ワクチンとは?  なぜワクチンを接種すると感染症を予防できるのか

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「ワクチンは感染対策の決め手である」
日本政府は、新型コロナウイルス感染拡大対策について、このようなメッセージを国民に送りました(*1)。
アメリカ大統領も、ワクチンが、コロナ禍から人類を救うカギであることを強調しています(*2)。

なぜワクチンという薬に、これほどの期待が集まるのでしょうか。
ワクチンが、ウイルスや細菌などの病原体に強い理由を解説します。

ワクチンの原料は病原体

ワクチンが普通の薬と大きく異なるのは、原材料に病原体を使っていることです。深刻な病気を引き起こすウイルスや細菌などのことを病原体といいます。ワクチンは、病原体からつくられていながら、病原体が引き起こす病気から人を守ります。

病原体を使うのは抗体をつくるため

ワクチンは、病原体の毒性を弱くするなどの加工をしてつくります。
人がワクチンを接種すると、体のなかで抗体という物質ができます。抗体は、ワクチンの原料になった病原体を認識して、形を変えます。形を変えた抗体は、病原体の抗原という部分にくっつき、病原体を体外に排除するように働きます。

ワクチンによって体内に抗体がつくられると、次に本物の病原体が体内に入ってきたとき、その病原体を排除できるようになります。
つまりワクチンは、体に病原体を覚え込ませて、病原体と闘う準備をさせるために接種するわけです。
抗体ができて病原体を排除できるようになることを、「免疫を獲得した」といいます。

3種類のワクチン「生」「不活化」「トキソイド」

ワクチンには、生ワクチン、不活化ワクチン、トキソイドの3種類があります。

生ワクチン

生ワクチンは、生きたウイルスや細菌を加工して毒性を弱くしたものです。弱った病原体そのものが、生ワクチンという薬になります。
生ワクチンは、弱っているとはいえ病原体を直接体内に入れるので、接種をすると発熱や発疹などの症状が出ることがあります。
その代わり、強い抗体をつくることができるので、強い免疫が期待できます。

不活化ワクチン

不活化とは死滅させるという意味です。不活化ワクチンは、病原体を加熱したりホルマリン処理したりして病原性を失わせたものです。
不活化ワクチンは、接種後に症状が出ることを抑えられますが、得られる免疫も弱くなってしまいます。そのため、不活化ワクチンは複数回接種することがあります。

トキソイド

病原体から毒素を取り出して加工したものがトキソイドです。病原体そのものを使うわけではないのでリスクが減るメリットがある一方で、複数回接種する必要があります。

なぜワクチンの開発は難航するのか

ワクチンの原理はシンプルですが、実際に有効性のある製品をつくるとなると難航します。現に、ワクチンが開発できていない病気もありますし、ワクチンを接種したからといって必ずその病気を予防できるわけでもありません。

ワクチン開発が困難を極める理由を、新型コロナ用のワクチン開発を例に取りながら、解説します。

mRNA医薬品という新ジャンルのワクチン

新型コロナ用のワクチンはmRNA医薬品といい、先ほど紹介した3種類のワクチンとは異なるジャンルのワクチンです。

新型コロナが人の体内に侵入すると、細胞に感染します。「ウイルスに感染する」とは、正確には細胞に感染することです。
細胞に感染したウイルス(ここでは新型コロナ)は特殊なタンパク質をつくり、このタンパク質によってウイルスが増殖し、その結果、肺炎などの病気を発症します。

ウイルスはタンパク質を「DNA→mRNA→タンパク質」という順番でつくります。
新型コロナワクチン、すなわちmRNA医薬品は、このmRNAを使っています。

人工的に新型コロナのmRNAをつくり、それを人に接種すると、体内に新型コロナのタンパク質ができます。これにより、新型コロナ用の抗体がつくられます。
これで体に、新型コロナを覚え込ませたことになります。
それで次に本物の新型コロナが体内に入ってきたら、その抗体が新型コロナを叩くことができるというわけです。

mRNAをつくるのが難しい

新型コロナ用のワクチンをつくるのが難しいのは、人工的にmRNAをつくるのが難しいからです。mRNAはリボヌクレオチドという物質が複雑につながって形成されているのですが、わずかな化学反応が起きただけで、そのつながりが切断してしまいます。
一部の新型コロナ用ワクチンは、マイナス70度の超低温で保存しなければなりませんが、それはmRNAを壊さないようにするためです。

副反応を抑制するのが難しい

ワクチンは、毒を以て毒を制す、という部分があります。ワクチンの基礎をつくったパスツールは、ワクチンを「強い病気を起こすものから、弱い病気を起こすものを人工的につくり出したもの」と表現しています*3)。

コロナ禍における「強い病気」とは、新型コロナウイルス感染症のことで、肺炎を引き起こし、最悪死に至らしめます。そして「弱い病気」とは、ワクチンによる副反応のことです。
ワクチンは病原体を原料にするので、接種するとどうしても体に害悪が生じます。それを副反応といいます。

「強い病気」も「弱い病気」も、人にとって迷惑なものですが、強い病気を制することができるなら、弱い病気は我慢しなければならない――というのが、ワクチンを使った医療の考え方になります。

もし新しく開発したワクチンが「新型コロナウイルス感染症の害悪>副反応の害悪」となれば、人々がワクチンを接種するメリットが生まれます。
しかし「新型コロナウイルス感染症の害悪<副反応の害悪」となったら、それを接種する意味はありません。

ワクチン開発を進めるなかで、ある製剤が新型コロナを予防できたとしても、それによって深刻な副反応が起きたら、その製剤を使うことはできません。
つまりワクチン開発は、1)ターゲットとなるウイルスを確実に殺せることと、2)副反応を極力起こさないことの2つの難題を同時に解決していかなければなりません。
それでワクチン開発は難航するわけです。

まとめ~まさに英知をかけた闘い

ワクチン開発は、今回の新型コロナ用に限らず、いつも人類の英知をかけた闘いでした。病原体に感染してバタバタと倒れていく人がいるなかで、研究者たちは時間と闘いながら、ワクチンを開発してきました。

さまざまな国の製薬メーカーがワクチン開発に取り組み、一部では少しずつ効果がみえ始めていますが、まだまだ完全制圧までの道のりは遠そうです。
しかし「ワクチンという解決方法がある」という事実は、大きな希望になります。コロナ禍も、これまでのウイルス問題同様いつかは解決されるはずです。

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