度高血圧:収縮期血圧140-159 かつ/または 拡張期血圧90-99」を単純化した数字です。

収縮期血圧のことを「上の血圧」といい、拡張期血圧のことを「下の血圧」といいます。

診察室と家庭でわけている理由

診察室血圧と家庭血圧の2つの基準を設けたのは、2019年版が初めてです(*2)。

市販の血圧計を使って家庭で計測する人が増えたことを受けて、家庭血圧を新設しました。

病院の診察室で計測すると、家庭での計測値より高く出る傾向があることから、基準値は診察室血圧を高くしています。

用語の解説

上記の表中の用語を解説します。

・正常血圧:よい状態のことです。
・正常高値血圧:高血圧の一歩手前、注意が必要なレベル、高血圧予備軍といった意味になります。生活習慣の見直しと修正が必要になります。
・高値血圧:生活習慣を修正しても血圧が下がらなければ、薬物療法が必要になるレベルです。
・I度高血圧:高血圧で、その他のリスクが高ければ、ただちに薬物療法が必要になるレベルです。その他のリスクが低ければ、おおむね1カ月後に再評価します。
・II度、III度高血圧:さらに危険が増します。治療に取りかかりましょう。
・(孤立性)収縮期高血圧:収縮期血圧だけが特に上昇する人がいるので、この基準が設けられています

2019年版と2014年版の比較

高血圧の基準を、2019年版と2014年版で比較してみます。2019年版は先ほどと同じものです。

変更があった点に色をつけました。

2019年版(新基準)(再掲)
分類 診察室血圧 家庭血圧
収縮期血圧 拡張期血圧 収縮期血圧 拡張期血圧
正常血圧 <120 かつ <80 <115 かつ <75
正常高値血圧 120-129 かつ <80 115-124 かつ <75
高値血圧 130-139 かつ/または 80-89 125-134 かつ/または 75-84
I度高血圧 140-159 かつ/または 90-99 135-144 かつ/または 85-89
II度高血圧 160-179 かつ/または 100-109 145-159 かつ/または 90-99
III度高血圧 ≧180 かつ/または ≧110 ≧160 かつ/または ≧100
(孤立性)収縮期高血圧 ≧140 かつ <90 ≧135 かつ <85

 

2014年版(旧基準)
分類 診察室血圧
収縮期血圧 拡張期血圧
至適血圧 <120 かつ <80
正常血圧 120-129 かつ/または 80-85
正常高値血圧 130-139 かつ/または 80-89
I度高血圧 140-159 かつ/または 90-99
II度高血圧 160-179 かつ/または 100-109
III度高血圧 ≧180 かつ/または ≧110
(孤立性)収縮期高血圧 ≧140 かつ <90

 

変更点は次のとおりです。

・2019年版で家庭血圧が新設された
・2014年版の至適血圧を、2019年版では正常血圧とした
★2014年版の正常血圧を、2019年版では正常高値血圧とした
★2014年版の正常高値血圧を、2019年版では高値血圧とした

★から、2019年版では、血圧の数値を厳しくみることにしたことがわかります。

例えば、2014年版は「120-129 かつ/または 80-85」を正常血圧と呼んでいましたが、2019年版ではほぼ同じ数値を正常高値血圧=高血圧予備軍と評価して警戒を強めています。

まとめ~まず140/90、次に120/80を目指す

高血圧の基準は、注意や警告と考えてよいでしょう。

140/90を超えている人や、その付近にある人は、減塩から始め、肥満を解消し、酒量を減らし、運動をして、ストレス解消に努めてください。

そして140/90を下回ったら、そこで油断せず120/80を下回ることを目指しましょう。120/80を下回れば、ようやく高血圧予備軍から脱出でき、本物の正常に戻ります。

高血圧予防は基準値での管理が大切です。

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