なぜ糖尿病(2型)を予防しなければならないのか、どう予防するのか

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厚生労働省は「糖尿病の発症を予防するための取組が重要である」と強調しています(*1)。ここでの糖尿病は生活習慣が主因となる2型のことです。

なぜ糖尿病では予防が重要になるのかというと、次の2つの理由があるからです。

■糖尿病の予防が重要になる理由
・悪化すると重い合併症を引き起こすから
・予防効果が出やすいから

この記事では、なぜ予防しないとデメリットが大きくなり、予防するとメリットが大きくなるのかを解説します。

また、どのように予防していけばよいのかも紹介します。

なぜ予防しないとデメリットが大きくなるのか

糖尿病を予防しないデメリットは、言うまでもなく糖尿病を発症するリスクが高まってしまうことです。

そして糖尿病を発症することによるデメリットは、合併症を発症してしまうことです。

糖尿病は血液内の糖の量が増えるだけで痛くもかゆくもないことがあります。本当はそれでも恐ろしい状態なのですが、しかし大抵の人は痛くないとデメリットに感じません。

だから「糖尿病を予防しないと糖尿病になる」と思っても、あまり真剣になれないかもしれません。

そこで「糖尿病を予防しないと合併症という深刻なデメリットを被ることになる」と思うようにしてみてください。

失明、腎不全、足の切断

合併症とは、ある病気が原因となって起きるさらに重い病気のことです。

糖尿病には3大合併症と呼ばれる深刻な病気があります。

■糖尿病の3大合併症
・網膜症
・腎症
・神経障害

網膜症は目の病気で、最悪、失明を引き起こします。

腎症は腎臓が機能しなくなる病気で、腎臓が完全に機能しなくなるとそのままでは死亡してしまうので、週3回、1回4時間の人工透析という治療が必要になります。腎不全の人が人工透析を中断してしまうと死亡してしまいます。

神経障害は細胞の壊疽(えそ)を引き起こし、足がその状態に陥ると最悪、切断しなければならなくなります。

「糖尿病を予防しないと合併症を引き起こす」とは「糖尿病を予防しないと失明、腎不全、足の切断につながってしまうかもしれない」と言い換えてもよいでしょう。

なぜ予防するとメリットが大きくなるのか

では、糖尿病を予防するとどのようなメリットがあるのでしょうか。

糖尿病を回避でき、ひいては3大合併症を回避できるのは、大きなメリットといえます。

また、糖尿病予防に取り組むと、脳卒中や虚血性心疾患などの、脳と心臓と血管の病気を回避できる確率が高くなります。

人生のなかで

1. 糖尿病
2. 3大合併症
3. 脳と心臓と血管の病気

を取り除くことができれば生活の質は大きく上昇します。

なぜ予防するとメリットが大きくなるのか、の答えは、人生の質が向上するから、となるでしょう。

どのように予防するのか

デメリットを排除してメリットを獲得するには、糖尿病を予防するというアクションが必要になります。

アクションには次の6つがあります。

■糖尿病を予防する6つのアクション
・食生活を改善する
・運動習慣を身につける
・血液検査を受ける
・ストレスを減らす
・禁煙する
・アルコールをセーブする

それぞれどのように糖尿病を防いでくれるのか紹介します。

なぜ食生活を改善すると糖尿病を予防できるのか

食生活の改善が最初にきているのは偶然ではなく、糖尿病治療に携わっている多くの医師がこれを最重要視しているからです。

したがって「糖尿病の予防に取り組みたい」と思い立ったら、まずは食生活を改善していきましょう。

糖尿病予防になる食生活は次のとおりです。

■糖尿病予防になる食生活
・ゆっくり食べる
・よく噛んで食べる
・朝食、昼食、夕食を規則正しく食べる
・腹八分目で食べるのをやめる
・夜遅くと眠る前は食べない
・バランスよく食べる
・塩分とコレステロールを控え、食物繊維を増やす
・食事量を減らす

この8項目を実践することで糖尿病の発症リスクはグンっと減ります。

実はこの8項目は、医師が糖尿病患者さんに対して行う治療の1つである「食事療法」でもあります。この8項目を使って、医師は糖尿病を治療するわけです。

この8項目は、まだ糖尿病を発症していない人にも有効であり、すぐに取り組めるものばかりです。

糖尿病の食療法についてはこちらの記事でも解説してます。

関連記事:糖尿病と食事の関係は難しく考えないで「健康食さえ心がければいいんです」

なぜ運動習慣を身につけると糖尿病を予防できるのか

体を動かすと血糖値が下がりやすくなります。

食事をすると血液中の糖の量(血糖値)が上がるのは、誰にでも起きる現象です。問題になるのは上がった血糖値が下がりにくくなることです。

運動習慣がない人は血糖値が下がりにくくなり、それが悪化すると糖尿病と診断されてしまいます。

「糖尿病の予防に取り組みたい」と思い立ったら、さっそく体を動かし始めてみましょう。

なぜ血液検査を受けると糖尿病を予防できるのか

糖尿病は自覚しにくい病気ですが、その兆候は血液検査で血糖値を測定することでつかむことができます。

定期的に健康診断を受ければ血糖値の推移がわかります。もし血糖値が上昇傾向にあれば、「予防に取り組まなければならない」と思うことができます。

この気持ちがあれば糖尿病予防のアクションを起こすことができます。

なぜストレスを減らすと糖尿病を予防できるのか

ストレスがたまると血糖値が上がりやすくなることがわかっています。

ストレスが血糖値を上げるホルモンを増やし、血糖値を下げる効果があるインスリンというホルモンの働きを弱めるからです。

ストレスは血糖値を上げやすくして下げにくくするという、ダブルパンチ効果を持っているわけです。

なぜ禁煙すると糖尿病を予防できるのか

喫煙には、交感神経を刺激して血糖値を上昇させる作用があります。

また喫煙は、血糖値を下げるインスリンの働きを妨げる作用もあります。

喫煙もストレスと同じように、血糖値を上げやすくして下げにくくするというダブルパンチを持っています。

したがって、ストレスが高まるからタバコを吸ってしまうという習慣を持っている人は、ダブルパンチを2回くらってしまうようなものです。

なぜアルコールをセーブすると糖尿病を予防できるのか

アルコールはタバコと異なり、適量であれば健康にプラスに働きます。適量のお酒は糖尿病の発生を抑える効果もあるとされています。

しかし飲みすぎは禁物です。

アルコールの摂取量が増えるとインスリンの分泌が抑制されて、血糖値を上げてしまいます。

またアルコールを飲みすぎると食欲が増して食べすぎてしまうため、やはり血糖値が上がります。

さらにアルコールは肝臓を傷つけて肝硬変につながってしまい、高血糖を招くこともわかっています。

まとめ~予防しない理由はない

糖尿病予防は真剣に考えてください。

糖尿病は、つらくて重くて命に関わるたくさんの病気の入口になっているからです。

しかも効果が期待できる予防法がわかっています。それをするだけで糖尿病の発症リスクを抑えることができるので、予防しない選択肢はないといえるのではないでしょうか。

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